表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

02 男

「どうしました?」

 話し掛けた。興味で。ひとりになりたい人の気持ちが、分からない。

 力になることの充実が、好きだから。力になれる自信は、なぜかある。


「どうも」

 大学生の男子は、答えてくれた。でも、他の人と少し違う反応だ。どうも、という言葉。それにも、種類がある。


 挨拶の『どうも』ではない。そうは、聞こえなかった。どうもしませんの『どうも』だった。


 私の心が、こんなに揺れたのは、初めてだった。男子の黒いシャツが、暗黒に見えた。


 今まで、おせっかいをしてきた人を、地球人としよう。そうするならば、この男子は宇宙人だ。


 私は変わらない。いつもの私でゆく。ガンガン踏み込んで、ガンガン突き進んでゆく。

 それで、成功してきた。それで、ずっと来た。だから、何も考えない。


 だから、今回もそれでいく。それが、自然体だから。


 空の色が変わってきた。風が、やや乱暴になってきた。

 男子のシャツの色と、空の色がお互いに、近寄っている感じだ。

 まわりに他の大学生は、いなかった。いつの間にか、いなくなっていた。


「ごめん」

 その男子は、そう言って顔を背けた。負の世界に、飲み込まれそう。そんな感覚があった。


 私が、歩みたくない人生。隠れて逃げて気を遣う人生。それには、当てはまらない。ただ、男子の妙な暗さに、引き込まれていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ