14、モンゴリアンチョップは肩こりに効くの
【喋ってますね】
「魔素が喋ってるのかな?」
【魔素が喋っていますね】
「魔石回収とかって言ってない?」
【魔石回収とかって言ってますね】
「えんやこらさん(仮)だよね」
【えんやこらさん(仮)ですね】
「河童は尻子玉抜きに来るよね」
【河童は尻子玉抜きに来ますね】
ダメだ、チハたんには刺激が強すぎたみたい。わたし達にしてみたら、大気中の水分が喋ったような驚きなのかな。あーでも、ちょぴんくんは喋るからあんまり驚かないかも。
っと、チハたんは置いといて、えんやこらさん(仮)よね。
わたしはえんやこらさん(仮)に向かって外部のスピーカーを作動させた。
「ねえねえ。聴こえる?」
うーん。気のせいだったのかな。
「そこの魔素の固まりさん」
「おーい。えんやこらさん(仮)」
おぉ、なんかザワザワし出したわ。
やっぱりお名前で呼びかけるのは大事ね。「ちょっとねーちゃん!水くれるや」って呼ばれるより「千波さん。お水頂けますか」って呼ばれる方が断然良いもの。
でもえんやこらさん(仮)いっぱいいるから、えんやこらさんズ(仮)かな。
【それ名前呼び以前の問題です。そしてもし“ズ”を付けるなら、えんやこらズ←ここだと思います】
「あ、復活してる」
【魔道学の基幹を揺るがすような事象に遭遇した為、少し熱暴走しかけていただけです】
チハたんも復活したし、スピーカーの音量を上げ、呼びかけに気合いを入れた。
「おーーーい! えんやこらさんズ(仮)! 聴こえてたら返事してー !」
[誰かなんか言った?]
[言って無い][言ってない][いってない][言ってナイ][イッテ無い][行って無い][言ってない][いってない][逝ってナイ][言って無い]
お、聴こえてるみたいね。
「はーい! 喋ってるのわたしよ! こっちこっち。この戦車が、わ・た・し!」
[間違いなく聴こえるね]
[この戦車ってなに?]
[あの大きな奴じゃ?]
[あれかー」[あれが喋るのか!]
[びっくり!][ぎっくり!][しゃっくり!][やりくり!][やきぐり!]
[それ、ぐりだから負けね]
[ちょっとじゃん!オマケしてよ]
[ダメー。じゃ次はぐりで!]
[……ぐり難しい……]
[いんぐりもんぐり][かいぐりかいぐり][いちにい サングリア]
[それ違う][違うね]
[はい負けー]
[じゃ次は……]
「おーーーーい!!! 無視すんなや!」
もー、なんなのコイツら。自由すぎる……。
「チハたん、代わって」
【無理です。コマンダーの役目です】
(ぐぬぬぬ……)
[なんか怒ってる]
[怒ってるね]
[私達の声が聴こえてるんだよね]
[珍しいね]
[聴こえる子が居たのって、すっごい前だよね]
[すっごい前だね]
[あれがあって以来、聴こえる子に会った事ないよね]
[ボクもない][私もない][おらもねー][ボクも][拙者もござらん][僕も無いなぁ][わたしも][ウチもないで][わーもあらん][我も無い]
ふーふーひー。話が進まない……。会話にならない……。
「もー面倒だし、殲滅する?」
【短慮な行動は避けるべきかと】
「冗談よ。一応知性はあるみたいだし。そんな事しないわよ」
【いえ、興味深い対象ですので、一部を確保し、残りは……】
「そっち派かい!」
そんな事出来るわけないじゃ無い。異文化との接触は、お互い節度を持って寛容の精神で、気長に探り合いながら進めて行くことが大事なのよ。
【……へー】
「チハたん!今、【お前が言うか?】って感じで、へーって言ったでしょ」
【いえ、単なる機械の擦過音です。油を差す必要があるようです】
「油って。どこに差すのよ! メンテナンスフリーなんでしょ!」
【コマンダーの頭はメンテナンス必要なのでは?】
「むっきー!」
[なんかうるさいね]
[無視していいかな]
[お喋りできるから高次の存在かと思ったけど]
[当て外れね][当て外れだったね]
[会話アホっぽいね][うんアホっぽい][アホだな][アホだ]
あ、外部スピーカーがオンのままだった。
ひーひーふー。ちょっと落ち着かないと……。
【私も熱暴走の影響がまだ残っているようです。冷却温度下げます】
「えーっと、えんやこらさんズ(仮)。お話し聴いてもらって良いかな?」
[えんやこらさんズ(仮)ってなんだろ]
[わからない事は聞けばいいよ]
[そうだね]
「えっと、えんやこらさんズ(仮)は貴方たちの呼び名です。名前がわからないので勝手に付けました。ごめんなさい」
[私達同士の会話も聴こえてるみたいね]
[すごいね。聴こえてた子も私達同士の会話は、一瞬ピッって音が聞こえるだけって言ってたのにね]
[それに名前だって。すごいね名前]
「えーっと名前を勝手に付けた事は怒ってないと?」
[怒らないよ。ありがとう。みんなで大切にするよ]
[やった! 名前][えんやこらさんズ(仮)やった][名前、わーい!]
【喜んでいる様ですが……あの名前……】
「(しー!)」
「気に入ってくれたみたいで良かったです」
[精霊とか妖精とか呼ばれたりするけど、意思が無く、喋らない子達もそう呼ばれてたからね。僕達の特別な呼び名って無かったんだ。だから嬉しい]
[嬉しい][特別]
「妖精、精霊……ですか?」
[概念としてそう捉えられてる様だね。僕達が魔法の媒介をする事からそう思われたのかもしれないけど、多くの魔法は僕達より、世界中に広がっている、意志のない喋らない子達の方なんだけどね]
「(チ、チハたん変わってぇぇ。言ってる意味わかんない)」
精霊?妖精?意志のない子? それが概念ってなにさ?
【(不明点は逐一サポートしますので、そのまま話を進めてください)】
えー。
サングリア。自宅で簡単に作れます。
でも、長期間の作り置きは、違法になる場合が有るのでご注意くださいね。
梅酒と同じ果実酒だから、良いじゃないって思っちゃいますけど、梅酒は焼酎などアルコール分20%以上のお酒で、一方、サングリアはワインを使用するので、アルコール分が20%以下。
長期間置くと、再発酵しちゃうのでアウト! って事になるようです。
ポマードで頭をカチカチに固めたスーツの男性達が、マシンガンを片手に、踏み込んで来たりはしないでしょうが、お気をつけください。