18、今日も決め手の〜 今日も決め手の
「チハたん! ズボラドン作戦準備用意!」
『それだけでは意味がわかりません』
「えー? 文字通りよ。戦車を狙って地中から、頭がズボって出て来て、大口を開けてガボって齧りに来るところを、ヒラっと避けて、主砲で出ている頭をズドンって倒す作戦じゃない」
わたしは懇切丁寧に、チハたんに説明した。
『……頭を潰されても動いてましたよね。次は倒せると?』
「チハたん言ってたじゃない。連座制とかで、二匹が繋がってたって。一匹の頭がポロって落ちたんだから、あと残る頭は一個。ほら、解決よ」
チハたん、お尻頭の件以来、冴えないわねぇ。ここはわたしがしっかりしないと。
『連鎖体ですね。連座制だと一つ落ちたらもう一つの首も落ちそうです』
「だったら良かったのにね」
『……そうですね……残り頭が一つとの考察ですが、すでに頭が再生されている可能性もあります。その場合は、また逃す事になりますし、魔弾も無駄になる可能性が』
頭が再生……。ありえるわね。ボスキャラのヒドラとか頭再生の定番だし。確認するためにもう一度、頭を落としても良いけど、魔弾が勿体無い。
全身を地面から引っ張り出して、頭αと頭βを素早く連続で撃つ?
でも、結構潜るの早かったもんなぁ。
こんな事なら寝てる時に両方バンしちゃえば良かったなぁ。ドローン破が妙に嫌がってたから肛門って思ってたけど、ヘイジさん(仮)βは、クチクサの人だったのかもね。
全身を引き摺り出す。
これは決定よね。その後……。でもどうして二匹に分裂しないんだろ。引っ付いたままだと不便だと思うんだけどね。確かに潜ってる時、硬い岩とかにぶつかったら、すぐにバック出来るから便利だったりするけど……。
あ! いい事思いついちゃった! よし! この作戦に決定だ!
名付けて、ズボラパチズリピカドン作戦!
「ヘイジさん(仮)撃退の準備は出来た!」
援軍への連絡も済ました。後はヘイジさん(仮)が来るのを待つだけ。
援軍への連絡は一方通行なので、返事は無いが、来てくれる事を信じる。
『不確定要素が多すぎですが……』
ヘイジさん(仮)を引き連れて移動するルートも確保したし、ドローンズもヘイジさん(仮)をしっかり捕捉してるし問題なしよ。
「そろそろ来るわよ。ヒラリ準備」
ひと足先にこっちに戻したドローン序ちゃんには、移動ルートの安全確認に行ってもらっている。
車体の機動とシールドはチハたん担当。わたしは攻撃に専念。
ドローン破くんも戻って来た。
スキャンモニター上で、ヘイジさん(仮)と戦車の位置が重なる。
予想通り、真下からズボって現れる気ね。
地面からの振動が近づいて来る。
「五、四、三…………。三………………。……。二、一! 今よ!ヒラリ!」
少しタイミングはズレたけど、ヒラリは成功。
「後退して距離を空けて!」
戦車を後退させつつ、わたしは魔導銃をヘイジさん(仮)に撃ち込む。
大きな効果が無いのは想定内。それでも撃ち続ける。ヒラリで交わされ、魔導銃でパチパチ撃たれたヘイジさん(仮)は、怒りに顔を歪めながら(どこが顔でどう歪んでるのかは、わからないが、きっとそう) 戦車に襲いかかる。
ルートに沿って戦車は退がってパチパチ。
ヘイジさん(仮)がズリズリ襲ってくる。
戦車パチパチ、ヘイジさん(仮)ズリズリ。
戦車パチパチ、ヘイジさん(仮)ズリズリ。
「しばらくこれを続けて全身引き摺り出すわよ。チハたん、離れすぎない感じで後退よろしく」
『了解です』
もうすぐ全身が現れる、というタイミングでヘイジさん(仮)が止まった。
気づかれた? ならばさらに激しく銃撃を、っと思ったところで、ヘイジさん(仮)の口が窄まり、そこから円盤状の物が打ち出された。
戦車のシールドによって防がれたそれは、土属性の円盤、銭形をしていた。
「ヘイジさん(仮)がいっぱい銭を投げて来るわ!」
『投げるのではなく、吹き出してますよ』
「ま、まぁ特に問題なく防げるし。カマヤツさん(仮)の糸のが面倒だったわね」
しばらくヘイジさん(仮)は銭をシュビシュビ吹き出していたが、戦車が全く平気なのを見て、突撃噛み砕き攻撃に戻した。
「あ! しまった!」
『どうしました!』
「いぁ、作戦名にシュビシュビ入れて無い……」
『…………続けますね』
雨の日はそれなりに多いですが、気温は過ごしやすくなって来ました。
その分、外でうろちょろする機会が増え、お話を書く時間が削られております。
『猫と、吸血鬼(ただし幼女)と、ハロウィンと』と交互に隔日投稿を予定しておりますが、遅れたらごめんなさい。
(ここ最近、ギリギリセーフが多くて……)




