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15、天高く戦車肥ゆる秋




 えんやこらさんズ(仮)とは一応会話は出来るけど、内容がよくわかんない。

 精霊?妖精?意志のない子? それが概念ってなにさ?

 チハたんが、わかんないところはサポートしてくれるって言うけど……。


「えっと、えんやこらさんズ(仮)は、そこにある胴体だけになってる魔物、故カマヤツさんって言うんだけど、そこにたかって何してたの?」


 わたし達からしたら魔石泥棒だけど、悪い子でもなさそうだし、何か理由があるのかな。

 魔石が無いとえんやこらさんズ(仮)が死んじゃうとかだったら、考えてあげなくもないし。


[魔石から魔素を抜いて、大気に還元するの]

[魔石の回収][魔石から魔素を抜くの][私達の仕事][埋もれたり取られたりしたら困るの]


「えーっと、カマヤツさん(仮)はわたし達が倒したのだけど……」


 理由を聞くとそこまで切実な感じは受けない。そして、当然のように魔石持って行く気? 魔石っていうか中の魔素を、わたしらみたいに抽出しようとしてる?


[大きい魔石だから大変][ちょっと時間かかりそう]

[あの飛んでる奴、邪魔][近づくと、吸い込まれる]


[あの魔物の側で飛んでる奴、知ってる子なら退くように言って欲しい][お仕事出来ない][あいつ嫌い]


「あの魔物、わたし達のもの。だから渡せない」


 うー、喋り方がうつりそう。

 魔石から魔素を吸収するんじゃなく、大気に還元するって言ってるのよね。それがお仕事だって。


『ミミズが土を食べて、そのふんで土地改良をするような事かも知れませんね』


「例え! 他にも例えあったでしょ。えっと、えー……。今すぐには思いつかないけどさ」


 えんやこらさんズ(仮)のふんが空気中に漂っているところを想像しちゃったじゃない。


[魔物は要らない。魔石が必要]


「わたしも魔石が必要なのよ。この身体大食いみたいでさ」


[大食い][食いしん坊][食べ過ぎ太るよ][ぽっちゃり][おデブ]



「お、お、おデブ、言うなし! どこがぽっちゃりか! ただ燃費が良くないだけよ! 足廻りは洗練されてるし、砲身なんかスッキリスマートよ!」


 ん……。戦車=わたしって状態に違和感が少なくなってきてる?

 ま、いいや。


「と、とにかく、大気中に還元とか、無駄な事に使うのなら、あの故カマヤツさんの魔石は渡しません。ダメです」


[無駄じゃない][僕らのお仕事][還元大事]

[無駄じゃないよ。魔物が増えすぎたのと、人種ひとしゅが魔石を貯め込む所為せいで、世界から魔素が減ってるんだ]


「それってどう言う事?」


[魔素が減ると、世界が滅びる][みんな消える][今でも少ない][魔物も増えるよ]


[魔物、魔素取り込むけど、魔力ほとんど使わない][食べ物だけで活動出来るのに、魔素まで取り込む][使わない魔素魔石になる][魔物の体内で魔素が魔石に変わるんだけど、それを魔力として使う魔獣は数が少ないの][魔物死んでも魔石だけいつまでも残る][魔石自然では極々僅かしか魔素放出しない]


 なんとなく少しはわかったけど、一斉に喋られると、内容整理するの大変よ。

 魔素が無いとわたしも動けなくなっちゃうし。それはとても困る。

 

 「人が魔石を貯め込むって言うのはどういう事? あ、一人が代表で話してもらっていいかな? えーっと最初に精霊とか妖精の事を話してくれた子だったら嬉しいな」


[? 僕ら以外に誰もいないよ][ずーっと私らだよ?][んー? 遠くにいるわたしらは、今はわたしらじゃないけど、わたしらだよ]


「チハたーん……」


『…………端末自律型で群知能として一つの意思を持っている存在と考えられます。個でありながら、個としては意識してなく、群知能としての個の意識がある、と言う事ではないでしょうか。昆虫の生態に似たものかと』


 チハたんは、なにを言ってるんだろ? うーん。いっぱいで喋ってるけど、一人って事かな……。


「うーん。えんやこらさんズ(仮)が一つの意識だとしたら、勝ち負けって意識も無いんじゃない? “くり”とか“グリ”で揉めてたじゃない」


『おそらく調和のための“揺らぎ”や“確率的な分散”があるのではと推察されます。魔素を還元する目的を果たすため、えんやこらさんズ(仮)が全て同じ動きをした場合、突発的な事象に遭遇した際、対策が一つに絞られてしまう事を避けるための個であると考えられます」


 …………。


「で……どうしろと……」


『よろしくお願いします。コマンダー』


 チハたんがイケズすぐる……。「ふぅ……」



「えっと……。意識を統一してお話してくれるかな?」


[………………][………………][………………](…………意識を統一中…………)[………………][………………][………………]


人種ひとしゅの魔石ですね。人種ひとしゅは物の交換に魔石を利用しているようです。他にも魔術の触媒や道具類のエネルギー源として利用はしているようですが、利用するのは問題ないのです。魔力やエネルギーとして放出されたものは、魔素として還元されますので。問題はここ数百年に渡って、物品やサービスの媒介として魔石が使用され、その大半が魔石として利用される事なく、収蔵されている事です]


 よーし! 上手く行った!


「ほらほらチハたん、わたしすごいでしょ!」

『そうですね』


「えんやこらさんズ(仮)は人の目には見えないんだから、ちょちょいって行って、魔石から魔素を、ちゅるるーって抜き出して来れば良いんじゃない?」


[人の手に渡った魔石は、僕達では還元出来ないのです。なので、人の手によって魔物が倒された場合は、魔石が抜き出されて人が取り出すまでに、魔石を処理をする必要があります]


「人の手に渡ったらどうしてダメなの?」


[古の制約です。人種ひとしゅの不利益になる事には、直接手出しは出来ない事と定められています]


「緊急事態って事でそんなの無視しちゃえばいいじゃん」


[ダメです。絶対の禁足事項ですから][ダメだよ][あ、喋っちゃダメなのに][喋っちゃダメって喋ってる][喋っちゃダメって喋らないようにしないと][ダメはダメって事で](…………以下、無限ループ…………)


 うん、放っとこ。

 じゃ、故カマヤツさんの魔石は諦めた方がいいのかなぁ。ゴブ達のおかげでまだ魔素に余裕はあるし。


「オーケー、ドローンを戻すから、故カマヤツさんの魔石から魔素抜いていいよ」


[アナタは魔石をどうするつもりだった?]


「あー、さっきも言ったけど身体を動かすのに使うのよ。大食いだけど太ってないわたしのためにね。それとわたしのことは千波ちなみって呼んで。それがわたしの名前だから」


[おー! 名前大事!][千波。千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波][千波]


[それなら魔石は千波が使って。使えば還元される。いっぱい魔石食べて使ってくれる方が良い]


「え? いいの! ありがとう。じゃあ魔素が還元されるように、わたしも魔物もいっぱい倒して、いっぱい吸収するわね」


[食べ過ぎ注意][デブるよ][ぽっこりはん]


「太らんわ!!」


 よし、この世界での目標は、基地を探しながら魔物の討伐ね。

 あっ! 人が貯め込んでる魔石を吐き出させるのもありよね。


『人族、殲滅しますか?』



「せんわ!」






 すみません。毎日投稿予定が隔日に変更致します。


 三、四日で終わる予定だった「猫と、吸血鬼と、ハロウィンと」がズルズル伸びちゃって、ちょっと四苦八苦してます。

 なので、二本を隔日投稿って事で、実質毎日投稿……って事で誤魔化します(キリッ!




 天高く馬 肥ゆる秋


 元は「雲浄くして妖星落ち、秋高くして塞馬肥ゆ」って詩だかなんからしくて、秋になったら、良く育った元気な馬に乗って騎馬民族が襲ってくるよー。って事だったそうです。


 サンマが今年はお安くなった。とか言ってたけど、スーパーで2尾700円近くしてたよ。結構お高いような気がするのですけどね……。


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