表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら……えっ! 戦車⁈   作者: 真野真名


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/38

17、尻か頭か、頭か尻か、尻か頭か、見当がつかぬ




「チハたん! ヘイジさん(仮)が逃げるわよ! 頭を潰しても動けるじゃない!」


 もう! チハたんがミミズは分裂しないとか言うから、油断しちゃったわ。


『叩いたのは、頭では無かったのでは?』


「いいえ。あれは絶対頭よ! 目もあったし、口もモニュモニュ動いてたわ。きっと美味しいものを食べる夢でも見ていたに違いないもの」


『……なるほど、そうですか』


 『なるほど』とか言いながら、全く納得して無さそうなチハたんは置いといて、地中へ逃げたヘイジさん(仮)を追わなくちゃ。

 地中レーダーには遠ざかってゆく姿が映ってはいるが反応は鈍い。


『地中レーダーは索敵範囲が狭いので間もなく範囲外に消えそうですね』


「じゃ、ヘイジさん(仮)に逃げられちゃうって事!」


『ドローンを回収し地中レーダーに換装し、再度送り出しましょう』


「そんな余裕ある? 急がないと見つからなくならない?」


『おしり……頭部も吹き飛んでいますし、相当のダメージは受けているでしょう。それに地中に潜ったのは、逃走のためというより、回復の時間を稼ぐのが目的だと思います』


 ドローン破くんを回収し地中レーダーに換装し送り出す事にした。

 ドローン序ちゃんはそのままヘイジさん(仮)が逃走した方に向かわせる。ある程度こちらとの距離が開けば、体力回復のため地上に出て、捕食活動を行うかもしれないし。


 ドローン破くんがヘイジさん(仮)に張り付けたとしても、地上に出てこないと攻撃出来ないわよね。

 ドリルとかがニョキって生えて地中を進めたり出来ないのかしら。気が利かないわね。


『この車体が通る穴を掘るには相当大きなドリルが必要です。そんな巨大なものを生やすなど物理的に不可能です。万一ドリルがあったとしても、岩盤に当たった途端車体が回転してしまうでしょう』


「あー、頭にプロペラ付けたら首が捻じ切れちゃう、ってのと同じかぁ。ドリルはロマンなのに残念」


 あ、絵面を思わず想像しちゃった。

(四人の少年少女の首無し死体。その側にはニヤリと笑う青いロボット……)

 えっと……そうだ! ヘイジさん(仮)の再発見を待つ間に、お仕事しましょう。

 

「チハたん! ヘイジさん(仮) のおし……を回収するわよ!」


 戦車わたしはヘイジさん(仮) のお尻……じゃなく頭がもげ落ちたあたりに移動した。

 周辺にはヘイジさん(仮)の肉片が飛び散り、なかなかの惨状を見せていた。


「あたま、あたま、あたまー、あたまーを探そーう」

 グニョンって感じで落ちたので、塊であると思うんだけどね」


『あの木の枝に白い塊が突き刺さっています』


 ん? 「あったー!ヘイジさん(仮)のお尻発見!」


『今、お尻と?』


「き、聞き間違いだと思う。頭って言ったわよ」


『…………』


「疑うのなら証拠出しなさいよ!何時何分何十秒に言ったのよ!」


『データのログが残っておりますが』


「………………よし! 回収するわよ! ほら!ちゃっちゃと動く! 遅いことは牛でもするわよ!」


 回収は結構大変だったけど、マニピュレーターたちが頑張ってくれたおかげで、地面に降ろす事が出来た。


 ん? なんかキバっぽいものが見えるんですけど。それにその上には透明な玉状のものが二個……。


 えっ?……頭やん……。こっ!これ頭やん!

 ふははは! 正義は勝つ!


「チハたーん。これ頭みたいよ。ねぇ頭。ヘッド。フェイス。」


『はい。頭部と思われますね。そのように、おっしゃっていましたが』


「じゃ、ヘイジさん(仮)は、なぜ動いているのかしらぁ?」


『推測ですが、分裂によって無性生殖する種類だったという可能性があります。また、連鎖体として元から二匹が繋がっていた可能性もあります』


「ほうほう。予想が外れて悔しいねぇ」


『コマンダーの判断材料として情報の提供をしただけで、悔しいというような事はございません。ドローン破がヘイジさん(仮)を発見したようです。追尾しますか?』


 わたしは心の広い大人だからこれ以上追求はしないであげよう。

 レーダーでサーチした情報しか無いから、分かりにくいわね。

 問題は地下から引っ張り出す方法よね。お腹も空くだろうから、そのうち上がって来るとは思うけど、ずーっとそれを待ってるだけっていうのもね……。


 考えてても良い案出ないし、頭を収容して、ドローンズのところへ向かう事にした。


 ヘイジさん(仮)の頭を収納していると、ヘイジさん(仮)の動きが変わった。こちらに近づいて来る感じ?

 この場所に用事があるのか、戦車わたしに用事があるのかってとこね。


 勘だけど戦車わたしに用事がありそう。用事っていうかきっと復讐よね。地下にいるから見つかって無いと思ってるのだろう。

 コッソリ近づいて、地中からガボッって感じで美味しく頂く気なのかな。


 餌で釣ろうかと思ってたので、それは好都合。ズボって出て来てガボって齧りに来るところをヒラっと避けて、ズドンって倒す作戦でいきましょう。名付けて『ズボラドン作戦』。


「チハたん! ズボラドン作戦準備用意!」


『それだけでは意味わかりません』


「えー!」


 

▼全く登場していない人物紹介▼


 添田唖蝉坊そえだあぜんぼう)

 明治〜大正期にかけて活躍した演歌師

 政治や社会の批判を路上で歌っていた。

 演歌=演説を歌にしたもの。

 シンガーソングライターであり、ストリートミュージシャン。

 レコード嫌いだったため、録音は残っていない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ