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〈1〉




ボクは転生者だ

ボクは産まれたときから前世の記憶があった

前世のボクは病院のベッドの上で生涯を終えた

それに対して何か思うことはない

前世の家族はボクに対して冷たかった

ボクにとってはそれが当然のことでボクも家族に特別な感情は持っていなかった

前世では生まれつき体が弱かった

ボクは前世の世界をあまり知らない

だから便利すぎる前世より五体満足で体が自由に動かせる今世のほうがボクは好きだ


たとえ、今世の世界がギャルゲーでボクがそのゲームの悪役の王女様だったとしてもだ


※ ※ ※


ボクは第一王女、ソニア・フォン・カインベルク

今世では今、五歳だ

一応、この王国の継承権第一位である


「おねぇたま、あそぼー」


覚束ない足取りでボクに近づいてくる可愛らしい生き物は第二王女クリスティーナ・フォン・カインベルク

ボクの唯一の姉妹であり、このギャルゲーの攻略キャラの一人だ

三歳になって間もない妹

本当に可愛い

前世でも妹が一人いたがクリスと違い生意気で可愛くない奴だった

何故、若い娘のくせに無駄に濃く化粧をするのだろう?

可愛くなれると思ってるの?土台がいいだけあって化粧のせいで不細工になってたことに気付かなかったのだろうか?化粧なんかしてるからニキビが増えてスッピンまで残念になったんじゃないか?

あれは醜い妹だった

互いに名前を覚えていないほどに仲が悪かったし

それに比べてクリスの愛らしさといったらどんな無茶ぶりでもきいてあげたくなってしまうくらい可愛い

何故、ゲームのソニアはクリスを毛嫌いしていたのだろう?

妹の可愛らしさに嫉妬でもしたのだろうか?流石にそれはないか


「おねぇたま、おねぇたま、あそんでー」


舌足らずでお姉様をちゃんと言えない無邪気な天使である妹が上目遣いで懇願してくる

髪と同じ桃色の瞳が眩しい


「分かった何して遊びたいんだいクリス?」


断れないなー

たとえ明日の国民にボクという次期国王の存在をアピールする余興があり、その衣装選びをしている最中であっても断れないなー


「いけません姫様!明日のために最高のドレスを仕立てなければ――」


「なら左から三番目の紺色のドレスにしておいて。理由は聞かなくても分かるよねベル?」


ボクの侍女、ベルリネッタの声を遮り明日パレードに着ていくドレスを言い渡す


「しかし、姫様。あの服は……少し古いですよ?」


作らせて一月で古着扱いだなんてこれだから金持ちは……

いや、ベルリネッタは金持ちではなかったか


「何かある度に採寸をし直して新しいドレスを作るなんて時間と金と労力の無駄だよ。そんな無駄なことをするくらいなら貧民達にパンを渡したほうが有意義だね」


「姫様に飾り気はないのですか……」


ボクの意見にゲンナリとするベルリネッタ


「いざというときただの邪魔なだけの布切れじゃ心許無いだろう?飾り気より実用性を取るのは合理的でいいじゃないか」


「まだ五歳だというのに父王のような脳筋になってしまわれるとは痛わしい……」


ヨヨヨと口元を抑え泣き真似をするベルリネッタ

娘の前で国王を脳筋呼ばわりするとは大した度胸だ

実際、国王は脳筋でガハハハと五月蝿い男だがあれでも国王

今ベルリネッタを不敬罪で裁けるよ


「ベルは見た目を飾る前に口を慎んだほうがいいよ」


口は災いの元

いつかベルリネッタの首と胴体が別れないか心配だ


「おねぇたま、おねぇたま」


三度目の催促

クリスの目にはジワリと涙が浮かんでいる

破壊力は抜群だ!

ボクとベルリネッタは吐血した!

妹よあまりボクの嗜虐心を擽らないでおくれ

クリスを泣かせるためだけに悪役になりかねない


「あぁ、待たせてごめんねクリス。行こうか」


「うん!お庭でね――」


天真爛漫の体現

地上に舞い降りた天使

妹のためにボク頑張るよ

強制力がない限りボクは悪役にならない

父も殺さないし魔王も召喚しない大切な妹を泣かせはしない

ソニア・フォン・カインベルクは善良な王族として生きるよ




それより明日は城下町に下りてクリスの騎士となる主人公、レオナルド・ギーレンを見つけなければいけない





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