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10、見ろ 魔物が虫のようだ





「来るわね……」


 奴が来ている。



 奴を追走しているドローンがそう告げる。


 わたし自身も、全身で奴の気配を感じ取っていた。



 森の奥深く、わたしは息を潜めていた。


 獲物は、すぐそこまで来ている。



「見えるぞ、私にも敵が見える!」



【……なにかネタを混ぜないと気が済まない病ですか? 珍しくシリアスな展開かと思えば……】


「緊張と緩和よ。それが笑いにつながるの」


【今の状況に笑いは全く必要ありません。自重してください。あと30秒程で射線に入って来ますよ】


 がーん。チハたんに怒られた。ちょっと肩の力を抜こうとしただけなのに。まあちょっと反省。

 

「わたし主体で動くわね。チハたんは細かなサポートよろしく。今後のためにわたしも戦闘に慣れなくちゃね」


【了解。戦闘サポートシステムリンク完了】


 さて主砲は温存。小火器の魔導銃で倒せるならそれに越した事ないものね。

 主砲を撃つのは最後の最後。


 (大砲は最後の武器だ)


 怒られないよう心の奥でそっとつぶやく。


【別に怒りませんし、怒ってませんよ。……来ます】


 ゆっくりと、巨大な影が私の方へ近づいてくる。巨大な蜘蛛カマヤツさん(仮)だ。

 カマヤツさん(仮)の八つの脚は、それぞれが木々の間を縫うように静かに動く。その一番前の二本、鎌のように鋭い脚が鈍く光っている。


 生身であの前には立ちたくないなぁ。今は戦車コレで良かったと心底思う。


 距離も問題なし。射線も通っている。わたしは撃つべきところをしっかりと見据える。照準はわたしの目、射撃はわたしの「当てる」という意思。


 それをチハたんがサポートしてくれる。


 車体に装備されている魔導銃が唸る。魔導炉で凝縮された魔素が連続した光の矢となってカマヤツさん(仮)の頭部に向かう。


「キシャアアアア!」

 カマヤツさん(仮)は悲鳴のような鳴き声を上げこちらを睨んだ。

 数発は頭部に当たったようだが、大半は鎌で防がれた。


「な! なかなかやるわね。ふん! 今のは小手調べなんだからね!」


【ツンデレですか! こちらを敵と認識したようです。攻撃来ます】


 怒りに震えたカマヤツさん(仮)は鎌を振り上げ、周囲の木々をなぎ倒し始めた。

 木々をまるで紙切れのように切り裂いた風の刃が、こちらに飛んでくる。

 即座に対物理用の魔導シールドが、対魔法シールドに切り替わった。

 バチバチと音を立てながら、風の刃と破片がシールドにぶつかり、消滅していく。

 

 ほほう、風属性の魔法を使うのね。


「あれは『風塵ふうじん 鎌鼬かまいたち(仮)』ね」


【あの魔法をご存知なのですか?】


「知らないわよ。名前も適当、だから(仮)が付いてるでしょ」


【……適当でも良いですが(仮)は外してください。面倒ですので】


「まあいいわ。でもカマヤツさん(仮)の(仮)は外さないわよ!」


【なんのこだわりですか!】


「気にしないの。それより戦闘に集中しなさい」


【ぐぬぬ……】



 『風塵ふうじん 鎌鼬かまいたち(仮)』によりシールドにかかった負荷は、急速に魔素を消費する。

 せっかく溜めた魔素が勿体無いじゃない! 戦闘を長引かせたらまずい。


 魔法攻撃を封じるため、鎌のある脚関節を魔導銃で狙うことにする。


「魔導シールドに切り替えて、銃撃を再開するわ」


 魔法防御に特化した対魔シールドは、魔法術式を拡散させて攻撃を無害化するため、こちらからの魔素を含んだ攻撃も無力化してしまう。対象物に当たって効果を発揮する主砲の魔弾は弾数に限りがあるのであまり使いたくない。


 だから、対魔シールドを切って、正面から撃ち合うことにする。相手も鎌を狙われたら、そうそう魔法も放てないでしょうし。


 それに見た感じあの威力だとこっちの装甲は貫け抜けそうにないし。『攻撃は最大の防御なり』って誰かのお孫さんも言ってたしね。


「そうでしょ。チハたん」


【あっ、孫……。……問題ありません】


 そしてなぜか、わたしが攻撃の意思を強く持つほど、射撃の威力も上がっている気がする。


「さあ、しっかり撃つわよ!」


 わたしの意思を持った光の矢が、空気を切り裂く音を伴って、脚の関節に吸い込まれていく。

 攻撃をかわそうとしているようだけど、狙いは外さない。


 嫌がってるわね。ふふふ、わたしのドキドキハートの熱視線からは逃れられないわよ。

 そうだ、光の矢ってダサいから『ドキドキハートの熱視線(仮)に……。


【却下です】


「ぐぬぬ」



 魔導銃の連射に耐えきれず鎌の一本が千切れ飛んだ。


「これ、両方落としちゃうと逃げ出すかもしれないわね」


 狙いを片側の脚に絞り攻撃を続ける。残った片方の鎌から魔法が飛んで来るようになったが、バランスが取れないのかうまく狙いが定まらないようだ。車体に直接当たるものもあるが、ほぼ無傷で弾いている。


 勝ちは見えたわね。

 ふははは、虫ケラ風情が人間様に楯突こうとは片腹痛いわ。


【攻撃来ます! 緊急回避!】


「え!」

 






 



 レトルトカレー、美味しいです。


 冷凍のチャーハンの美味しさは知っていましたがレトルトカレー侮れませんね。


 今までレトルトカレーを食べる機会がそんなに無かったので、なんとなく敬遠してました。レトルトっぽい匂いがどうしても受け付けなくて。


 レトルトカレーって、人気の無いスキー場の食堂で、おばちゃんがコッソっとレトルトの袋を開けているイメージがありますよね。


 そんなイメージを払拭しましたね。レトルトカレー。いろんな種類があって、ご当地カレーまで有るんですね。

 出来れば全種コンプしたい気分です。




▼登場人(?)物▼


 カマヤツさん(仮)

 巨大な蜘蛛

 具体的な数字は分かりませんがとにかく大きい蜘蛛です。

 巨大な第一脚の先端が、巨大な鋭利な鎌になっている。それを使った攻撃は、巨木はもちろん、巨石も切り裂く。

 さらに巨大な鎌を振るう事により、巨大な風属性の魔法攻撃『風塵 鎌鼬かまいたち』が可能。

 まだまだ巨大な技を隠し持っている可能性も大ですね。

 とにかく巨大ない蜘蛛魔獣です。

 魔獣? 魔虫? ん? 蜘蛛って虫だっけ?




短編【桜、終焉の記憶】も併せて

ご一読よろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n1164ld/


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