僕と父の挨拶
※挿絵、大分昔のボールペン絵です。
―幻の目、よみがえり弌時間前―
僕は今まで何をやっても失敗してきた
母も失い、父と8050問題の時点だった。
父「よくやったな」と言ってくれたのは僕がちょうど病も終え、面接合格したころだ。
ほほえみ父の方で背を向け照れる僕。
しかし、背の方へ冷たい突起物のようなものが感じられた。
父「死のう」
僕「なにを言っているんだ?」
と、言うと父が黙り、さきほどの喜びが嘘のように途絶えた。
目を覚まし、見慣れる明るいところで心の中では父と僕は揉めていたようだ。
僕「よくもやってくれたな」
父「遅すぎたんだよ」
父はそう言うと、逃げるようにその場から去っていった。僕は父を追った。
暫く走った。息も上がった。
僕「ここは、どこだ?」
二人で町らしきトコロへやってきていた。
父「ついてきたのか、偉いな」
僕「これでも病み上がりなんだよ。何が死のうだよ、包丁突き立ててさ」
父「当然だろう?今まで付き合ってくれたお前への感謝のつもりだよ」
そういって微笑むと僕に向き合った。
父「話しておくことがあるんだが、ちょっといいかな。包丁もないし。ついでに俺にパートナーが居たことも」
実は、父はこれまで僕が病気だと偽っていたという。母が亡くなる前から精神科医と浮気をしていて職を転々としていたが、本当はさきほど合格した名門企業の由縁あってのことだったという。その企業の社長から命じられていた。
父「お前の病気が回復まで長くかかったのはその企業の治験薬に打ち勝つためだった」
僕「じゃあ、あれほど厳しい試験に合格させられれば問題ないじゃないか」
父「世界のトップシェアに君臨するほどの薬物競争に名を付けられるし多くの資金提供があるというのが本音だよ。俺は常にそんなお前の病気や生活の世話をし、時間も取れず無理もしていたことだ。それを事実と認めさせていたのも」
僕「確かに病気で勉強すら満足にできていなかった」
その事が父の導くままにやっていれば徐々に慣れていったから、だから父こそ大事にするべきだと思っていたんだけど、違うのか。
父「当然だ。俺はたった一人で多くの支援を集めてきたのだから」
僕自身は父のパートナーの精神科医のだす治療薬、つまり名門企業の治験薬により経緯によれば晴れて名門企業の面接へ合格でき名目上は国の認可がおりる、という事になっている。
父「お前は、俺の自慢だった」
僕「名門企業の計画の内だったら、父さんも消されるのか?」
父「ああ、そうとも、普通だったら。お前には相当苦労させられたと思わせた。一度俺は消されるけど。もし生き残れたら奇跡だろうな」
僕「じゃあ、パートナーはどうする?なぜ死のうといった?」
父「いやいや、俺はパートナーと残るってこと。お前はもともと母さん、いや俺の愛人の子だ。俺の子供はパートナーの彼女と作るから用済みになったということだ」
僕「どういう意味だ」
父「俺は一時的に長から消される。だがそれは死ぬことじゃない。俺もデーターだから」
“お前を育てる気はなかった。俺こそがお前を殺し名門企業の要になる”と父は続けて言っていた。僕は精神科医である彼女のサンプルに過ぎない。手を組んだのだ。
父「初めからできると思わなかった。しかしお前は見事合格した。お前は俺の駒だったのだ。だから死のう。お前だけでいいから」
僕「い・や・だ」
精神科医と組み何事もなかったはずの僕を精神病という扱いにし、障害を持ったとした。そこで苦労していたであろう父が世間の注目を浴び有名になることが目的だった。その裏の手を繋いでいたのが精神科医である父のパートナーであり、その息子が献身的な治療によって名門企業へ合格させられたという実績を残した。だから父と精神科医こそその名門に新たに貢献できる。僕自身がこれからどうなろうとも現実的に実績が残ったことは事実だろう。そう、僕は幼いころから母しか居なかった。父を前に気を失い真っ暗になった。
僕「・・・ここは?」
?「気が付いたか」
なぜか老父のような恰好をした預言者が現れた。預言者は僕にこう言った。
預言者からは「あなたには時間がない」と言われる。そして「あなたは父を恨む以前に多くの復習・・・、悲しみになるような愛なき殺動、裏切りなど悪い事をしてきた」といい右を指す。そうするうちに空間が歪んでいるように見えた。
僕はその訳の分からないその空間を「何だこれ?」と見る。
預言者から「あなたの得た犠牲者を数にしたもの、それをエンドサークルと呼ぶ」と説明され、よく見るとそこには99.5という数字が示されておりさらに数値について説明があった。
預言者「エンドサークルの数値が99.9になると消滅し、幾度も生き返って罪を作り苦しんでしまう」とのこと。預言者は話を続け「もしもあなたが生前のような悲しみなど他者の犠牲を伴わなければこの数値は減るだろう」と教えてくれた。
もし僕が本当の心を持つなら父を恨む心や悲しい行為をするうちに、エンドサークルの数値が増えるらしい。しかし預言者の言うことが本当なら数値自体あくまで指標にすぎないだろうし、他者の犠牲いったことは起きているようだ。だから僕と父が突然おかしくなることは勝手に起きたことなのだ。それに寧ろ今まで以上に安定はしているように思える。
8050問題ということで僕はこの予言者を信じないようにしたほうがよい。
人を恨むくらいなら殺せばいい、そう思ったからだ。
すると涙が流れだし生前してきたこと、あったことについて僕の頭に浮かんでくるのは平和だった。何もかも信じてしまうと頑張ることになり、父のように器用に逃げられる訳じゃないから別に目的を果たす方針をたてるとよい。




