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EP4

―自動車学校―


教習官「はい、後輪差と内輪差が~」

   「高速道路では上限何キロで~」


泰助「・・・」


泰助「・・・(僕は何で自動車教習を受けているんだろう・・・)」

   「・・・・(おかしいな。もともと有名大学に受かりたいからという理由でこの塾に入ったのに。)」


教習官「うーんと、じゃあ泰助くん!このタイヤにチェーンを巻いてくれるかな?」


泰助「・・・(おかしいな)」


教習官「泰助く~ん??」


泰助「・・・・・・・・・・(なんでこんなことに)」


教習官「おらぁ!!!!泰助コラ!!てめぇ。俺の言葉無視してんじゃねぇぞこら。このチェーンでお前の唇と髪の毛グルグル巻きにすんぞコラ」

泰助「ひぃい!!やりますやります!!!すいませんでした!(もういやだ・・・)」



「そこまでだ!!」


ポテト男爵の声と共に、俺とポテト男爵は泰助が授業を受けている教室のドアをバァン!!と勢い良く開けた。


「本来この場所は塾のはずだろう!なのに勝手に妄想能力使って自動車学校にしやがって!!!それなのにこの子たちの親から夏期講習のお金取って申し訳ないと思わないのか!」


ポテト男爵はここまで来るのに走ってきたこともあってか、その教習官にゼイゼイ息を荒立てながらそう言った。


教習官はいきなり自分の教習に邪魔が入った為に、かなり怒った様子で「だれだてめぇらは!!!!   それになんだ!その肩のふざけた芋のマークは!!!!うちではな、タイヤ柄の服しか着てはいけない規則になってんだよ!!そんなふざけたマークしたやつは俺の教習を受けんな!!」とポテト男爵の服の肩にプリントされている可愛らしいジャガイモの絵を指さしながら言ってきた。


ポテト将軍は教習官のその一言にカチンと来たのか


「ふざけたマーク・・・だと?」


といきなりさっき俺と話していた時とは別人のような修羅の顔つきになった。で、気のせいだろうか。ポテト男爵の足元から、なにかどす黒いオーラみたいなのがフアンフアンと出始めているのが見えるのは。教習官はポテト男爵のその様子を見ると、


「な、なんだこいつは・・・凄い殺気だ・・・」と少し怖気づいていた。




ポテト男爵は「俺はな、この肩のマーク。そう!このメークインのマークを馬鹿にされることが大嫌いなんだよ・・・。このマークはな、この国を治めるための“秘密結社男爵イモ”の誇りあるマークなんだ!!お前のような好き勝手やる輩にふざけたマークと呼ばれたくないわ!!怒ったぞ!!俺は久しぶりに怒ったぞ!!!!!!!!!!!!ヌオアアアアアアアア!!!!」と言うと、ダン!!!と自分の足を思いっきり地面に叩きつけ、集中し始めた。


俺は「(秘密結社男爵イモなのに、メークインのマークなんだ・・・)」と疑問に思ったが、今は何も言わないことにした。


「食らえ!!」


そう言うとポテト男爵は腰を180度曲げ、手を前に勢いよく突出し、攻撃の態勢に入る。さらに


「天と地から蘇りしジャガイモの神様よ。我に力を授けたまえ・・・・・、行くぞ!!!ジャガイモカ・ルビーダイナソープレス!!!」


そう言うと、どこからかオッサン小鳥を集結させ、まるで恐竜の足のように変形させると、それで一気に教習官をグッシャァアアと押しつぶした!!


教習官は「ぐわぁああああああああああああああああああああああああ。タイヤが!!!タイヤが!!!!四輪のタイヤが俺は好きだったんだああああ」とよく分からない断末魔をあげたかと思うと、口からポワァンと見たことも無い黒い塊をゴロンと出し、その場に倒れた。


俺が「やべぇよ。死んだんじゃないのか?コイツ」と思いながら教習官を見ていると、ポテト男爵が「ふぅ」と一息つきながらテクテクと俺に近づいてきた。


「見給え。教習官を。なにか黒い塊の様な物が出ているだろ?これはこの者の妄想能力の塊だ。きさらぎ君。触れてみたまえ」

「え・・・でもコレ色的にどう見てもゲロっぽいんですが・・・。」


「大丈夫だ。僕を信じて」

「あ・・・はい。」


俺はそのポテト男爵の言葉を信じて、その黒い塊を触ることにした。


するとどうであろう。俺の身体は黒くなりだしてしまったではないか。このまま日焼け肌になってしまうのは嫌だ。と思っていたその瞬間、俺の身体はまた元の肌色にシュゥウウウンという音と共に戻っていった。ポテト男爵はそれを確認するとこう言ってきた。


「きさらぎ君。今君の中にこの教習官の妄想能力が手に入った。実は妄想能力で妄想能力者を倒すと、倒した方の妄想能力を吸収することが出来るんだ。今の肌が黒くなったのが妄想能力を吸収できた証だよ」

「な、なるほど・・・。で、この能力は・・・どう使えば良いの?」


そういうとポテト男爵は特殊な眼鏡をササッとカバンから取りだし、俺を見てきた。


「うーん。どうやらこの妄想能力は”特定の建物を自動車学校に変える”という能力みたいだ。あまり実用性は無さそうだなぁ。あ、ちなみにこの今着けた眼鏡は人の中に存在する妄想能力を調べることが出来る優れものなんだ。と言っても、今みたいに黒い塊を吸収した人しか見ることが出来ないんだけどね。」

「そうなんだ。あ、じゃあ、俺の中に眠る潜在的な妄想能力がどんな物かもその眼鏡で観ることが出来るの?」


「いや、それは出来ないんだ。悪魔でこの眼鏡は今みたいに他人の妄想能力を吸収した人で、さらにその吸収した能力は何かを調べる場合にしか見れないんだ。もともと人の中に眠る潜在的な妄想能力は自分で見つけるしかないし、こういった道具でも見つけることは出来ないんだよね。」

「なるほど。自分も早く自分自身の中に眠る妄想能力を見つけたいな」


「ふふ。まあ焦らなくても君はオッサン小鳥に目を着けられた優秀な人だ。すぐに見つけることが出来るよ」

「そ、そっかぁ」


「ちなみに他人から手に入れた妄想能力は、本人みたいに自由自在に使えるわけではないから注意が必要だよ。まぁ今手にいれた能力は使う場面が無いだろうから、別にアレなんだけども」

「まぁ・・・そうだね。」


ポテト男爵と俺はそんな話をしていると、俺は気になっていたあの、1日で洋菓子店から和菓子屋、さらには内装をマッカサードナルドへと変貌を遂げたあの店についてもポテト男爵に聞いてみることにした。ポテト男爵曰く、それも多分解放された妄想能力を使ったからということだ。その店の主が潜在的に持っていた“店を変える”という妄想能力が働いたために、そのような変貌を遂げたとのことであった。


「その店が変わったのも海老首相が国を自分の妄想能力で国民をコントロール出来なくなったからなのか?」


「多分そうだろうね。普段歴代の首相たちが、妄想能力で国民の妄想能力が出ないように縛り付けているのは、そういった日常では考えられない事態や妄想能力を使った犯罪を無くすためなんだよ。まぁその異様な変貌は遂げてはいるものの、人に害を与えないその店の主人が使うような妄想能力なら、使っても何ら問題ないんだけどね。まぁ一人の妄想能力の開放を許してしまうと、なんであいつだけ!!ずるいぞ!!ってなことになってもめるから、普段はめったに解放されることは無いんだよ」


「へぇ~。あ、でも外は和菓子屋で、中はなんでマッカサードナルドなんだろう」

「それはその店の主人が、まだ妄想能力をコントロール出来ていないからかな。」


「なるほどなぁ」

「まぁ妄想能力は強い精神力を持っていなければ、中々実現化できない力だからね。まぁコントロールはかなり難しいよね。」


「あ、でも大きな音がする前、つまり海老首相の精神力が全国に飛び散る前からあの店はもう変貌を遂げていたけど・・・」

「あー。まぁたぶんそれも海老首相の精神力が弱くなり始めていたからだね。」


なるほどなぁ。あの洋菓子店の店の人はあの店を違う店に変えたかったのか。



てかそういえば、俺は放置していたおかげで今でもポカンとしている泰助の存在に気付いた。で、今までの話を泰助に全部話すと、ドラゴン○―ルの悟空みたいな顔になり、泰助は「オラの中に眠る強い潜在妄想能力かぁ・・・なるほどなぁ。オラ、もっとつえぇやつとたたかいてぇ」とか言い出した。お前も俺も、まだ一回も悪事を働く妄想能力者と戦ったことないだろうが。なんて心でツッコミをした。


でついでに、自動車学校の運転シュミレーション室から、「ぶるんぶるん」と口でエンジン音を発しながらハンドルだけを持ち、教室内を走り回っているめぐみを無理やり救出し、今までのいきさつを説明すると、これまたドラゴンボー○のチチみたいな顔になり、「あんれ~やんだ~楽しそう~・・・悟空さ!!!!!!!!!!」といきなり叫びだした。ちょっとビクッとして驚いたし、なぜ俺が「悟空さ!!!!!」と怒鳴られたのかよくわからなかったが、どうやらめぐみも理解したみたいだった。


泰助はオッサン小鳥と会っているため、強い妄想能力を持っているという事は言うまでも無く、俺と同じで秘密結社男爵イモに加入することになった。で、オッサン小鳥と会っていないし、他人の妄想力にコントロールされつつあっためぐみは結構何も役に立たないらしいが、なんかの役には立つだろうということで、めぐみも秘密結社男爵イモの一員になれたみたいだ。


こうしてなんだかよく分からないまま、よくわからない俺の物語がスタートした訳である。


ちなみにさっきの教習官を倒した後は、また普通の塾に戻った。そして、実はさっきの教習官が変貌を遂げた塾講師の一人だとは誰も気づかなかった。しかし、妄想能力の力を取られた今では、普通の状態に戻り、普通に俺たち塾生に勉強を教えてくれる優しい先生に戻った。が、まだ自動車学校の教習官になりたいという気持ちは捨てきれていないらしく、その講師は背中になぜか自動車のハンドルを背負って塾で働くようになってしまった。

そんなに自動車学校の教習官になりたいなら、教習官になれば良いのに。と俺たち塾生の葛藤は続くが、無事に塾でまた夏期講習が受けられるというのはとても素晴らしい事だということで、とりあえずこの件は終わりにしようということになった。


で、結局漢字テストの『グギャオアラ』の意味は最後まで分からないままだった。


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