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EP1

夏休みをエンジョイしたかと言われれば、大半はそんなことはなかった。俺はめぐみとのラブロマンスに始まり、泰助と出会い、キュウリ体操や様々な怪奇現象に遭遇したりと、散々な夏休みを送ったっていた。ちなみにあのポテト男爵は秘密結社男爵イモの将軍クラスの立場であることが分かった。なんかその意味が良くわからなかったけど、俺は敬愛の意味も込めてこれからはポテト男爵をポテト将軍と呼ぶことにした。


で、散々な毎日を送っていた俺だが、今日は一味違う一日になりそうだ。


なぜなら今日、めぐみと二人きりでデートをするからだ!!!


俺にとって、突如絶対のヒロインとなってしまっためぐみと一緒に二人でデート出来るだなんて、これ以上幸せなイベントは無い。

あの日・・・そう、マッカサードナルドでの、めぐみとラブロマンスな体験をした日以来のラブロマンスを体験するであろう今日。俺は待ち合わせ時刻より少し早めの時間に待ち合わせ場所に到着し、めぐみが来るのを待った。


俺は緊張で震える手を押さえつけながら、数日前のめぐみとの会話を思い出していた。



~数日前~



「あー!今日も夏期講習楽しかったね!」

「そ、そだな~。」


元に戻った塾で夏期講習を受けた帰り道、俺は隣にいるめぐみにドキドキしながら会話をしていた。


「うちのクラスの○○先生ってね、愛妻家なんだってさ。ってか尻に敷かれているらしいよ~。お尻に敷かれてるなんて、少しいやらしい単語だね・・・」

「そうなのか?す、すごいな~。え!?いやらしいか???」


俺はあの日以来、めぐみを意識し過ぎてしまい、このようにめぐみと上手く話せなくなっていた。はぁ~。駄目だな俺って。


と、ため息をついて下を向いたその時、めぐみはピタっと歩くのを辞めてしまった。


「どうした?めぐみ。気分悪いのか?」

「あのさ・・・、きさらぎってさ、最近つめたくなぁい?」


「え!!そ、そうか!?ごめん!そんなつもりはないんだが!」

「わたしのこと・・・嫌いになっちゃった?」


「違う!!違うんだめぐみ!!好きだ!好きなんだ!!あぁ。そのふわふわした髪に包まれながらスーハ―スーハ―したい!!」とは言えず俺は、そのめぐみの問いかけにどうこたえようかと少し悩んだ。


「きさらぎ。ねえ。聞いてる?」

「は!!き、聞いてるよ!!うん!!(危ない・・・もう少しで自分の理性が崩壊する所であった。)」


「あのさ、明後日の日曜日空いてる?」


めぐみはそう言うと、俺の顔を下からチラリと見てきた。


「あ、ああ、空いてるよ・・・(こ、この展開は・・・・まさか・・・まさか・・・・)」


俺は「ま、まさか??これはまさか!?」と思うと、めぐみの話にさらに耳を傾けることにした。


「そっか。あ、あのね・・・。うちの近所にね、でかいデパートが出来たんだよね。そこで・・・デ、デ、デ」


と、めぐみが恥ずかしそうに俺に何かを言いたげだ。大体言いたいことは分かる。ここで俺から言えないようなら男ではない。俺はこぶしを強く握りしめると、


「デート・・・しよっか。そこで。日曜日。」

「!? え!? で、デート???(・・・・・どうしよう・・・・デートか・・・・『デパート開店セールに行って私の好きなトイレットペーパー安いから荷物運び手伝ってくんない?』とはもう言えない雰囲気だなぁあ。しまったな。)」


俺がそう言うと、めぐみは何か考える体制に入ってしまった。


「え!?違う!!?(やっべ!早とちりし過ぎたか!!?)」

「いや、違くないよ!そう。デートしたかったの!!デートしよデート!!あはははは(しょうがない・・・今度お母さんと別の日にトイレットペーパー買いにいこっと)」


「お、おう!!!(やったー!!!!嬉しいいいい!!!!!)」

「えへへ(まぁいいや!結果オーライだ!)」にっこり


と、なんか少し俺が先走った感はあるけど、なんとかめぐみとデートの約束を決めれた。


-----------------------------


とそんなわけで、現在に至る訳である。

俺はデートなんて生まれてこのかたしたこたねぇ。レーザーディスクは何者だぁ?なヨシゾウの大ヒット曲「おら東京さ、いっただ」の歌詞に出てくるようなアナログな人間である。小学生の時から常に落ち着いていて、周りの子供とは別格のオーラを放っていた俺のあだ名は“神様”だった。と言ってもその神様も誰かに恋して心が動くような人間になっちゃ、おしめぇよ。と心の中で平常心を保つために目を閉じて念仏を唱えながらドキドキしまくっていると、いつもの足音が俺の耳に入ってきた。


この足のステップの音の感じはめぐみだな!!!


「うぃっす!!!」という声を発すると共に目を開けると、そこには普段見ないような洒落た格好をした恥ずかしげな、下を向くめぐみの姿があった。


可愛かった。身体のラインがぴったりと分かるような純白の生地のワンピースを着ためぐみは、多分この世の中で一番可愛い生物は何かと聞かれたら、真っ先に「めぐみだ!!」と答えられるようなほど可愛く、そして輝いていた。


俺はめぐみの下を向きながらハニ噛んだ表情をしばらく眺めると、そのめぐみの姿を脳裏に焼き付けようと必死になっていた。と、その時だった。


「ん・・・。に、似合う?かな・・・。」という甘い声で俺に問いかけてきためぐみの身体がクネクネと動き出した。最近分かったんだが、このめぐみのクネクネはどうも恥ずかしがっている時に勝手に出てきてしまう、めぐみの身体を使った表現みたいだ。


俺は速攻で「似合ってる!!超好き!!」と勢いに任せて“好き”という単語を言ってしまった。めぐみは「や、やだぁ。いきなり好きだなんて。ずるいよぅ。恥ずかしいよう」とさらに身体をグニャグニャさせて、俺の返答に答えた。


俺はハッ!!と自分が言ってしまった“好き”という言葉の意味を頭の中でグルグルさせると、少し鼻から血が出てきてしまった。その様子を観ためぐみが「あ!鼻血出てるよ!!」とカバンの中から自分のハンカチを出すと、俺の鼻から出ている血をふいてくれた。


が、そのハンカチからめぐみの柔らかく、どこか優しい石鹸の匂いがしていたため。俺はますます興奮してしまい、数秒後、さらに鼻血を出すことになる。


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