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転生したら……えっ! 戦車⁈   作者: 真野真名


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19、作戦にネタとギャグを詰め込むなよ




 戦車わたしとヘイジさん(仮)の攻防は一進一退の様相を呈してきた。


 戦車わたしがパチパチ撃ちながら距離を取る、ヘイジさん(仮)がズリズリ襲ってくる。少し距離を空けすぎるとヘイジさん(仮)が銭を投げながら、一旦潜ろうと後ろに下がるので、戦車わたしが近づく。


「なかなか全身を出さないわね」


『一度頭部を破壊されているので、警戒をしているのでしょう』


 ふーむ……。


「マニュピ、じゃなくてマニピュレーターでヘイジさん(仮)の顔を掴んで引っ張り出すとか」


『重量と摩擦係数を考えると、あっという間に「oops! *つちのなかにいる*」状態になるかと』


 ふーむ…………。


「全身出てなくても《ズボラパチズリシュビピカドン作戦》は可能だけど、確実さを求めるなら引っ張り出したいわね」


『しれっと作戦名変えてますね』


「戦いは臨機応変が鉄則よ! 戦闘は会議室で起きてるんじゃない戦場で起きてるんだ!」


『当たり前のことですが? 戦闘が起きている場所を戦場と呼びます。あと、戦闘は臨機応変に対処するのは大事ですが、作戦名の変更は混乱を招きます』


「(ぐぬぬぬぬ)……よ、よし、しばらくはこの状態で、少しでもヘイジさん(仮)を引き出すわよ!」


 しばらく続けてるうちに、ヘイジさん(仮)は戦車わたしの出力を弱めた攻撃に慣れて来たのか、動きが大胆になって来た。

 このまま予定の場所まで引っ張って行けば《作戦》は成功する……はず。


「順調ね。あとは援軍のタイミング次第ね」


『援軍の到着が成功のカギと言うわけですね。いつ到着予定ですか』


「そんなの分からないわよ。「ちょっと来て」って呼んだだけだもの」


『で、……返事を待たずに進めているわけですね』


「[何か用事があれば呼んでね。その辺にいる魔素を介して伝わるはずよ]って聞いてただけだもの、返事が来るかは分からないわ」


『ーー作戦の成否は、アレが呼びかけに応えてやって来るのを前提としていると。ただでさえ、援軍がアレな事で不安視しておりましたがーー』


「そうよ。えんやこら(仮)さんがこの《ズボラパチズリピカドン作戦改めズボラパチズリシュビピカドン作戦》の要ね」


『……………………いえ……作戦名など些細な事です……もし、アレが来なかったらどうするつもりですか』


 チハたんってば、相変わらずの心配性ね。このわたしが代案を用意してないわけがない。


「ちゃんと代案《ごいごいすー》があるわよ」


『(ネーミングは無視、ネーミングは無視)一応代案をお聞かせ頂いてよろしいでしょうか』


「たぶん、代案ごいごいすーは必要無いと思うけど。まず戦車わたしがヘイジさん(仮)の口に飛び込みます。たぶん、噛まれても大丈夫のはずなので、そのまま奥に進みます。たぶん、胃とかで溶かされる事はないはずなので、そこから、たぶん、外皮より薄いはずの内臓を破って体内を探索し、たぶん、どこかにあるはずの魔石を探し出し、それを収納します。そうすると、たぶん、ヘイジさん(仮)は活動停止するか弱るはずなので、某宇宙最恐生物のチェストバスターみたいにお腹を破って外に出ると。これで完璧です。パーフェクトごいごいすーです」


『ご丁寧にご説明ありがとうございます。聞いておいて良かったです。「たぶん」と「はず」が沢山ある代案ですね。魔石を収納して体外に出た時、そこは、たぶん地下じゃない、はずですね。了解しました。……では、予定位置まで行ってアレが来るのを渇望しましょう』


「じゃ! 頑張って引きずり出すわよ!」


 かなりの時間頑張ったおかげで、ヘイジさん(仮)の全身が地中から現れた。このまま予定地点まで誘導すれば勝負は決まる。

 えんやこら(仮)さんと合流できればだけど。


 ま、まぁ代案2《さんたまりあ》もあるし……。




[呼んだ?][ねーなにー?][来たよ][遊ぶー?][あーデッカイ魔物いるー]



「来たーーーーー!」






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