【殲滅】
リメイク版投稿。
天魔の邂逅はどうしたかって?
話が思いつきませんでした。
魔王ディフェル
3/30段階でこれを合わせないので9ほど残っているので一ヶ月は持つかな。
魔王ディフェルの世界征服
リメイク版
※はじめに、今日4/7からリメイク版を投稿します。更新頻度は未定。
第1話:【ヒューラン伯爵領主要都市陥落】
「やっとこの日が来たか」
と、15,6歳の少年は薄暗い洞窟の中でそう言う。
彼の目の前には大きな蒼い水晶のようなものが浮かんでおり、その周辺に何やら画面が広がっていた。
その画面を操作しながら彼は映し出された町を見てこう告げた。
「魔の者達よ、今こそ顕現せよ!!【解放】」
と。
その瞬間、画面の向こう側で何かが起きた。
突如、伯爵領全域に及ぶ揺れが発生した。
震源地である画面の向こうのあの町は激しく揺れ、町の中央が大きく陥没した。
その穴からは高濃度の魔力が溢れ出し、町全体を覆う。
「さあ、殲滅せよ!!我が下僕達よ!!」
陥没したところから音がし始め、一気に大量の魔獣が溢れ出した。魔獣は中央に空いた穴から出現して直ぐに人々を襲う行動に移った。
「グルアアアアア」
ある魔獣は咆哮し、人々を怯ませ、ある魔獣は飛びかかって人々を殺していく。
ついさっきまで平和だったはずのこの町は一気に大量の魔獣が蔓延る地獄へと化していった。
「クソッ一体何が起こってやがる!!」
「報告!」
「何だ!私は忙しいのだ!!」
「つい先ほど魔王と名乗る者から通達がありました」
とある兵士は魔王と名乗る者から渡された手紙をこの町の領主に渡した。
『今日の正午にヒューラン伯爵領に宣戦布告する。
とあるダンジョンの支配者、魔王ディフェル』
と書かれていた。領主である男はその手紙を握りつぶし告げた。
「今すぐこの町周辺の駐屯地から兵を掻き集めてこい!!ついでに王国軍にも要請しろ!!」
「はっ」
1人の兵士が命令を受けて部屋を出て行った。
そして、直ぐにまた別の兵士がやってきた。
「報告!この町にゴブリン、オーク、オーガ、スライム、リザードマンの群れが向かってきています。
それに加えて東からはワイバーン、北からは魔王の主力部隊と思われる、魔王α(仮)、獄炎龍、死滅龍、天空龍が………」
1人の兵士は窓から見える光景によって言葉を失ってしまった。
急に黙った兵士に怒鳴るが、徐々に顔が青くなっていることから何か異変が起きているのであろうと気づいた領主は窓の方を見た。
すると、そこには赤い色の物体が引っ付いていた。
その赤色の物体は今から窓を突き破ろうと体当たりを繰り返している。
「ブラッドスライム……」
ブラッドスライムはスライムの上位種だ。普段であればここにいる兵士でも難なく倒せるだろう。しかし、今回はそうではない。
普通のブラッドスライムではなく、ギガントブラッドスライムだった。
ビックを超えてギガントまで達してしまったらもう、どうしようもない。
手遅れと言っていい。このスライムがここまで大きくなったのも住民の血を吸ったからに違いない。
「領主様!!ここは私が」
「いや、いい。私はこれでも元王国軍『紫炎師団』の副団長を務めていたんだ。これくらいは……!!」
領主は手を突き出して言葉を紡ぐ。
「煌めく炎よ、すべての生き物に安らぎを与え、悪し者を浄化せよ!!【紅炎波動】」
彼の魔力が浄化の炎となって魔獣を襲った。
悲鳴をあげて逃げるスライムを無情に飲み込むそれは周りにいる魔獣を一気に消滅させた。
「雑魚ではないか。カナイよ、あれくらい倒せんと我らを守れんぞ」
カナイというのは先ほどの兵士だ。
領主はそいつにそう言ったが、彼はもうここにはいなかった。
代わりにいたのは死神だった。
「し、死神!?」
慌てて逃げようとするが、死神が目の前までやってきて鎌を構える。
「やめろ……やめろぉぉぉぉお!!」
『断る。我が神を苦しめた罰だ。特別に踊り食いしてやろう』
死神はそう言い、何かを呟いて領主を縛る。
そして、大きいオーガが出現した。
オーガは餌を見つけると気持ちの悪い笑みを浮かべて獲物に襲いかかった。
オーガがはじめに喰らい付いたのは脚だった。
体を掴まれ、逃げることも動くこともできない獲物を満面の笑みで喰らう。
「がああああ!!」
脚が食い千切られ、血が噴き出す
意識を今すぐ失いたい。
けど、失わない。
オーガは噴き出した血を見て一滴も溢すまいと口へ持って行き、ジュースを飲むかのように吸い上げた。
「あぁ…………」
段々意識が遠のいていく。
このまま死のう。そう思った時、再び現世へ戻された。
「神より授かりし聖なる剣、魔を断ち切り希望を与え、導く剣よ、危害を加えし者の魂を浄化せよ!!【神聖導者】」
輝く一筋の光がオーガの右胸を貫いた。
『貴様は……!!』
死神はオーガを倒した人物を見て驚く。
その人物とは──。
「クレフリール王国所属、『光明』萩野 流海だ!!それ以上の王国への攻撃を止めろ!!レーナ!今のうちに蘇生を!!」
「希望を与えし光、皆の願いより、彼の者を癒し、奪われし未来を取り戻せ!!【蘇生】」
レーナの手から光の波動が領主の体を包む。
「よくもこんなことを!!お前らの望みはなんなんだ!‼︎」
「逆に問う。お前に理由を教えたところで何か変わるのか?」
死神が理由を答えようと口を開けた瞬間、この場にいなかったはずの者がそう言った。
「我が名はディフェル。魔王ディフェルだ」
『魔王様!?ここは私が……』
「不要だ。この程度の敵を倒せなかったら力を授けてくれた者達に顔向けできん。お前は直ちにこの街から去り、港町スノウリーフを襲撃しろ。貿易拠点を破壊すればあとは元の場所に戻って(キィィン)構わない」
勇者の攻撃を話しながら防ぎ、仕返しを行う。
「くっ……!悪し者を裁く剣よ、彼の者に正しき罪を与えん【断罪剣】」
「神を否定する暗黒、未来を失い、希望も失う。無の世界は魔の領域、決して照らされることはなく、全てを閉ざす壁となれ【暗黒世界】」
勇者の攻撃が黒い煙のような物に阻まれた。
全くダメージを受けてない姿を見て絶望しかけるが、希望を失わんと再度攻撃を行う。
「無駄だと言っている。
空間よ、ここに固まりて時よ止まれ、動くことは許さない、全てを生み出すは世界、文化の創造は火、命を育むは水、力を生み出すのは大地、希望を与えるのは光、世界に安らぎを与えるのは闇、10の力よ、今こそ真の力を解放せん。古の力よ、世界を飲み込め【終焉】」
勇者の足元が黒く染まり、周りにいる人々の時間が止まっていく。
そして、魔王の手から赤、青、緑、黄、紫色の光が現れ、その後に金の光と黒い物体が出現した。
それらが勇者と魔王の間で合わさり、黒く、紫色っぽい雷を纏った球体が出現した。
その球体、魔王の攻撃はこの街の中心に飛んで行き、紫の雷を周囲に放ちながら収縮し、爆発した。
爆心からは大量のエネルギーが放射され、辺りを破壊していった。
「勇者といっても大したことはないな。【魔神】の力は素晴らしいものだ」
魔王はそう言って【終焉】に力を注ぐのをやめ、かわりに数時間時間を止める時魔法を使用し、王国の奴らの動きを止めて去っていった。
「僕は………諦めな…………い………………」
勇者は魔法に抵抗していたが、先ほどの魔法のせいで意識を失ったのだった。
──ヒューラン領主要都市制圧。