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〈7〉


一応、ユリウス・パーシブルはゲームの登場人物である

役割は噛ませ犬

クリスに惚れる害虫の一匹

姉のカミーユ・パーシブルや周囲に甘やかされて我が儘で自己中な馬鹿に育ってしまう

ゲームでは選民意識高くて傲慢でクリスの見た目に惚れ求婚して本気でフラれているのに照れ隠しと思い違いをしてしつこく付きまとい挙句の果て主人公とクリスの関係を深める噛ませ犬道を突き進む馬鹿である

何故、主人公が嫌がるクリスを脅して強引に騎士になったと思えるのかがわからない

脅迫されたからといって泣き寝入りするほどゲームのクリスは弱くない

もし、レオナルド・ギーレンがクリスに手をあげようものなら父アレクトルに始末されるのがオチだ

嫌がるクリスに付きまとうユリウス・パーシブルが父に始末されなかったのは噛ませ犬が一応、甥であるからだ

ゲームで主人公に敗北したユリウスは心に深い傷を負ったが処刑はなかった

実に忌々しい話だ

それと同時に笑えない話でもあった

ユリウスが馬鹿になってしまった環境と今のクリスの環境が似通っていることだ

原作のクリスは原作のソニアに毛嫌いされ、暗殺者に殺されかけたり、不出来な王女と蔑まれ、様々な苦難を乗り越えて育った

劣悪な環境であったからこそクリスは曲がらず正義感の強い子に育った

多少、闇を抱えていたがどうでもいいので無視しておく

クリスの正義感はソニアへの劣等感からきてるなんて些細なことだ

要約すると原作のクリスも非常に可愛く、そして凛々しく女神だったということ

原作と違い今のクリスはボクに甘やかされ、クリスを狙う暗殺者はボクとベルリネッタが秘密裏に始末し、汚い大人の蔑みの声は母が掻き消している

流石にユリウスほどの馬鹿にはならないと思うのだけど手は早く打っておきたい


「昨日の今日で申し訳ない」


「いいのよソニアちゃん」


そういう訳で早速、クリスを正しく教育してもらうために叔母を城に呼んだ


「代わりに愚息が迷惑をかけても大目に見てあげてね」


叔母は娘と例の息子を連れてきていた

ギブアンドテイクの関係なのだから当然である


「善処します」


ここでユリウスをキッチリ教育すれば身の程を弁えてクリスに近づくこともなくなり叔母によりクリスの馬鹿化は回避できて一石二鳥だね


※ ※ ※


ボクは客間に待たせているユリウスに対面した

客間に姉の姿がないのはどういうことかな


「お前、誰だ?」


急に入室していたボクに金髪の少年が驚いた顔で名を聞いてきた


「名を尋ねる前に自分から名乗るよう教えられなかったのかい?」


名乗らせなくても少年がユリウス・パーシブルであることは知っているが礼儀というものだ


「お前、偉そうだぞ」


「少なくとも君よりは偉いからね」


花よ蝶よと育てられたユリウスは自分より偉い人に合ったことはない

上から目線のボクにムッとした表情をしている

彼の目にはボクが自分に刃向かった生意気な子供に映っていることだろう


「俺はユリウス・パーシブルだ!公爵なんだぞ!俺のほうが凄いだろ?」


「ハッ、君は公爵家の子息であって公爵の器ではないよ。そうそう、ボクの名はソニア・フォン・カインベルク、王女だ」


思わず鼻で笑ってしまった

馬鹿な自己紹介だったとはいえ、名乗られたからにはボクも名乗っておく


「女?嘘つけ!男みたいな女がいるか!」


ツッコむところおかしくないかな?

もしかして五歳にもなって王女の意味すら知らないのか


「男に見えるなら結構。生意気な子供でも君は客人だ。ボクが丁重に持て成そう」


「お前も子供のくせに生意気だぞ!」


「ボクは君と違って目上の者に無礼を働くほど愚かではないつもりだよ」


「よくわかんないけど馬鹿にしてるな!?」


わからないのに憤然するとはかなり馬鹿のようだ

しかしまだ想定内

どう教育にしようかな

二度と傲慢不遜な態度が取れなくなるまで心を折ってみようか


刃物類を見るたびに発作が起こるよう恐怖を植え付けてやろうか

ボクの氷の魔法の実験材料にしてみようか

色々やりたいことがあって迷うなー

迷うけど、どれもユリウスが無事では済まないのが問題だね


「ユリウス!ユリウス!どこにいるんですの!?」


この声は……よく通るね

聞き覚えがあるようでない声

しかし、誰の声かわかってしまうね


「姉様の声だ!」


「ユリウス!そこにいましたのね!心配しましたのよ!?」


ボクの予想通り、金髪の少女、ユリウスの姉、カミーユ・パーシブルが客間に飛び込んできてユリウスを撫で回している

それはもうだらしない顔で

ボクの二歳上の少女は変態のように鼻息を荒くして弟に抱き着いていた

シスコンなボクがいうのもなんだけどカミーユの実の弟への愛の強さに引くね……


「姉様、姉様、こいつ生意気なんだよ!」


抱き着かれ慣れているユリウスは姉の気持ち悪さを無視してボクの悪態をつく


「まぁ、ワタクシの可愛い可愛いユリウスに無礼を働くなんて何者ですの!?」


カミーユ・パーシブル、ボクの想定以上のブラコンだ……

ボクだって相手の格を測ってから文句をいうよ……たぶん


「イリア・パーシブルからの頼み事でね。君の弟に人並みの知能を与えようと思ってね」


「口を慎みなさいませ」


カミーユの目が細められ殺気を滲ませる

まぁ、七歳の子供の殺気なんて恐れるものじゃないね

殺気を滲ませながらユリウスを撫でる手を止めないのがシュールだった


「弟だけではなく君の教育も必要かもしれないねカミーユ・パーシブル」


「ワタクシは年下に教えられることなどなくってよソニア・フォン・カインベルク」


ボクが誰か知ったうえでの狼藉とは恐れ入った


「よろしい。どちらが格上か話し合おうじゃないか――剣でね」


脳筋のボクが施せる教育は剣術はのみだと思うんだ

真面目に教育するのが面倒とかではない

ボクはクリスのこと以外ではやる気が出ないだけなのだ

礼儀や勉学などは自力でなんとかしてほしい

ボクはユリウスとカミーユを伴って表へ出た





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