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英雄騎士様は呪われています。そして、記憶喪失中らしいです。溺愛の理由?記憶がないから誰にもわかりません。  作者: 屋月 トム伽


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お茶会の招待状

朝から、今日もダンスの練習だった。

ロバートさんにお願いして、ノクサス様の代わりに一緒にダンスをしてもらっている。

アーベルさんにも教えてもらっているが、アーベルさんよりもロバートさんのほうが背が高く、ノクサス様の身長に近いし、アーベルさんにはそのダンスの様子を指摘してもらっている。そのアーベルさんは、今は階下で仕事中だ。


そして、ミストは、ノクサス様と一緒に仕事に行ってしまった。


「ロバートさん。ランドン公爵令嬢様のお邸はどこにあるか知っていますか?」

「もちろん知っていますよ。この一等地にありますから……」


それなら、あんまり遠くはない。この一等地の区域は一軒、一軒が大きな邸だから、小さな区域ではないけれど、すぐに見つかるだろう。


「きっと、王城の近くのお邸になるわね……」


ノクサス様のお邸も王城に近いほうだし、ランドン公爵令嬢様がよく来ていたのは、ご近所さんだったからだろうか。


「ダリア様……行かないでくださいよ」

「……お茶会にお誘いするのは?」

「ノクサス様の許可をお取りください」


お茶会にお誘いすれば、自然にお会いできる口実ができるのに……。


「仕方ないわね……。ロバートさん、ダンスの練習が終わったら、散歩に行きませんか? ここの一等地は綺麗だから、公園には噴水もあると聞きましたよ」

「それも、ノクサス様の許可をお取りください。邸からの外出は認められていませんから」

「私……いつまで軟禁されてるんですか?」

「ノクサス様の許可が下りるまでです」


ノクサス様なんか当てにしていたら、ずっと軟禁生活だと思う。

邸にいる間は、本当に離れないのだから……今朝だって、ずっと寄り添って歩いていた。

その上、お見送りの時は堂々とみんなが見ているのにキスをしてくる。

大事にされていると思う。私もノクサス様が好きだけれど……いきなり、人前で堂々とする勇気はない。

でも、ノクサス様以外とは、そんなことをしたいとは思えない。


「失礼します。ダリア様、お茶のお誘いです」


モヤモヤと思い出していると、アーベルさんがやって来た。


「どなたからですか?」

「それが、ランドン公爵令嬢様からです。封蝋がランドン公爵様のものでもありますし、使いに来た者はランドン公爵家からと言っていましたので……さすがに、勝手にはお断りが出来ず申し訳ありません」

「いいのですよ。お茶会の招待状を見せてください」


ちょうど良かった気がする。

これなら自然にランドン公爵令嬢様にお会いできる。

招待状は、イレヴンシスのお茶会のお誘い。でも、どうせノクサス様のことを聞きたいのだろう。


「ロバートさん。チャンスですよ。行きましょう。アーベルさん。お茶会はどんなお洋服がいいのですか?」

「いけません! ノクサス様の許可を取らないと……!」

「じゃあ、ロバートさんがノクサス様に許可を取って来てください。私はその間に着替えて来ますから」

「……行ってもいいと言わないと思います!」

「でも、せっかくのチャンスですよ?」

「なんのチャンスですか……」


だって、向こうからお誘いがあるなんて、大チャンスだ。

自然にランドン公爵邸に入れる機会はそうはない。私にはそんなコネはないのだから。


「イレヴンシスのお茶会だから、早く支度しないと遅れてしまうわ」


ロバートさんは、また絶対に外には出さない姿勢だ。


「……仕方ないわね。アーベルさん。申し訳ないけれど、誰かノクサス様に使いを送ってくださいますか? この招待状もノクサス様にお渡ししてください」

「かしこまりました。ダリア様は行かないですよね?」


ダンスの練習をしていた部屋から、出ようとするとアーベルさんは怪しんでいる。


「ロバートさんと行きますよ。ロバートさんとなら、ノクサス様もきっと外出を認めてくださいますよ」

「ダリア様。絶対に行けません」


誰も外出させてくれないけれど、この二人はわかっているのだろうか。

ランドン公爵令嬢様のお茶会かもしれないけれど、招待状はランドン公爵様からだ。

それは、王侯公爵からのお誘いだ。私の独断でお断りは出来ない。

私には、なんの権力もないのだから。


「ランドン公爵様は、王侯公爵です。どうしてもお断りなら、ノクサス様からお断りをしていただかないといけないのですよ。もし、イレブンシスの時間にノクサス様のお返事が間に合わなければ、私は行きますよ。もちろんロバートさんと一緒に行きます」


その言葉にアーベルさんは、すぐに使いを出します! と急いで部屋をあとにした。

ロバートさんも、やっと気づいたのか、ハッとしている。


「ロバートさん。お着替えをしますから、部屋に戻りますね」

「かしこまりました」


そう言って、部屋に戻り、お茶会に着ていくワンピースに着替えを始めた。






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