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魔法少女のクズ  作者: あづまさくら
8月【1章】
7/8

5話 ススメ☆オトメ【後編】

挿絵(By みてみん)



「それで、夏凛ちゃんは何の魔法少女なんかにゃ?」


午後5時を回った頃、3人は曇り空の下

公園にある休憩所に座って雑談をしていた。


「何の魔法少女…かですの?」

「そうにゃ!その方が分かりやすいにゃ!」

「私はね、雪の魔法少女なの」


薫は不死身である事を隠していた、確証が無いからである

いくら織が助けに来てくれるといったって。

2度目は無いだろう、使い切りの能力かもしれない

それに夏凛が政府のスパイである事も視野に入れていた。


「雪、ですの…?」

「そう、私の場合夏凛ちゃんみたいにすぐ魔法が使えるわけじゃなくて

感情が高ぶらないと駄目だけど………」

「どおりであの時、周辺の温度が一気に下がったと

思ったですの……」

「夏凛ちゃんは物を浮かせれる、驚いた時も

周りに雪が少し浮いていたの見えたにゃ」

「え、あ、そこからバレていたのですの……」


自分では浮かせているつもりは無かったらしい。

魔法少女になった代償に感情をなくさないといけない

周りにバレてしまうから…それは薫だけの決まりではなく

夏凛も同じであった。


「やっぱ、分かる人が見るとすぐバレますのね…」

「よく目を凝らさないと分からないけどにゃ」

「夏凛ちゃんは重力の魔法少女でいいのかな?」

「はい…ですの、確かに重力を操れますの

本気を出せば人をも浮かばせる事できるけど

1週間近く動けなくなりますの……」

「酷いこと言うけど

“使えない能力”だよね……?」

「薫ちゃん!それはいくらなんでも…!」

「はい、使えませんの、だから

国に見つかったら……処分されますの」


使えない魔法少女は処分される。

それは国民全員に知れ渡っている常識だった。

中には「人権団体」なるものがいて、その人達が

騒いでいると思ったらすぐ、消えていなくなってしまう。

魔法少女に触れる事が国のタブーになりつつあるのだ。


「そう……だよねやっぱ」

「まぁこの世界の常識だから仕方ないですの…

魔法少女はキラキラして皆を助ける

そんな輝いた存在だと思ってましたのに……」

「!そうにゃ、この前、雪と氷の怪物と

戦っていたのって夏凛ちゃんかにゃ!?」

「え、見ていたんですの!?」

「いや、昨日私達も怪物達に襲われて

その時助けた女性が

『前にもゴスロリの魔法少女』に助けられたって

しかも声が男の子だった…夏凛ちゃんだよね?」

「たまにゴスロリな格好で学校くるし

その時の洋服で戦ったんにゃ?」


「………たしかに私ですの

けど、普段着と戦闘服とは違いますの」

「? 戦闘服……?」



「うわぁああぁああーーーッッ!!」



「!!!」

「叫び声…!!昨日に引き続き今日まで!?」

「行くですの!!」


女性の叫び声を聞いた夏凛の動きは早かった

待ってましたと言わんばかりに悲鳴の元へ走り出す。

その姿はまるで昔少し見た魔法少女アニメの

主人公みたいだった。


「薫ちゃん!私たちも!」

「うん!」


もちろん2人も走り出す

一人は昔の友人との約束を守る為。

一人は薫と夏凛の監視役になり周りに隠す為の案を練り

いかにしてこの先をいきて行くか、考えていた。


声の先は公園の裏側にある広い雑木林の中。

夏凛は声を荒げて怪物に向かって啖呵を切る


「出ましたわね怪物スノープリンセス…!!」

「え、そんな名前だったのかにゃ」

「ただの怪物ではつまらないですの……!!」


怪物の姿は昨日見た人間の姿とは違い

氷と雪をごちゃ混ぜに、雪だるまをボコボコにした様な

この世のものでは無い歪な形をしていた。

決してプリンセスという名前に当てはまる綺麗な造形はしていなく

これは夏凛のネーミングセンスが無いだけなのか

私の目がおかしくて本当はお姫様みたいに見えるのか

薫はそんなつまらない事を考えながら合言葉を口にした。


「変身ッ!!!!」

あたり全体が白く 凍え始め

制服の上から氷を纏い雪の魔法少女に変身した。

(今回は上手く変身できた…初めてかもしれない)

その感情は怒りと違う、焦りだった。


「街を脅かす悪い怪物よ!とっととお家に帰りなさい!

変身!プリティーチェーンジ!」


「え………?」


それは薫と織が昔よく見ていた魔法少女

「キュアリーブラック」の変身時の

決め台詞であった。

まさか夏凛も見ていた…?憧れていた魔法少女は

織が憧れていたあの魔法少女と同じ———?


瞬間、ハートの形をしたピンク色の雪が

夏凛の周りを漂い始める。

魔法少女アニメの様な光景に薫と愛子は目を奪われた

さっきまで学校指定の制服を着ていた夏凛は

一瞬の間に真っ黒なゴスロリ姿になったではないか。


「まさか戦闘服って……」

「そうですのよ、ずっと憧れてた

キュアリーブラックの衣装を弄った…私だけの

宝物ですの」


「! 薫ちゃん! 夏凛ちゃん! 危ない!」


「ギギギガガガガレレギギギ!!!」


気を取られ過ぎていた。

また、不意打ちを食らってしまうのか。

怪物は私たちめがけて身体を倒してくる

2メートル行くか分からない怪物のその身体は

150cmもいかない私と夏凛を押しつぶす。


「大丈夫ですの……っ?」

「夏凛…!大丈夫?!」

「私は平気ですの!!早く、逃げてください!」


間一髪で夏凛は怪物の下で手をかざし

こちら側へ倒れてこない様に重力を操っていた。

鼻血が出て、かすかに見える黒い服の隙間の

白い肌から血管が浮きでいるのも分かる。


「ダメ…!一緒に、早く!!」

「魔法を使ってる間は動けないんですの…!」

「でも…!!!」

「はやくいけですの!!!」


夏凛は人生で初めて、人にタメ口を使った。

礼儀正しかった彼はですの口調になってからも

人と話す時には気を使い授業も真面目に聞く

声が大きいのが難点だったが、欠点らしい欠点はなかった。

そんな彼が必死になって戦っている。


「ギギギイギアガガアッガガ!!!」

怪物ののしかかりはより厳しいものとなり

夏凛にはもう支えるほどの力がなかった。


「私ね、隠してたけど」

「はやく、行ってくださいの……!」


出会ったばかりの私にそこまで命貼らなくていいのに

女子の前だからってカッコつけてるつもりか?

それでも、私以外の人が死ぬのは許せない。


「不死身なんだ」


薫は夏凛を怪物の体の範囲外へ蹴りだした。


「え……?」

「薫ちゃん、あのバカ子また……!」


——————————————


『また死んじゃったの?薫ちゃん』


ごめんなさい。


『不死身だからってぽんぽん死んじゃうと

私も怒っちゃうからね?』


ごめんなさい。


『でも薫ちゃんがいつも頑張ってること

知ってるよ、愛子ちゃんって友達ができて

夏凛ちゃんの為に身体を張った事も』


ごめん……なさ…い………。


『ふふふ、大好きだよ

薫ちゃん』



懐かしい声がまた聞こえてきた

こちらに話しかけてきてるようだ。


『死んでも死んでも、助けてあげるからね』



私は無敵の力を手に入れたのかもしれない。


———————


「うそ…ですの…………」

「薫のバカ!ほんとうに死んだらどうするの!!」

「ギギギアイガイギイギギ!!!」


「ははは…ごめんね愛子……………」


怪物に押し倒されて死んだ薫は不死身の能力で生き返り

不意をつき氷を生成して怪物の動きを止める。

自身の戦闘方法が無謀である事は分かっていたが

戦闘経験も何もない少女が考えるのにはこれしかなかった。


「夏凛ちゃん!どうにかして怪物やっつけられる!?

私が動きを止めているうちに!」

「大丈夫ですの!重力を強く与えて

こいつの弱点、頭を破壊すれば……!!」


(弱点を知っているのかにゃ!?)


「ギギギギギギギァイガガッガアアァアアァ……!!!」


直後、公園内にうるさい程爆発音が響き渡る。

怪物が纏っていた雪や氷は弾け飛び公園内の地面に散乱し

儚く溶けていった。


「けほっ…けほ……大丈夫!夏凛!」

「大丈夫ですの…感情が高ぶっていて

それほど身体に影響は出ていないので………」

「やばいにゃ!人が来たにゃ!

とにかく、聞きたいことはたくさんあるんだけど

ひとまず逃げるにゃ!!」


愛子は動けなくなった夏凛をひょいと持ち上げ

薫の手を引っ張って自身の家へ帰って行く。

夏凛は運ばれながら(家に帰らないと…ママが……)と

言いたかったが、あまりにも愛子の走り方が

身体に合わなくて、吐きそうになり黙る事にした。

薫はフラフラ手を引かれながら、走っている。




「うわ、なにか爆発した跡があるぞ……」

「昨日もなにかが溶けきった様な跡あったし」

「警察に言った方がいいんじゃね?」


「その必要はないんやで、なぁ桜」

「そうね、私たちに処理はお任せください」


「キミたち……だれ?」

「小学生 中学生?危ないからもう家に帰りな」


「はぁ…………知花、こいつら殺していい?」

「いやダメやろ、桜も上に殺されてまう」

二人の少女は怪物の後片付けに困っていた。

一人は低身長のおかっぱ頭の女の子

もう一人は褐色肌のスポーティな娘


「もう魔法少女いやだ〜!!」

「そんな事言うたってなぁ…」

この子たちは一体誰なのでしょうか。

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