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英雄騎士様は呪われています。そして、記憶喪失中らしいです。溺愛の理由?記憶がないから誰にもわかりません。  作者: 屋月 トム伽


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なにかが違う



初めてダンスの練習をした。庭に野菜を植えたり、毎日馬に乗って王都に通ったりと仕事をしていたから、他の令嬢よりは体力のある方だと思っていたけれど……疲れた。

ダンスの練習は、意外と大変だった。

アーベルさんが気遣ってくれて、ダンスの練習のあとは、メイドたちに足のマッサージを頼んでくれて、助かった。

足をほぐされると、気持ち良くてそのままベッドでウトウトしていた……そのはずなのに、今は少し息苦しい……。


「……っんん……はぁ……っ……!」


口をふさがれているのか、瞼を少しずつ開くと、ノクサス様が私の頭に手を添えてキスをしている。いや、動かないように、ガッチリと抑えられているのかもしれない。


慌てて、ノクサス様を押した。

まさか、寝込みを狙われるとは……!?

いや、毎晩と夜這いに来ようとしていたし、ノクサス様的にはありなのだろうか!?

寝ぼける隙もなく、心臓が破裂しそうだった。

押しても押しても、ビクともしない。でも、やっと私の目が覚めたことは気づいたようだった。


「……起きたのか? 一瞬で顔が真っ赤になったぞ」


そう言いながらノクサス様の顔が離れ、その顔は舌がペロリと出ていた。

ヒィーーッ!! と血の気が引いた。


「……っノクサス様――!!」

「どうした?」

「わ、私は、まだこれでも生娘ですよ!!」

「知っているぞ。あの男たちがダリアに触れれば、八つ裂きにしてやるところだ」

「ちょっと離れてくださいーー!!」


違う! なにかが違う!!

ノクサス様を直視出来ないのに、ノクサス様は私に覆いかぶさるように両手をベッドについて私を見下ろしている。


「……ダリア……その顔は反則だぞ……本当に可愛い……」


いきなりのことが恥ずかしくて、必死で横を向いていたのに、ノクサス様はお構いなく私の顔を固定するかのように手を添えて、唇を塞いでくる。


「……ノクサス様……っ!」

「疲れているんだろ? もう少し寝ていてもいいぞ」

「起きます! すぐに起きます! もう大丈夫です!」


別の意味で、どっと疲れる。

この人には、夜這いに躊躇というものは絶対にない!


そして、何度もキスをされて、やっと起こしてくれた。


「……ノクサス様。寝込みはおやめください」

「起こしたら、悪いと思ったのだがな……寝顔も可愛かったし……」


やめてください。

私は、そんなこと言われたこともないですし、そもそも、男の方に寝顔なんて見られたこともない。


赤くなったままジロッとノクサス様を見ると、満足気な笑顔だった。

そして、ベッドサイドに座ったまま、肩を抱き寄せられて恋人のように話しかけてくる。

それとも、求婚をお受けしたから私は、ノクサス様の恋人なのだろうか?

わからない……妾にあがろうとしていた私にはわからない。

それに、妾と言えばノクサス様に伝えることがあるのだ。


「あの……ノクサス様」

「どうした? なにか悩みでもあるのか?」

「そうではなくてですね……マレット伯爵に、借金の肩代わりをしてくださったと聞きました。すみません。お礼を言うのが遅れました……」

「そんなことか……ダリアが、借金の額を言ってくれなかったから、それなりの金額は持って行ったのだが……マレット伯爵が、吹っ掛けてくるようなやつではなくて良かったな」


もしも、吹っ掛けてこられたらどうするつもりでしたかね!?

聞くのが怖い……!


「す、すみません。おかげで妾の話も無くしてくださって……知らなかったとはいえ、ありがとうございます」

「ダリアが気にすることは無いぞ。それに言えば、ダリアに断られると思って、俺が勝手にした事だ。……好きな女が、妾にあがるのを見過ごすことは出来ん」


ノクサス様は、そう言うと、また顔が近づいてくる。


「3日後に休みが取れた。その日に、婚約届けを出しに行くぞ。そうすれば、もう、誰もダリアに手出しは出来ない。ダリアの警備ももっと付けよう。結婚式もすぐに挙げたい」

「でも、先にノクサス様の呪いを治したいのです……」

「では、婚約届けを出したあとに行おう。ノエルには、この邸で待機させておく。だが、無理はしてほしくない。やめたくなれば、いつでも言ってくれ」

「やめませんよ。絶対にノクサス様を治します」


そう言って、目の前にあるノクサス様の顔に回復魔法をかけた。

いつものように、ノクサス様は大人しくなり、この魔法を堪能しているように見える。


「顔は、食事のあとに拭いてくれるか?」

「はい。いつものようにお部屋に行きますね」

「朝までいてくれていいのだが……」

「絶対にダメです」


そして、いつものように2人だけで晩餐をして、お世話に励んだ。









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