勇者様の濡れ衣
「さて勇者様、問題です。
情報がよく集まる、
正に情報の宝庫とも言える場所は?」
「酒場…か?」
「よく出来ました!!
さぁ入りましょう!!」
「目の前に酒場があってその問題を
出されて間違える奴を見てみたいよ…。」
「そこの叔父さん!」
「だーれが叔父さんじゃあ~?
ワシはこう見えてまだ32じゃぞぉ?」
高級そうな服を着た中年男性は答える。
しかし酒臭いな。当たり前だけど。
「やっぱり叔父さんじゃないですか。」
「ていうか酔いすぎだろ…。」
「うるせーよ!で、俺に何の用だ!?」
「あのっ、あそこに魔王の城
ありますよね?あそこの鍵の
ありか、知ってます?」
「あぁ~?あぁ~、あれなら…」
「あれなら?」
「教えなーい。
一杯奢ってくれたら考えてやるよ。」
「くっ、仕方ない。どうぞっ。」
「ありがてぇありがてぇ。
あの鍵なら確かなぁ…」
「確か?」
「俺が持ってるよ。」
「え?」
「は?」
「嘘じゃねーぜ?
欲しけりゃやるから家に来いよ。」
「ホントですか…?や、やった!
勇者様!いきなりビンゴでした!」
「何もんだよおっさん…。」
「で、叔父さんの家、どこですか?」
「城だよ」
信じられない言葉が飛び出す。
城とはまさか。
「聞いてたか?城だぞ?城。
ここ城下町だろ?近くに赤い城
見えてるだろ?そこだよ。」
「え、いや、あなた様は」
「王様ですが何か」
「ひゃああああっ!叔父さんなんて言って
ごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい!!!」
リンが土下座する。
「ははっ、気にせんで良いよ。
よし、んじゃついて来い。
城まで案内してやるからさ。」
「はっ、はい!王様!」
「堅苦しいなー。俺はジルアだ。
ジルアさんで良いよ。
何なら呼び捨てでも良いぜ。」
気の良いおっさ…もとい王様だった。
「お城!大きい!お城!大きい!」
「魔王の城の方がでかかっただろ!」
「何で勇者様はそーゆーこと
言っちゃうかなー。
テンション下がります。ムスッ。」
「悪かったな…。てか『ムスッ』とか
実際に声に出す奴見たことないぞ。」
「ほら、入るぞ」
ジルアが城の中へ入って行く。
「俺達も入るか…。」
自分達もそれに続こうとする…が、
番兵に止められる。
「王家の方や、王家に仕える者以外の
入城には、許可証が必要でございます。」
「あー、そんな決まりもあったっけか?
まあ、そういうことだからその辺で
許可証調達してきてくれや。
待ってるからなぁ~。」
「えぇぇええ!?ひどいですよぉ…。」
「まぁ当然と言えば当然だな。」
「許可証はどうすれば手に入るんですか?」
リンが番兵に尋ねる。
「ん~、基本的に王家の方、
或いは王家に仕える方が発行するの
ですが…。ジルア様はその辺は全て
大臣に任せてるので知らないのでしょう。」
「いい加減だな…」
「番兵さんは王家に仕える者には
入らないの?」
「入りませんね…。城下町に
いる王家の方に発行して貰うしか…。」
「城下町に王家の方なんているのかなぁ…。」
「…まぁ王様が酒場で呑気に
酒飲んでるくらいだし、1人くらい
いるんじゃないのか?」
「と、いうわけで…。」
リンが怠そうに口を開く。
「王家の方或いは王家に仕える方を
探していきましょうか…」
「テンション下がりすぎだろ…。」
「何か…ねぇ?」
「わかんねーよ。」
と、そこに勢いよく走ってくる男が、
「きゃっ」
リンにぶつかった。男は謝りもせず、
走り去る。
「何ですか今の~。感じ悪~。」
「ん?リン、お前さっきまでそんな
袋持ってたか?」
「ふぇ?何これ?うわあ!宝石が
いっぱい!良かったですね!勇者様!」
「おい…それは凄く凄く嫌な予感が…。」
「あいつらだ!あいつらが犯人だ!」
先程ぶつかった男が叫ぶ。
ああ、やられた。
最 悪 だ。
「捕まえろ!!牢屋へブチ込め!」
「リン、抵抗するなよ…。
こういうのは大人しく捕まるのが
一番良い…。」
「え~、まぁ勇者様がそう言うなら…。」
こうして俺達は地下牢にぶちこまれた。
3話目を読んで下さった方、
ありがとうございます。
因みにラスト以外は
全く考えてないので、
その場で考えてます。
なので行き当たりばったりな展開に
なってしまったりしてるかも?
ではまた4話目で~。