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【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい温泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の温泉帝国を築きます~【書籍化+コミカライズ】  作者: 海野アロイ
第8章 魔女様の冒険者ギルド誘致! 村の近所にダンジョンが見つかり、魔女様は14日ぶり8回目の大暴れ
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106.魔女様、ドレスの作った自分の立像があまりに盛りすぎていて恥ずかしさに震える

「よぉし、次はあっしらだ! みんな、外に出てくれ!」


 温泉リゾートのステージにのぼったのはドレスだった。

 彼女のプレゼンが始まるかと思いきや、私たちは村の一画に案内される。


 そこには大きな建物が立っていた。


 入り口には『偉大なる魔女様の冒険者訓練所』と書かれている。



「おぉおおおお、ついにできたのかぁ!?」


「すげぇぜ、こんなん大都会にしかないやつだ!」


 

 これを見て、最初に反応したのは冒険者の皆さんだった。

 なんだかとっても嬉しそうだ。


「ふふふ、ついにできあがったぜ! もともとはメテオとクエイクのアイデアだけどな!」


「いやいや、ドレスがおらんかったら無理やったし」


 ドレスとうちの猫耳姉妹はそう言って胸を張る。

 確かに何階建てかの建物で、明らかに重厚な造りだ。

 これは今までのレンガ造りの家とは違う。

 そういえば、サジタリアスに行く前にこういうのを作りたいって言ってたっけ。



「とりあえず説明は中に入ってからですぜ。さぁ、さぁ、入った!」


 そして、内側に入った私たちはさらに驚く。

 内側はスタジアムになっていて、けっこうな人数が訓練ができるようになっていた。



「あっしもそうだけど、冒険者ってのは鍛えてないと終わっちまうからな。ここの施設を使えば、一通りのことはできるぜ?」


 ドレスはそう言って、様々な部屋を案内してくれる。


 ・重りを使って鍛える場所。

 ・格闘技術を磨く場所。

 ・簡易宿泊所

 ・冒険者が情報共有をする場所などなど


 まだ出来上がっていない場所もあるけど、どの部屋も広くてしっかりしている。



「とはいえ、まだまだ急ごしらえでしかないんですわ。こっから内側を作りこんでいきます」


 ドレスが言うには冒険者のための施設を作ることで、もっともっと人が集まるとのこと。

 確かに、彼らの待遇をあつくすることは大きな意味があるよね。



「一番の目玉はこれですわ。村長さん、これを投げてもらえますか」


 ドレスは剣を一つ取り出して村長さんに渡す。

 

「ちょっと待ってよ! 村長さんが投げたら大変なことになるじゃん!」


 もちろん、私はストップをかける。

 村長さんは高齢でたまにとぼけているけど、ただの老人じゃない。

 いまだにものすごい力をもっているのだ。


 せっかくの新築物件に剣がさくっと刺さってしまう可能性だってある。



「ふふふ、まぁ、見ててください」


 ドレスが私を制止させると、村長は剣をスタジアムの壁に向かって投げる。

 ぶおんっていう風を切る音はすさまじい。



 がぎぃん!


 金属のこすれる音が辺りに響く。

 ちょっと鼓膜が痛い。



「お、おいっ、この壁、傷一つついてねぇぞ!?」


「本当だ、なんだこの壁!?」


 冒険者の幾人かがかけより、壁をみて驚いている。

 私も壁のところに行って見てみると、確かに剣がぶつかったのに傷がいっさいついてない。

 あの村長さんが投げた剣なのに!?


 この壁、どこかで見覚えがあるような……?



「あ、この壁ってこの間のレンガだ!」


 そう、このスタジアムの壁はすべて私の焼いたレンガでできていたのだ。

 

「このレンガがあれば野郎どもがいくら暴れてもOKですぜ。さすがにクレイモアは分かりませんが」


 ドレスが言うのは、この手の建物というのはとにかく傷みが早いらしい。

 せっかく作っても訓練中に剣を振り回すのだから無理はない。



「それに魔法耐性もあるんですぜ。おいっ、やっちまいな」


「へいっ、親方! ファイアーボール!」



 ドレスに促されたドワーフのおじさんの一人がスタジアムの壁に魔法を放つ。


 ずどんっ! 


 赤い火球が一直線に向かい、壁に激突!



「おぉ、何にも起きてねぇぞ!?」


 普通なら壁に焦げ目ぐらいはつくはずだろう。

 しかし、このレンガの壁は未だにピカピカなのだ。

 


「よぉっし、これであたしも大暴れできるのだ!」


「私も負けませんよ!」


「ほっほっほ、おぬしらをしっかり鍛えんといかんのぉ」


 喜んでいるのは冒険者たちだけではない。

 うちのアタッカーの三人も何気に嬉しそうにしている。

 うーん、あんたらが本気で暴れたらどうなるかわかんないけどなぁ。



「すごいよ、ドレス! あなたみたいな人に住んでもらえて、私はとっても幸せだよ!」


「へ、へへ、魔女様にそう言ってもらえるなら最高ですわ」

 

 私はドレスに抱き着く。

 私はドレスが好きだ。


 彼女とはすごく気が合うと思うと前々から思っていたのだ。

 ものづくりは私も大好きだし、彼女の職人気質なところも気に入っている。



「おっと、いっけねぇ。あっしらにはもう一つ見てもらいたいものがあるんです」


 ドレスはそう言うと、村のもう一か所に見せたいものがあるという。

 どんなものを作ったんだろう。

 わくわくが止まらないじゃん。






「こ、これは、すげぇ!」


「ヤバすぎるぜ、これ!」


「かっこいいー!」



 ドレスが案内したのは村の中央だった。

 そこにはちょっとした広場があって、人々の憩いの場となっていた。


 鳥がさえずり、蝶が舞う、平和な場所なのだ。


 だけど、私は愕然としていた。

 それはモンスターが現れたとか、ハンナとクレイモアがケンカしたとか、ハンスさんが相変わらず腰を抜かしたとか生易しいものではない。




「な、な、なんなのよ、これ!?」


 私の目の前にでっかい私がいるのだ。


 いや、正確には私の立像とでも言うべきだろうか。

 まっくろな素材でできた、高さ5メートルぐらいの立像だ。

 土台の上に乗っているから、かなり大きく見える。


 彼女は片手の人差し指で空を指さし、もう片方の手の人差し指で大地を指さしている。

 口元にはうっすら笑みを浮かべている。


 なんていうか、すっごく大胆不敵な表情に見える。



「ふふふ、禁断の大地の偉大なる首領である魔女様の栄光を祈念した像ですぜ! 実は村のみんなで作ったんですわ」


 ドレスはそう言って、種明かしをする。

 彼女が言うには私たちがサジタリアスに行っている間に急ごしらえしたとのこと。


 あぁ、そう言えば、レンガと一緒に焼いてるなぁとは思ってたよ。

 こんなものを焼かせるなんて信じられないんだけど!

 ドレス、あんた、何やってくれてるのよ!


 猛抗議する私なのであるが、皆は大喜びしている。


「ご主人様の素敵なところが表現されていまよね。今にも歩き出しそうです!」


「すごいやろ? こんなんみたら戦う気が失せるで?」


「そこらじゅうを火の海に変えそうです! 私たちの偉大なる首領様です!」


 特にララもメテオもハンナも嬉しそうに目をキラキラさせている。


 恥ずかしすぎて足元ががくがくしてくる。



「そこまで喜んでいただけるとは私も頑張った甲斐がありました!」


「うちも設計に参加したんやで!」


「ポーズは私が目撃したものにしました!」


 三人は笑顔が止まらない。

 どうやらこいつらもグルだったらしい。


 メテオが悪さをするかと思いきや、まさかの伏兵がいたとは。

 しかも、目付け役のララまで裏切る始末。

 



「これぞ我らが破壊神様じゃ……」


「おっそろしいいけど、村の守り神」

 

 いつの間にか足元に花が置かれていて、お供え物の様子を呈している。


 これじゃ一種の信仰みたいになってるじゃん。


 私は魔女様なんて呼ばれているけど、信仰されるとか絶対に無理だ。


 うわっちゃぁあああ、どうしてこんなことに!?


 そもそも辺りを火の海になんて変えたことはないんだけど。



「魔女様と言えば爆破ですわ。手当たり次第に爆破するのが魔女様だぜ」


 この立像のポーズは私がモンスターを爆破したときの様子だという。

 私はたいてい「えいっ」ってやるだけだし、こんなにかっこつけて爆破した覚えはないんだけど。

 これじゃまるで、私が爆破させるのを楽しんでるみたいじゃん。



「くふふ、実物よりかっこよすぎるぐらいなのだ」


 しかし、この中に一人だけ王様は裸だという人物がいた。

 それはクレイモア、体は大人、頭は子供の人物である。


 クレイモアは正しい、それも圧倒的に。

 

 私がこの立像に軽く絶望している理由、それは明らかに胸元を盛っているという点だ。


 この立像、胸元がしっかりと大きいのだ。


 そりゃあ、クレイモアみたいな殺人的なやつじゃないし、この前のシルビアさんみたいに敢えて見せつけてる感じでもない。

 

 だけど、明らかに大きい。

 たぶん、わたしよりも2カップぐらい大きい。 


 ……いや、もっとか!?


 って、これじゃまるで私が見栄を張っているみたいじゃん!


 敢えて、大きく作らせたみたいじゃない!?


 王都の貴族の中には自画像をやたらと美男美女に描かせる人が多い。

 実際の人物はそれほどでもなかったりして。

 そんなのに出くわすと複雑な気持ちになる。


 この立像はそれと同じレベルのことをやっちゃってるんだけど。


 はっきり言って、恥ずかしいの極致。


 私は『これが私です』だなんてふんぞり返れるほど精神がタフじゃないのだ。


 そもそも、16の普通の女の子の立像なんか作るな!

 村人はともかく、他の地域の人に見られたら頭おかしいって思われるでしょ。




「魔女様、ばんざい!」


「我らが偉大なる首領様!」


「世界最強!」


 いつもの魔女様ばんざいが沸き起こる中、私は静かに誓う。


 この立像の胸部分を絶対に爆破しようと。

 

 ドレス、あんたのことは大好きだけど、この件に関しては大っ嫌い!





【魔女様の手に入れたもの】

魔女様の立像:村の中央に配置された、今にも動きだしそうなリアルな立像。超耐久レンガと同じ素材でできており、とっても硬い。魔女様の目鼻立ちを再現しているが、胸元だけは立派である。本人が恥ずかしくなるほど立派である。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「盛りすぎ注意……」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 天地魔闘の構え…w
[一言] 魔女のムネはパッド入り
[一言] 像は作り直した方がよい ゆくゆく魔女の子孫が生まれ才能を引き継いだとしても その子孫らは遺伝で胸がないにも関わらず 「魔女の子孫様は才能に溢れてるね胸以外は」 と末代まで言われ続けることにな…
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