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異世界チーレム勇者はゼロ歳児!?  作者: まさな
序章 赤ちゃんリプレイ
3/28

第二話 新たなる生

「無いわけじゃないでしょう?」


 俺はそれを確認した。

 今までの感じからしてシーフ系のスキルが存在しないなんてことは無いはずだ。

 目の前で、うなずく神様。


「もちろん有るが、盗賊のスキルは悪用しやすいからの。お前はそのようなスキルに頼らぬ方が良かろう」


「ええ? でも、回避や罠外しは必須では?」


 魔法が有る世界なら、ダンジョンや罠だって存在するはずだ。パッシブスキルの【常識 Lv3】もその存在を告げていた。


「やりようはいくらでもある。ま、最低限の回避系スキルは与えてやろう」


 神様がそう言うとまた杖を振った。



『【俊敏 Lv5】【回避 Lv5】【柔軟 Lv5】【手先の器用さ Lv5】【罠外し Lv3】の[スキル]を入手しました』

『条件を満たしたため、【盗賊(シーフ)】の称号を―――[創造主]の【剥奪】により、【盗賊】の称号を失いました。創造主の【称号封印】により、【盗賊】の称号が取得不可になりました』



 盗賊の称号がもらえないのはちょっと不満だったが、必要な回避スキルはくれたのでそれでいいだろう。


「あと【鑑定】も下さい。強力なヤツで」


 俺は言った。

 異世界転生と言ったらコレが定番だろう。



「よし、くれてやる。それに【ステータス偽装】も与えておくぞ。命名の儀式の時にいきなり神殿に取り上げられてもアレじゃからな」


「なるほど」


 あまりチート過ぎる能力を身につけていても、勇者だの何だのと騒がれてまともな生活が送れなくなるのだろう。

 それも困るからな。



『【鑑定 Lv6】【ステータス偽装 Lv7】の[スキル]を入手しました』




「えーと、後は…」


「もう充分じゃろう。これで人生失敗するならよほどの事じゃぞ」


 そのよほど(・・・)の事に引っかかりそうで嫌なんだよな。悪女とか。

 

「あっ、大事なことを忘れていました。俺の嫁候補(ヒロイン)は全員処女でお願いします」


 俺にNTR属性はかけらも無いからな。というか、耐えられない。無理。


「うむ、それなら、これも授けてやろう」



『【ユニコーンの嗅覚 Lv7】の[スキル]を入手しました』



 完璧だ!

 さっそく【鑑定】スキルで【ユニコーンの嗅覚】を鑑定してみる。



【名称】 ユニコーンの嗅覚 Lv7

【種別】 パッシブスキル

【効果】 

 清らかなる聖獣の力により、

 女性の純潔の有無を

 一瞬で見破ることができる。

 いかなる偽装も無効化する。

     




 わかってんじゃん、ジジイ。

 中古(ビッチ)に用はねえ!



「では、そろそろ時間じゃ」


「えっ、待って下さい! まだ他にもスキルを!」


 これでもまだ足りない気がする。


「案ずるな。お前には『前世の記憶』を持ったままで転生させてやる。それで他人より有利になるじゃろう。同じ失敗を繰り返すでないぞ。さあ()け! 野原礼よ!」


「あーっ、待てコラ!」


 俺の身体が内側から光り始め、そしてフッと消えた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

(ここからスキルがずらーっと出ます。次の◇まで軽く流し読み推奨)



レイに与えられた恩恵ギフト


[アビリティ]


【カリスマ ★★★】

 魅力の基本値が常に10を下回らないように底上げ


聡慧(インテリジェント) ★★★】

 知力の基本値が常に10を下回らないように底上げ


【創造主の加護 ★★★】 

 ??? 詳細不明


[称号]


【異世界の転生者】【神の寵児】【調停者】【万能の魔導師】【天才】【物知り博士】【タフ・ネゴシエーター】【輪の中心】【哲学者】



[スキル]


◆交渉系

【魅了 Lv5】【交渉 Lv3】【説得 Lv3】【敬語 Lv3】【厚かましさ Lv3】【おだてる Lv3】

【世間話 Lv1】【相づち Lv1】【冗談 Lv1】【人の話を聞く Lv1】【相手の目を見る Lv1】

【不屈の精神 Lv3】【脅迫 Lv3】【泣き落とし Lv3】【なだめる Lv3】【ウィン・ウィン Lv3】

【椅子を蹴る Lv3】【鶴の一声 Lv1】【落としどころ Lv1】


◆魔法系

【魔術のコツ Lv5】【魔法知識 Lv5】【魔力感知 Lv5】


◆未来予知

【虫の知らせ Lv5】【第六感(シックスセンス) Lv5】【精霊の予言】


◆肉体系

【頑健】


◆頭脳系

【一を聞いて十を知る Lv5】

【暗算 Lv3】【ひらめき Lv1】【暗記 Lv3】【常識 Lv3】【雑学 Lv3】【屁理屈 Lv5】

【鑑定 Lv5】


◆回避系

【俊敏 Lv5】【回避 Lv5】【柔軟 Lv5】【手先の器用さ Lv5】【罠外し Lv3】

【ユニコーンの嗅覚 Lv7】

【ステータス偽装 Lv7】


◆恋愛系

【ラッキースケベ Lv1】(創造主の心憎いオマケらしい)





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「ハッ!」


 気付くと俺は白く肌触りの良い布にくるまれていた。手すりのあるベッドに寝かされている。

 ここは木造の広い部屋で、緩やかな風に揺られているブルーのカーテンも見える。それ以上は首が上手く動かせないのでよく見えない。


 どこだ、ここは?

 家の中だというのは分かるが……。

 

 んん? なぜ動けぬ!?

 金縛りとは違う。だって手は動くのだ。


 自分の右手を上げてみたが、ちっちゃい。

 しかも、指はもちろん、腕もろくにコントロールできないときた。くそ。

 なんだこれ?

 

 確か、俺はさっきまで――

 

 あー、思い出した。


 一度死んだ俺は、神によって異世界に転生させられたんだ。


 

 つまり、ここは異世界。



 剣と魔法、そしてスキルが支配する世界なのだ。

 これはスキル【常識 Lv3】による知識だ。


 しかし、赤ちゃんからやり直しかよ。

 チッ、十五歳くらいからでも良かったのに。

 子供の頃の思い出って、俺はあんまり良い思い出が無いんだよな……。



 この世界にはモンスターもわんさかいるから、迂闊(うかつ)に街の外には出ない方が良い。

 ベテランの冒険者でさえ死を覚悟する凶悪なドラゴンなんてのも存在するからな。


 文明レベルは地球の中世と言ったところ。大航海時代よりは前だ。火薬は発達しておらず銃器も登場していない。

 電気の代わりに魔法が発達している。

 ただ、知識としてそれを知っているからと言って、ここで上手くやれる自信は俺には無い。

 だって現代ですら俺は上手くやれなかったんだぜ?


 俺が将来を悲観しているとドアが開いて、誰かが部屋に入ってきた。

 誰だろう?

 ちょっと緊張する。


「はーい、レイ、良い子にしててくれた? 一人にしてごめんね」


 そう言って金髪の女性が俺を抱きかかえた。

 花の良い香りがした。なぜか心が安らぐ。とても良い気分になった。

 彼女はここでの俺の母親だろう。鼻が高く、その空色の瞳は北欧系に見える。凄い美人だ。歳は二十代くらいか。


 【鑑定 Lv6】のスキルを使ってみると――


 

Lv 35 サラ HP 353 MP 622



 とだけ表示される。スキルを鑑定したときとちょっと違うな。

 ウインドウはちゃんと出てるんだが。

 そうじゃなくて――

 俺は意識をウインドウの『サラ』に集中させてみた。


 すると別のウインドウが上に重なって開いた。



【名称】 サラ=フォン=アイゼンウルフ

【種別】 ヒューマン

【解説】

 グレン=フォン=アイゼンウルフ=ヴィルヘルム男爵の正妻。

 元冒険者にして司祭。二十二歳。

 ヴィルガーデニアの村人。

 回復と水魔法に優れる。

 二児の母。

 良妻賢母。

【関連】グレン、エリオット、レイ





 ほう、貴族の正妻か。

 男爵はこの世界では一番下っ端の貴族なんだが……ま、王族でもそれはそれで立場が面倒臭そうだ。

 奴隷や平民よりはずっとマシだろう。

 それよりも俺は関連項目のエリオットという名前に意識を集中させる。

 他の名前、グレンは父親、レイは俺のことだからいちいち見なくてもいいだろう。

 エリオットは――



【名称】 エリオット=フォン=アイゼンウルフ

【種別】 ヒューマン

【解説】 

 ヴィルヘルム男爵家の嫡男。長子。四歳。

 ウルフガーデンの村人。

 聡明。

【関連】グレン、エリオット、レイ  



 長男、つまり俺の兄貴か……。

 うーん、俺は前世では一人っ子だったから兄弟ってどんな感じかよく分からないな。

 どうせなら妹が良かったんだが。

 意地悪な奴じゃなきゃいいけど……不安だ。



「じゃ、おっぱいの時間よ」


 サラはそう言うとするすると胸の紐を解いて、恥ずかしげも無くおっぱいを『モロ出し』しやがった。

 おお!

 釣り鐘型のこれは見事な――うおっ、押しつけられた!

 ああん……この柔らかな感触。


「んん? どうしたの、レイ。お腹空いてないの?」


 い、いいのか?

 乳首を吸っても。

 しかも人妻だぞ?

 どう見ても18禁の状況だ。


 でもでも……あれ? 思ったより興奮しないな。

 まあいい。ちょっと味わってみるか、母乳ってヤツを!


「ちゅくちゅく、んっ! んまー!」


 うめえ。

 甘くてコクがあって香りも良いし、喉越しスッキリ。

 何コレ。

 牛乳とは全然違うぞ!


「ふふっ、レイはおっぱいが好きねぇ。どんどん吸って早く大きくなってね」


 おおお。

 ガンガン吸うぜー。飲みまくるぜー。


「ゲフ」


 お腹いっぱいになった。

 眠くなってきた……。


「お休みなさい、レイ」


 心地良い満腹感に包まれ、ゆっくり体を揺らされる。

 優しく頭を撫でられた。

 満たされた気分の中、俺はすぐさま眠りに落ちてしまった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 サラは毎日美味しいお乳を飲ませてくれる。

 文句や愚痴を言わない女なんて俺は初めて見た。

 まさに天使、聖女だ。


 彼女は水系と回復系の魔法が使えた。空っぽのタライに水を出して布を浸して俺の体を拭いたり、俺が泣いていると回復魔法を掛けてくれたりする。


「サラ、どうだ、レイの様子は」


 若い男の声が聞こえてきた。


「ええ、良い子にしてるわ。ふふ、この子、魔法を教えて欲しいんですって」



 俺はやってきた茶髪の男に素早く【鑑定】のスキルを使う。

 アクティブスキルは発動の方法がいくつかあるが、このスキルは念じるだけで大丈夫だ。

 

 

Lv 41 グレン HP 627 MP 27



 このステータスの感じは戦士だろう。レベルの割にMPが少ない。

 名前がグレンだから、俺の親父のはずだ。

 美形だが、なんかちょっとチャラい感じだなぁ。



 そのグレンは鼻で笑った。


「はっ、まだ一歳にもなってないってのに、魔法だって? 馬鹿を――」


「まほー、おせーて」


 良いタイミングなので俺は言ってやった。残念ながら口の筋肉が上手く動かせないので、幼児言葉になってしまうけど。


「うお!? 本当にそう聞こえるな」


 グレンがビクッとして驚いた顔になった。

 ゼロ歳ならちょっと喋るの早すぎたかな? まあ、もう喋っちゃったし?


「もう、聞こえるんじゃないわ。レイは本当にそう言ってるのよ」


「でも、今年の六月に産まれたばかりだろ? 普通、喋れるのは三歳くらいからじゃないのか」


「何言ってるの、バリスさんのところのベル君は一歳で喋ってたじゃない。もっと早いわよ」


「そうだっけか?」


「そうよ。ね、レイ」


「うん! ままー」


「うーん、回復魔法となると、将来はサラみたいな司祭かぁ。オレは剣を教えてやろうと思ってたんだけどなあ」


 グレンが残念そうに頭を掻く。少し薄汚れた木綿の服を着ていて、男爵にはとても見えないのだが……ステータスを鑑定したから間違いは無いはずだ。

 ただ隆々とした筋肉は凄い。一目で鍛え上げられた肉体だと分かる。

 グレン・ザ・グレートって感じだ。

 ……コイツに殴られたら一撃で死ぬな。おっかねぇ……。


「ふふ、どっちも教えてあげればいいじゃない。まあ、さすがに剣はもう少し大きくなってからね」


「ああ、そうだな。早く大きくなれよ、レイ!」


 大きな手で撫でられた。

 剣はちょっと遠慮したいが、この世界ではおそらくモンスターが日常的にフィールドに湧いて来るのだろうし、最低限の護身術や体術は会得しておきたいところ。

 

 魔法も、呪文を覚えなきゃ、使えないからな。

 ジジイが俺にくれたスキルは魔法の使い方に関する知識だけだった。

 ったく、もっともらっておけば良かったぜ。最初から禁呪やら大魔法やら。

 ま、大魔法くらい、すぐ覚えてやんよ!

  


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 俺は母親のサラにおねだりして魔法を教えてもらい、聖魔法の【ヒール】と、水魔法の【ウォーター】を覚えた。


「凄い! レイは天才ね!」 


 と褒めていたが、ま、親バカだろう。難しい呪文でも無かったし。

 どちらも初級、初歩的な呪文だ。

 俺は調子に乗って水玉を常時空中に浮かべて遊んでいたら、急に頭がくらくらして水浸しになってしまった。 何か、失敗だ。


「あらら、魔力切れね。自分が何回くらい唱えられるか、覚えておいた方が良いわよ。あ、でも、レイちゃんにはまず数を教えなきゃダメね…」


 ああ、MPがあったな、そう言えば。


「しゅてーたちゅ、おーぷん」


 自分の今のステータスはこんな感じだ。



【名前】レイ=フォン=アイゼンウルフ

【レベル】1

【年齢】 0歳一ヶ月

【種族】 ヒューマン

【性別】 男

【クラス】 赤ちゃん

【ジョブ】 司祭


【HP】 11 / 11

【MP】 2 / 116


【筋力】1

【耐久】1

【俊敏】1

【知力】158

【魔力】12

【器用】1

【魅力】10

【幸運】22




 知力だけは高いが、これは前世の記憶があるからだろう。それ以外は軒並みしょぼい。

 ま、赤ん坊だし。これで力も強くて素早く動いてたら化け物じみていて怖いか。

 他の能力は……大人になったときにはどのレベルかなぁ。

 こちらの両親のHPとの差が気になるが、レベルも違うので比べるのは難しい。



「えっ! レベル1なのにMPが百を超えるなんて……あなたはきっと凄いアビリティを持ってるのね」


 サラがニッコリ笑って撫でてくれる。


 おっと、ステータスの偽装、忘れてた。

 まあ、母親だし、MPくらいなら大丈夫だろ。

ブクマありがとうございます。今日のお昼頃、0の数字を見て「ヒィ……!(床ゴロンゴロン)」となりましたが、ほっとしました。



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