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転生したら……えっ! 戦車⁈   作者: 真野真名


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24、小さな一歩、大きな飛躍。にっちもサッチモ。




「オッケー! やっちゃって! キューポラハッチ開放、投影開始!」


 ドローン序をハッチから車内にいったん収容して、わたしがいちばん“創りやすい”人型──つまり自分の姿──をドローンの中心に投影する。


 はい、魔素製わたし、完成。見た目は完璧。

 服も自由自在で、いっそドレスでもなんでも作れるんだけど、ヒラヒラが多いと処理が重くて緊急時に動けない。だから却下。


 リソース的にはサイクルウェアがいちばん合理的なんだけど、この世界の人たちがどう思うかは未知数。

 元の世界でも、あれ着てショッピングモール歩いたら変な目で見られたしね。

 ここは無難に制服でいこう。


 そんなわけで、異世界JK──完成。ただし見た目だけ。中身はスカスカ。

 いわば“中空少女”。


 がんばれば、ドローンの物理シールドを指向性で操って“触ったふり”くらいはできるけど、できればそんな場面にはならないでほしい。


 車内で動作テスト。油断すると関節が変な方向に曲がるし、ひどいときは関節じゃないとこが曲がる。でもまぁ、合格点。

 あとは慣れと、チハたんのサポートに期待しよう。


「では──千波、行きます!」


 JK千波、異世界へ第一歩。

 車体からピョーンと飛び降りたら……膝まで地面に沈んだ。

 なるほど。慣れるまでは急な動作・大きな動作は控えた方がいいみたい。


 チハたんをその場に残し、集落のほうへ歩き出す。

 右足前、左手前、左足前、右手前──

 『……細かな動作はこちらで制御します。戦車を動かす時と同じように』


 はいはい、よろしくどうぞ。


 近づくにつれて村全体が見えてきた。木の柵に囲まれていて、その外側には逆茂木。防御ガチ勢。

 さらに進むと──第一村人、発見。……ていうか七人くらい? その後ろにも十数人。


 そして──


 耳が! お尻にシッポが!


 ふはははは! ケモミミもふり天国じゃないか!


 ……ただし、見えているのはウサミミのおっさんとかネコミミのじーさん。

 まぁいい。どうせ子どもたちは「危ないから外に出ちゃダメよ」案件で村の中だろう。


 入り口を探そうとさらに近寄ると、村人たちが何か叫んでる。

 全員いっせいにワーワー言うもんだから、まったく聞き取れない。


 手振り的には「来るな」……かな?

 でも敵意は感じない。まさか逆に「来い」だったり?


 両手を広げて「武器持ってませんよー」とアピールしながら、逆茂木の手前まで進んでみる。


 ……“来るなワーワー”がさらにヒートアップ。

 ついに“ダメだコリャ”モード突入。


 何がダメなんだ。別に逆茂木越えようとか思ってないのに。

 ここまで来たら直接話すしかない。


 声をかけた瞬間、“ダメだコリャ”が“ポカーン……”に変わった。


「ミks せe ei クく?」


 あ、言葉がわからない。


『わからなくても、喋りかけてください。解析します』


「え? えんやこらさんズ(仮)とは普通に話せたよ?」


『あれは会話というより、思考伝達に近いものです。言語情報を収集する必要があります。できるだけ言葉を聞き取ってください』


 言葉を集めろと言われてもなぁ。

 ここがもふもふ村だってことは理解したけど、なにを聞けばいいのやら。

 食べ物? いらない。水? いらない。寝る場所? 不要。

 戦車の整備? ……無理そう。


「えーっと、この辺に大きな街とかありますか?」


 もふもふは名残惜しいけど、この村にはわたしの欲しいものはなさそう。


「しゃl ピャb ju パlju ルクse おれma, えks? Kuiだっs sa ニ kauゲレ ようdぁしd?」


 ネコミミじーさんが何か言ってくるけど、わからん。

 逆茂木の隙間から村に入ることはできるけど、いきなりそれは感じ悪い。

 入口を探そうと逆茂木沿いに歩き出すと──また大騒ぎ。


「セe おn ohティk!」

「あら リーgu, りtsalt jあぁ sinナ!」


 ん? 「動くな」的な?


「動くな? ここにいろってこと?」


「おぉta しゃal, kuに ma トon tぉーリsta, みs nあいtab suリー るksu アスkoは.」


 そう言って、ネコミミじーさんが後ろの人たちに指示を出す。


「Tooげ むーりー tおぉriisと, miス ナイtab るksude あすukohた!」


「Sain ある! Ma tぉon セlle!」


 指示を受けた誰かが、村の中へ走って行った。

 なんだろ? 食べたら言葉がわかるコンニャク的なものでも取りに行ったのか。


 しばらくして戻ってきた彼の手には、大きな懐中電灯みたいなもの。

 ……武器じゃないよね?


 まあ仮に武器でも、問題はないけど、一応警戒しておこう。


 ネコミミじーさん、それをわたしに向けてスイッチオン。

 すると、わたしの足元の地面に、ぼんやり白い円がいくつも浮かび上がった。


「ぱlun いぁtkaケ, ゔぁltiデs helendaゔぃd あlasid.」


 そう言いながら、じーさんは右を指差した。


 ──なるほど、通じた。

 あの円を目印に進めってことね。

 逆茂木の外周に沿って、円がずっと続いてる。


 つまり、わたしがその“白い線”から外れたから騒いでたわけだ。

 学校帰りの「白線の外踏んじゃダメ」ルール的なやつ。


「ありがとう。ここを踏んでいけばいいのね」


 そう言って、一つ目の円へ慎重にジャンプ──。


 村人たちが一斉に絶叫。

「See オンgi るks!」


 ん? なにか間違えた?

 でも、もう遅い。わたしの右足は、円の中心に着地寸前──


「え? やっちゃった?!」



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