改める湖
人が腐るという冒険とは相まって、異なる描写をしています。
僕は50歳で親父が80歳と謳われる世界で生きていた。
「何故、預言をするのか分かるか?」
「さあ、分からない。どうせ気にするほどでもないんだろ?」
「君も50歳を超えている。なのに変化すら感じられないのかな」
預言者はこう言って僕を知ら絞める。
何が年齢か、13歳と呼ばれた時間はこれからも続くのか。
不穏な日々を送る父と浮気相手がずっと気に掛かっていた。
父「お前だって余命があるだろう」
僕「余命どころか薬漬けの毎日、既に手遅れだよ」
父「つまらんな。そんな道さえ築いて落とした」
親父から得られない言葉なんて何にもない。
どこが上手くて何が下手なのかそれも分からない。
何処から突き抜ける風が吹いたのか。
水さえ無ければいいのにな・・・。
ブヨ「無い者なんて無いんだよ」
僕「窮屈なんだ、時間が足りないと駄目なんだ」
ブヨ「教えてくれ。ボクも時間が無いんだ」
ブヨもそうだ。時間がない旅に付き合っている。
時の遅れを感じるのにそう宥められると面白くも無いかも。
どうしてブヨを材料に食べているのだろう。
経験値を獲るために倒した相手だと言うのに、笑顔かよ。
もう少し甘さが欲しいんだ僕は。
ブヨ「何を思っているの?」
僕「このパロメーター、99.1になるとね、預言が起きるんだ」
ブヨ「何の預言だろう?」
僕「ごめんな。予言が当たるとこの世の終わりだってさ」
ブヨ「あ、そおう。色々あるんだね、まぁ、気長に行こうよ」
あの預言者の言うような事が起きるとすれば?
もし、雑草も水も生えて流れていなければ?
どうすればブヨを美味しく食べれたのか?
経験値があれば強くなると言うのも所詮、自己満足なんだろうな。
ブヨ「次の街は・・・緑がうるさくてね、ボクは苦手なんだ」
僕「少し、歩きすぎた気がする。緑と言うと、煮我汁を思い出すんだよ」
ブヨ「ニガジル?何それ、美味しいの?」
僕「全然、親父はよく吸っていたけどね。甘いんだと言ってた」
父はよく麻薬を吸っていた。
葉巻に混ぜた単純な方法で誰かから手に入れたそうだ。
そんな方法でいくら浮気したからといって、それが社長に認められるなんて、それのどこが楽しいんだろう。もう少し楽しい話は無いんだろうか?
ブヨ「手短に言う。次は二度と這い上がれない」
僕「そうか。じゃあ、次は歩けないという事だね」
ブヨ「そうさ。簡単過ぎる、中身さ」
簡単過ぎる。父が言っていた簡単過ぎるという言葉・・・。
何がそうさせたのか、大体分かるんだけど、それも時間が経つにつれ忘れ去られてしまうのだろう。
80歳なのに走れるんだからな、どうせ体中に麻酔でも打っていたに違いない。
時間さえ在れば・・・緑はそれほど苦くも無いだろうに・・・。
ブヨ「着いたよ」
僕「ニガムシの街・・・臭いな」
ブヨ「当然さ。ここはね腐ってるんだよ」
僕「へぇ、なんかとんでもなく臭いんだな・・・」
――――――――
街が腐る。
腐ると言えば色々あり、人も腐ると言う。
羅針盤が99.8を指している。
危ない予感がする。
気を付けよう・・・。




