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神さまの幽便屋さん  作者: 鏡桜 久音
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プロローグ 幽便配達員

数多くの作品の中から本作品を選んでいただきありがとうございます。

個人的に感情の描写は苦手がだと自覚しているのですが、続けて書いていければと思っています。

その時の俺は、今まで感じたことのない、でも知っているような、そんな“何か”で胸がいっぱいになった。


―――それは、あなたが優しい人だからです。あなたが誰かの“いたみ”に寄り添える人だから。あなたが今感じているその気持ちは、あなたが優しい人だという証なんですよ。きっと。


子供だというのに、いつもと同じ無邪気な笑顔でそう言った少年の表情(かお)は大人びて見えて、俺には少し眩しかった。

あの子はそれを俺の“優しさの証”だと言った。子供にしては達観したことを言う。一瞬そう思ったが、あの子の姿はもう歳を取ることはないのだから、驚くことでもない。


「ひょっとしたら、彼らと共にあの子の心も同じように成長していたのかもしれない。」


そう同僚に話すと「そんなわけないだろ」と一蹴されてしまった。同僚の言うことの方が正しいのだろう。この世界に来た時点で、時は止まってしまうのだから。

他の同僚にも話してみたが、俺が抱いたモノの正体を知るものはいなかった。

唯一、俺の感情を知るであろうあの子供に聞いてみたりもしたが、


「その答えは、あなたが自分で見つけなきゃいけないものだと思います。」


大きく丸い瞳を更に大きくした後、少年は言った。


「…実は俺も正解を教えてもらったんですよ。」


そう言って、無邪気にへへっと笑う。


「大丈夫、優しい鎖斬さんならきっと答えを見つけられると思います。」


俺を優しいと言うあの子供は、結局最後までその“何か”の名を教えてはくれなかった。


この霊界で覚醒(めざ)めて、配達員としての使命を与えられてから数百年。初めて抱いた感情は、胸の辺りが締め付けられるような、痛覚とは違うズキズキとした感覚をもたらした。自分の中に何かが重く溜まって、上手く呼吸することを忘れてしまったかのような息苦しさ。体が震えて目頭が熱くなって、それ(・・)を見ていられないのに、それでも目が離せなくなってしまう。

一体、この感情を何と呼べばいいのだろうか。


どれだけ考えてみても、その感情の正体はわからなかった―――。


読んでくださりありがとうございます。

まだ物語が前なので続けて第一話を読んでくだされば嬉しいです。

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