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転生したら……えっ! 戦車⁈   作者: 真野真名


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5、グリーングリーン青空には


「うげ!」


 この身体、味覚とか無さそうだし、直吸いでも問題ないんでしょうけど生理的に無理よね。しかもあの小汚さだし、臭いも推して知るべしかと。出来れば近寄りたくは無い(キリッ)。



【マニピュレータ展開します】


「え? なによそれ。これにはロボットハンドみたいなモノも付いてるの? 戦車としてそれ有りなの」


 ますますジェイムスン教授ぽくなってきたわね。


【フレキシブルタイプのマニピュレーターも装備されております。本来なら随伴ドロイドを出して作業を行うのですが、カーゴスペースと司令部がリンクされておりませんので随伴ドロイドの転送が不可能です。依って自由度に多少の問題は有りますがマニピュレーターにて解体調査作業を致します】


「おー! それやって! ちゃっちゃとズバズバやっちゃって。但しわたしの見えないところでよろしく」


【無理です。マニピュレータもシステム直結ですので、モニターは共有されます】


「えっ」


【えっ、じゃ無くて慣れて下さい】


「ね、ねぇ。ホントにホントに見えなく出来ないの?」


【…………出来ません】


「なんか今少し間あったし。ホントは出来るんじゃないの」


【……対処法として解体を自動タスクとして処理すれば影響は少なくなります。ただ、敢えて貴女と呼びますが貴女が『コマンダー』として機体をコントロール出来る事が前提です】


「それってどーやるのよ」


【ハードウェアは問題有りません。転送されたコマンダーシステムのデータインテグリティに対する監査証跡機能は司令部のマザーのより管理されて居りますので「ストップストップ!」……】


 相変わらずわかりにくい説明よね。なんか小難しく言わないと死んじゃう病にでも掛かっているのかしら?

 同じ小難しい話でも、智輔のは厨二病部分を差っ引けば、なんとか理解はできるのよね。


「もっとわかりやすくシンプルに話してよ」


【シンプル……では平易な言い回しで説明致しますと…………貴女が機体をコントロール出来ない原因は解りません。頑張ってればそのうち出来るようになるんじゃ無いですか】


「は?」


【解体始めます】


「ちょっとーー!」


 こんなに嫌がるわたしを無視してゴブリンの解体は始まった。ひどい。チハたんのイケズ。


 こっちにあんまり動きが無かったからか、ゴブリンたちが少しずつ近づいて来ていたみたい。でもいきなりニョッキリ腕が生えたのに驚き、慌てて離れて行った。


 まあ腕って言うよりお伊勢さんの参道で売ってたお土産のヘビみたいな感じなんだけどね。

 ニャンコが見たら高速バックジャンプをかましそうだけど。

 それが器用に動き、ゴブリンをズバズバしてる。

 猪とかなら近所のおじさんが解体してるのを見たことがあるけど、人型ってだけで、ちょっとくるものがあるわね。

 

 それでも3匹目に取り掛かる頃には、わたしも少し慣れてきた。


 予想通りアレだね。

 異世界、魔物、魔素って言えばアレしかない。

 そ、魔石ね。

 


【検体全て解体終了致しました。詳細は分析完了を待つことになりますが、この結晶石から魔素を抽出出来そうです】


「魔石から魔力を取り出すってのはやっぱ定番よね」


【魔石ですか?】


「そよ、魔物の体内にあって、それを使って魔法の補助をしたり魔道具を動かしたりするって言うのが定番ね」


 ふふふ、チハたんにも知らない事があるのね。


【定義が曖昧で信頼性に欠ける情報ですね】


「とにかくこっちではなんて言うのか知らないけど、魔石は魔石よ」


【その件も含めて後で精査致しましょう。今は分析結果が出るまでの間に取り囲んでいる生命体を確保しておく事を進言致します】


「確保って捕まえるの?」


【いえ、殲滅後死骸から結晶石を取り出します】


「殲滅って全部殺しちゃうってこと? かわいそーっていうか酷くない?」


【既に攻撃を受けておりますので、帝国のROEに準じて殲滅は可能です。それに生かしたまま取り出すのは不可能かと】


 そっか殺しちゃって良いのか。まぁゴブリンって魔物だし。


「うん仕方ないやっちゃおう。魔石も要るし、なにも問題ないよね。異世界は焼肉定食だし」


【食用には適さないかと思われますが肉も保存しますか?】


「食べないわよ! お約束の言い違えネタでしょ。それよりROEってなによ」


【ROE、帝国の交戦規定です。マザーとのリンクが無い状態で未知エリアにて単機での行動中。明らかに敵意を持った攻撃を受けておりますのでROEはクリアしております】


 帝国? チハたんの所属してるとこだよね。でもわたしはどうなんだろ。貴女はウチとは関係ありません。なので、大量虐殺犯として絞首刑です。っとかって言われないよね。

 大丈夫だよね。

 

 ……まぁ悩んでも仕方ないか。普通に動けるようになってから考えよ。


【魔素供給の目処が立ったので、一部小火器を解禁致します。身体構造から推察するに、全周への一連射で殱滅出来るはずです】


「よくわかんないし、まともに動けるようになるためなら、それやっちゃって」


【了解しました。火器管制システム起動……九七式重魔導銃ロック解除。本機を包囲している生命体に順次ターゲティング。超信地旋回準備】


 なになに。どーなんの? ワクワクドキドキだねぇ


【セットアップ完了。攻撃開始します】


のわぁぁ! ぐりんってなった! んで、うるさいし眩しいし。


 いきなりシュピシュピって音と共に光の線がゴブリンの頭目掛けて飛んでった。それで当たったと思ったらゴブリンの頭がパーーンってなって消えちゃった。

 しばらく立ってた頭のないゴブリンが倒れる頃には、次のゴブリンの頭がパーーン。


 身体がグリグリ動いてシュピシュピパーン。


 グリングリンシュピシュピパーンパーーン。

 グリングリンシュピシュピパーンパーーン。


 あそっれ! あそっれ!


 グリングリンシュピシュピパーンパーーン

 グリングリンシュピシュピパーンパーーン


 あちょいと! あちょいと!


なんか楽しくなってきた〜。


 と、そんな状態がしばらく続いて、やっと静かになりました。


 周辺には頭のないゴブリンの死体がゴロゴロ。

 やっちゃったねぇ。殲滅しちゃったねぇ。

 生き物を殺した罪悪感……うーん……無いね。


【旋回に手間取り、後半少し殲滅位置が遠くなり死骸が広範囲に散らばってしまいました。攻撃支援ドローンか随伴ドロイドが有れば良かったのですが】


「無い物ねだりしても仕方ないよ。よしミッションコンクリート!」


【…………】


「ツッコめよ……」


 そんな感じで、わたしの異世界最初の戦いは圧倒的勝利で終わったのであった。


 ……ん? 何もしてないだろって? 応援したし、それにわたし = チハたんってゆってたもん。だからわたしの勝利で問題なしです。

 以上、現場からでした。


 さ、寝よう寝よう♪


【死骸を集めるので少し移動します。解体は全て集めてから纏めて行います。微速前進】


え? わたしの睡眠は……。


短編【桜、終焉の記憶】も併せて

ご一読よろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n1164ld/


 自転車での早朝のお散歩、出かける時間が少しずつ下がって来ました。秋ですねぇ。

 年々気候がおかしくなって来てる様な気がします。快適なゆるポタを楽しめる時期が短くなってますよね。

 よし、少し暖かくなって来たなって思ったら梅雨が来て、その後一気にあっつい夏が。少し涼しくなって来たなぁって思うと、台風、雨、台風って来て……あ、冬〜。んで一年が終了。


 まあその分、部屋に篭ってお話読んだり書いたりする時間が増えるので良いのかもですね。



▼今更な登場人物紹介▼


陸路千波(むつろちなみ)

チハのコマンダー


【チハたん】

オペレーションシステム


【ゴブリン(仮)】

 小柄で醜い小鬼。

 身長1メートル前後。

 異世界物では定番の下っ端やられキャラ。稀に人語を解する良いゴブリンとして登場するが、ここでは話し合う機会もなく、ただ魔素が必要って事で体内にある魔石(仮)摘出の為、問答無用で惨殺された気の毒な人(?)。

 見慣れない物を見つけても、いきなり石を投げたり叩いたりしちゃダメって事です。皆さんもお気を付け下さいね。

 

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