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〈19〉

ボク達がドレスを選んでいる間に父が少し余計なことをしていたようだ

教会から司教がわざわざ出向いてきたというのにボク達のドレスを見に行くと駄々をこね、パレードに教会も混ぜろと打診がきたのを父が「民を救わぬ偶像に頭を垂れるお前達を混ぜる意味があるのか?」と天然で貴族の大多数が思っていながら教会を恐れて言わなかった本音を司教二人に真顔で投げつけ断ったらしいのだ

父の傍らで母は笑いを堪え、ギルダーツはこめかみを抑えていたらしい

司教の一人は父の言葉を愉快であると笑い、司教の一人は神など信じていない外道だからよかったものの敬虔な司教なら宣戦布告をしていただろう

貧困に喘ぎ神に縋り付く民から布施を搾り取り己の私腹を肥やす外道の集まりであるダルク教に信仰深い司教があるのかは疑問だけどね

教会には代行者という戦力があり、ヴォルキアの民を先導するだけの力がある

王の言葉より教会の言葉のほうが民に及ぼす影響が大きい

教会を敵に回すとは民を敵に回すと同義

安易な挑発はボクとしては控えてほしい

別に教会が参加したところで大差ないというのに無駄な反感を買うとはそばに母がいながら止めなかったのは何故なのか

十中八九、気まぐれだろうね

というか父がボク達の着替え見たくて駄々こねただなんて国の汚点だね

親馬鹿はいきすぎると怖……気持ちが悪い

ボクのシスコンは綺麗な家族愛だから大丈夫


※ ※ ※


「ところでお姉様、パレードとはどのようなことをするのですか?」


当日のいざ出掛けるぞというタイミングに聞いてくるだなんてボクの妹バ可愛い

パレードといっても大して面白い催しではない

ただボクや父が町を練り歩くだけのことだ

歩かず馬車などを出せばいいと前世のボクなら思っただろうがそうもいかない

王族たるもの自らの足で歩き、国民の生活に触れ、自ら国民に歩み寄らねばならない

というのは建前でヴォルキアには金がないので無駄遣いはできないだけである

馬と馬車なら売ったよと言われたときの驚きといったら言葉にできない

そもそも金がないのなら、パレードなんて開かなければいいと言ったところ母から有難いお話を一日聞かされることとなった

内容は長すぎて覚えていないというか聞き流してたから全くこれっぽちも理解していない

近くで聞いていた父は脳がオーバーヒートを起こして機能を停止していた

クリスは理解できていたようで納得するたび頷いて本当に可愛い

父みたいな馬鹿でも王になれるんだからヴォルキアは本当に末期だね

それはそうとして別に発生させる必要はないけどイベントを回収しておこう


「さて、存分に楽しみましょう」


母の合図でパレードが始まるとあの手この手でクリスに這い寄ると警戒していた老害貴族達はクリスに取り入るためではなくパレードを全力で享受する方向で騒ぎはじめた

拍子抜けすると同時にそれもそうかと納得する

国を食い潰す勢いで毎日遊んでいた彼等は祭りなどが大好きだ

しかし、これ以上のヴォルキアの財政圧迫を阻止するため母が舞踏会などを二か月に一回程度まで減らした

その時の彼等は嘆き悲しんで血の涙を流したという

パレードにおける障害の一つは皺くちゃな顔を喜色に染めていた

老人達が使い物にならないことに気付いた若い貴族達は自らクリスに近づこうとしたが前王世代の生まれだけあって経験不足

騎士に丸め込まれてクリスの視界にすら入れていない

これならボクの邪魔をするものはないね


「どこに行かれるのですかな王女殿下」


やっぱり人生そこまでイージーモードじゃないよね

父の後ろに控えていたギルダーツはボクが動くことを察して移動してきた


「少しクリスと散歩に」


「でしたら私達もお供いたします」


有無を言わせぬ雰囲気でボクに同行しようとする

クリスとのデートにむさ苦しい中年をぞろぞろ連れていけと行けというのか

断固拒否する

お供ならベルネリッタだけで充分なはずだよ


「ボクの邪魔をするのなら全力で行くよギルダーツ……」


「今度という今度は逃がしませんよ王女殿下」


ボクとギルダーツ率いる騎士団は無言で、だけどイキイキと前世で経験することができなかったスポーツのような何かに興じた

うん、いい汗かいたよ

流石、少数で大軍を相手取る騎士団といったところか

団長のギルダーツを中心にボクを囲むことで的確にボクの逃げ道をふさいでいる

しかし、彼等は本来の仕事が王族の護衛だということを忘れてはいないだろうか

他への警戒が疎かになっているような気がしてならない

それだけ彼等が本気という裏付けだね

仕方ない彼等の本気に応えて手札を切ろう


「父上にお願いがあります」


※ ※ ※


「久々に手合わせといこうではないかギルダーツ」


「急にどういうおつもりか?」


「何、ただの余興だ。王たる者、民を楽しませねばなるまい?付き合ってもらうぞ」


「なるほど、娯楽に飢えている民への配慮でありましたか。で、建前抜きで目的はなんですか?」


「可愛い愛娘からお願いだ!」


「そんなことだろうと思ったよ!」


※ ※ ※


「おい、国王と騎士団長が剣舞をしてるらしいぞ!」


「避難したほうがよくないか?」


父はキチンと役目に務めているようだ

ギルダーツが離脱した騎士団なんて公式チートSONIAの敵ではない

だめ押しで母の協力も取り付けた騎士は身動きを取れまい

このパレード、ボクの勝利だ


「お姉様?パレードを抜けてきてよかったのですか?」


ボクの家族唯一の良心は眉を下げて申し訳なさそうにしていた

きっと優しいクリスは自分が抜けては民達の楽しいパレードに水を差してしまうのではないかと心配しているのだろう

それにパレードの主役が消えようと彼等は然程気に止めない

多くのヴォルキア国民は前王の世代に苦労を強いられた

他者を心配する余裕などなく何事も自分が最優先、痛くも痒くもないなら多少の問題には目を瞑る性格が身についてしまっているのだから


「クリスが気にすることは何もないよ。悪いのは姫を拐ったボクだからね」


「お姉様が叱られてしまいます」


「ボクにとってはいつものことさ」


わざわざクリスを連れて抜け出した理由は一つ

原作のクリス・フォン・カインベルクが愛用しているリボンは五歳ととき姉に貰った唯一の宝物だという設定があるのだ

原作のソニアが何を思って毛嫌いしているクリスにリボンをプレゼントしたかはわからない

でも、原作のソニアにクリス愛で負ける訳にはいかない

ボクも今日、クリスにリボンを買ってあげるためにパレードを抜け出したのだ

リボンを仕立ててくれる店はベルネリッタが一日で見つけてきてくれた

そこなら取って置きのリボンを仕立ててくれるはずだと

その前にクリスとのデートを堪能することにしようそうしよう


大学+部活+風邪などで週一投稿が遅れてしまったとお兄さんは言い訳してみたり

あ、駄目?極刑?そらないぜ王女殿下あああ(


後、この話、加執するかも

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