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〈9〉




ボク、ソニア・フォン・カインベルクがクリス以外のヒロインに接触できるチャンスは五歳の現時点ではない

しばらくはヒロインのフラグを折る作業は出来ないのだ

ワンコ系魔族は見つけさえすれば何時でも接触こそできるが今のボクでは駄目だ

勝率は三割というところ

七割で殺され食われる

ボクが原作のソニアくらいの力をつけるまで手は出せない

他の三人はタイミングを狙って介入しなければ意味がない

クリスを悪く言う噂は母によって根絶されつつある

要するにボクは暇を持て余していた

故に貧民層の様子を見にいくことにした

レオナルド・ギーレンはボクと同じイレギュラー

何を仕出かすか

いや、何を仕出かしたかを見に行くんだ

ボクの存在で原作は壊れつつある

ボクが原作ソニアと少し違う行動を取っただけで、だ

レオナルド・ギーレン、転生者の彼は頭が悪そうだった

無意識で原作とは違う行動を取り貧民層に影響を与えているはず

それがいい影響なら捨て置くけれど悪い変化ならボク自ら手を打つ


※ ※ ※


「気にいらない……」


いざ、貧民層に足を運ぶと早速襲われた

ボクが護衛も付けずベルリネッタと二人でいるからカモに見えたのかな

だから、一組目は気にせず返り討ちにした

気にいらないのは一組目を返り討ちして数分もしないうちに二組目が襲ってきたこと

さっき氷漬けにしたゴロツキの仇討ちなら納得できるが別口らしい

今しがたボクを襲った馬鹿者の末路を見ていなかったのか

見たからこそ出てきたのか

たかだか数人凍らせた程度でボクが魔力切れになったとでも思ったか

真相を知る馬鹿者は氷の中で眠り知る手段は失われてしまったけれどね


「姫様、貧民層のならず者なんてあんなもんですよ」


「以前来たときはもう少しマシだった」


パッと見てわかるくらいならず者の数が増えている

行動の苛烈さもエスカレートしているように感じる


「いくら凍らせてもキリがない」


ボクやベルリネッタに襲いかかるゴロツキが後を絶たない

それに人目を省みず表で堂々と飛びかかってくるのだ

その度に氷の彫像が増えていく

仲間が手も足も出せない相手に無謀に向かってくる

自殺志願者か

彼等には恐怖心が、いや理性が欠如しているように見えた


「雑草のように沸きますね」


「表でこれなら路地はどうなっていることやら……」


氷の彫像を踏み砕き路地へ足を進める

何があっても人を殺してはいけないなんていう前世の価値観をボクは持ち合わせていない

この世界では殺さなければ殺されるなんてよくあること

命を奪うことに躊躇いはなく罪悪感もなかった


※ ※ ※


「ねぇねぇ、そこのお嬢ちゃん俺達と遊ばない?」


「お金あげるよぉ?」


驚くほどベタなナンパされた

しかし、目的は下衆なものだけれど表で襲ってきたのよりは理性的だった


「すまないね。君達に構ってやる時間はない」


「あぁ?ガキには用はねぇ」


「いや、待て。ガキの身なりを見てみろ貴族の娘に違いねぇ」


「拐っちまえば、金になるぜぇ」


本人の前でそんな話をするとは大したものだ

彼等の頭は飾りなのだろう


「姫様、姫様、どうします?」

「相手する必要ないよ」


「御意に」


「えぇ、連れないなー」


「痛い目見たくなけりゃ……あ?足が動かねぇ」


死因がナンパなんて間抜けな男達だ

注意力が散漫だから死の気配に気づけない

無能な彼等に価値はない

処分しても苦情があっても困る者はいないだろうね


※ ※ ※


「ゴロツキの彼等は下半身から先に産まれてきたのかい……?」


奥に進むと顔をしかめてしまうほど生臭い臭いが漂ってきた

そこには蹂躙されつくした女性が捨てられていた

その女は手足を切断されていて逃げることも出来なかったようだ

ボクとベルリネッタに力がなければさっきの男達にこんな目に遇わされていたかもしれない

自分で障害を排除できるからこそ来たんだけどね


「彼女はどうします?」


「精神が死んでるようだし殺してやるのが慈悲だと思うね」


というのは建前でボクは面倒なことがしたくないだけだ

メリットもないのに手足のない女を助ける義理はない

ボクは粛々と女を凍らせる

貧民層に来てから命を狩りまくっている気がする


「以前来たときは見ませんでしたのに……」


「何かあったと見るべきだね」


短期間で無法地帯度が大幅に上がっている

レオナルド・ギーレンのことなど気にしている場合ではない


「一度、掃除したほうがいいね……」


「反王族の貴族が騒ぐのでは?」


「あの害虫共は何もしなくても騒いでるじゃないか」


王族、というより父と母は貴族連中から快く思われていない

前代国王は貴族に頭が上がらない人物だったそうだが父が国王になってから税を貴族の放蕩に使うことを禁じた

それは多くの無能な貴族の反感を買いまくったが現実が見えている貴族達と民は父に賛同したのでヴォルキアは崩壊せずに済んだ

あのまま金を無駄に散らしていたら民が暴動を起こし革命がなっていただろう

いつかのフランスのようにね

暗殺者の大半は未だ放蕩を止めさせられたことを根に持つ無能な反王族派の貴族から差し向けられている

ちなみにゲームではこのあたりの話はなかった


「テメェ等そこで何してる!?」


少し物思いに耽っていたら、さっき殺した女を壊したであろうならず者が帰ってきたようだ

その脇には猿轡で口を塞がれた女の子が抱えられていた


「君には関係のないことじゃないかい?」


「いいから答えろぉ!」


目が充血しているその男はややヒステリック気味に叫ぶ

表でボク達を襲ってきたゴロツキにも余裕を感じなかった


「応えることでボクになんのメリットがあるんだい?」


ボクはそう肩を竦めて答えてみせると男は脇に抱えた女の子を投げ捨て粗末なナイフで切りかかってきた


「君の知ったことではないだろうけど――学べよ虫けら」


小細工を用いずゴロツキはただ突っ込んでくるだけ芸がない

つまらない実につまらない人間達だ

少し気になることがあるから殺さず手足を凍らせる程度にしておく


「女の子を乱暴に扱うなんて男の風上にも置けない下衆だね」


足が凍ったことで勢いよく倒れてくる男の顔を蹴り上げて昏倒させる


「ベル、その女の子に怪我がないか見てあげて。ボクの記憶が正しければ侯爵家の令嬢だから」


「御意に」


男に半泣きで抱えられていた女の子はクラリナ・アスカルト

一度だけ顔を会わせたことがある侯爵家の令嬢だった





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