プロローグ 誰もが一度はどん底に落ちる
実質初投稿です。
深い深い山の中を、その少女は必死に走っていた。
緑色の髪をうしろでまとめ、金色の瞳を持つ彼女はかなりの美形だった。
だが、整った顔は悲しみで歪み、瞳には涙がうかんでいる。
何を隠そう、彼女は今逃げていた。
「はあ、はあ、はあ……!」
息も絶え絶えに、ひたすら逃げていた。
だが、谷にかかる橋が視界に入ったとき、少女はほっとした顔をした。
_____あの橋を渡れば、もうすぐ街だ。
そう思って彼女はほんの少し気をゆるめた……それがいけなかった。
「あっ!?」
石に躓き、彼女は顔から地面に叩きつけられる。
「ぐっ……もう、少し、なのに」
それでも彼女はがなんとか立ち上がろうとした、まさにその時だった。
「カ〜ラ〜ちゃ〜ん」
「っ!」
森の茂みをかき分けて、現れた筋骨隆々の男。
それを見た少女は急いで橋に向かおうとする。
「そうはさせないよ〜ん」
だが、男の丸太のような太い手ががっしりと少女を掴んで離さない。
「やめてくださいっ、離してっ!」
拳を男の手に何度も打ち付けるが、男は手を離さない。
そしていやらしい笑みをうかべた男は、彼女の服に手をかけると、一気に引き裂いた。
「嫌っ!」
その刹那、彼女の渾身の蹴りが男の急所を捉えた。男がうずくまる。
その隙を見逃さず、橋を目指して最後の力を振り絞り、駆けた。
不安定な橋。いつも怖がって渡っていた橋を、始めて走って通り抜けようとしていた。
しかし。
「ぐっ!?」
先程ぶつけた足に激痛が走る。
その拍子に足を踏み外し、少女は、
「あっ……」
少女の体は谷底へと吸い込まれていった。




