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私の勇者様  作者: ホンダ アオハル
4/11

勇者様とジルア

「全ては計算だったのです。」

リンは自慢気にそう語る。

「わざと地下牢に閉じ込められたのですよ。」

「そうか。」

「おかげで城の地下へ

入ることが出来ました。」

「そうか。」

「あとはこの牢屋から出て

王様に会うだけ…。

私の計算のおかげでね!」

「自分で言ってて悲しくならないか?」

「うぅ…。」

リンは俯き涙を浮かべる。

「まぁ良いや。ほら、牢屋の鍵は開いた。

番兵の目を盗んで地上に出るぞ。」

「えっ!?どうやって開けたんですか?」

「簡単な鍵だったからな。

針金で開けられた。」

「勇者様…たまには凄いんですね!」

「たまには、かよ。」

「ふっふっふ…見てて下さい…。

私の音を殺して歩く秘技!音殺歩行を!」

「技のネーミングがまんまだな。」

「こーいうのは雰囲気が大事なんです!」



その後、長い時間をかけながらも

何とか番兵の目をかいくぐり、

地下牢から脱出出来た。

(途中面倒臭くなったリンが

強行策を提案したが全力で止めた。)

しかし、その努力も虚しく、

「よっしゃ~!地上だぁー!」

地上に出て叫んだリンの声は地下にも届き、

2時間弱かけた脱出は水の泡となった。

結局縛られた状態であっても、王の前に

突き出されるという形でジルアと再開

出来たから良いのだが。


「あっはっはっは!!面白い

方法で入ってきたなぁ!!」

ジルアは高らかに笑う。

「あは…。あ、それより縄を…。」

「ん?ああ、すまんすまん。おい、

こいつらの縄を解いてやれ。」

王の命令を受けた兵士が2人の縄を解く。

「で、魔王の城の鍵だったな。」

「はい、お願いします。」

ジルア小さな箱から何かを取り出す。

怪しく光る、少し大きめの鍵だ。

「これが、その鍵だ…が…」

「が?」

リンが不安そうな顔をする。

「お前達は…これを何に使うつもりだ?」

「もちろん魔王の城に入る為に…。」

「入ってどうする?」

「もちろん…魔王を倒します。」

「俺が心配なのはな、お前達が

魔王に敗北し、死ぬことだ。

魔王の城に入る鍵は俺が

知る限りで3つしか存在しない。

1つはこれ、もう1つは西の果てにある

ハルジア王国の主が、最後の1つは

魔王自身が持っているはずだ。

が、ハルジア王国とは3年ほど連絡が

取れない状態が続いている。」

つまり、とジルアは真剣な顔で口を開く。

「この鍵が魔王の城に入る最後の手段…

である可能性もあるわけだ。」

「…」

ゴクリ、とリンが唾を呑む。

「お前達が魔王の城で死ねば…

世界は本当に救えなくなるかも

しれない。この鍵を託すということは、

そういうことだ。」

数秒の沈黙の後、またジルアが口を開く。

「鍵を託す前に確認する。

お前達には絶対魔王倒すという

鋼の意志があるか。」

「もちろんです!」

リンは威勢良く答える。

「君は?」

俺は。俺は。


答えられなかった。

「勇者…様…?」

リンが自分を見つめる。

期待に応えてやりたい。が、

軽々しく答えられる質問ではない。

この世界の命運がかかった鍵を、

俺なんかが受け取って良いのか。

自分にとっては何の思い入れもない世界。

だけど。

「君は…まだ決意出来ていないようだな。」

「…すみません。」

俯く自分に対し、ジルアは穏やかに笑った。

「構わないさ。そう簡単に

決められるものでは…ぐっ!?」

突如、ジルアが胸を抑え苦しみ始める。

「!?…どうしました!?」

「っぐっ、あああっ、がああっ!」

何だ、一体何が起こっている。

「カハッ!ぐっ、お前達っ!

逃げっ、ぐあああああっ!」

目の前の光景が信じられない。なんと

ジルアの姿が、徐々に恐ろしい魔物の

姿に変わっていっている。

その時、ジルアが持っていた鍵が、

床にポトリと落ちた。

「リン!あれを取れ!」

「はい!」

咄嗟に命令する。

リンが素早く鍵を拾い戻って来る。

「よくやった。」

リンを褒めてやる。

とりあえず鍵が無事で良かった。

そして僅か数分の間に、

ジルアは完全に魔物の姿となる。

「どうなってるんだよ…。」

「魂を魔物に乗っ取られたんです!

こうなってしまってはどうしようも…。」

「魂を…?」

「鍵…鍵…鍵ヲダセ…」

「勇者様!倒しますよ!」

リンが剣を抜き、

魔物に飛びかかろうとする。

「待てよ!あの魔物を倒したら、

ジルアさんはどうなる!?」

「…死にますよ。」

「なっ…!!お前っ…!」

「仕方ないんですよ!じゃあここで

私達も死ぬんですか!?

助かる為に…鍵を守る為に…!!

世界を救う為には今目の前にいる

魔物を倒すしかない!!」

「嘘だろ…。何でこんな…っ!」

「勇者様!構えて!来ますよ!」

最低最悪の戦闘が始まった。

4話目です。

前回よりユニーク数が3倍多くなっていて

嬉しい限り。

タイトルの勝利かな?w


ではまた5話目で!

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