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英雄騎士様は呪われています。そして、記憶喪失中らしいです。溺愛の理由?記憶がないから誰にもわかりません。  作者: 屋月 トム伽


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過去の清算 2




朝から執務室で書類の束を片付けている。

戦争が終わり退団する騎士たちも多くいた。

戦争のために招集に応じた者は、もう在籍する理由がないから仕方ないと言えば仕方ない。引き留める理由もない。

戦争の慰安金や戦死した家族の年金にと、国は資金繰りに大変だろう。

だが、必要な金だ。そのための書類のサインを書きつめていた。


そして、書類を片付けながら一人の人間を待っていた。

ユージェル村を任せられていた隊長のマリスという男だ。

マリスは白魔法使いの一個部隊を任されていたらしく、ダリアのことをなにか知っていないかと思い、フェルに呼び出してもらっている。

しかし、飛び込んで来たのはロバートだった。


「ノクサス様! 失礼いたします!」

「お前はダリアの護衛についていたはずだぞ。ダリアはどうした?」

「ダリア様から、連絡を言いつかりました。すぐに騎士たちを連れてダリア様の屋敷に来て欲しい、とノクサス様に伝えるように言われまして……」


嫌な予感がした。思わず、声に力が入る。


「ダリアに何かあったのか!?」

「よくわかりませんが、一緒にいた男が、ダリア様に不審者の話をしたあとに飛び出していったそうで……」


ダリアを狙っていた男たちに見つかったのだと、何故か確信した。

そんなところに一人で行くなんて……!!


「すぐに騎士を集めろ! ダリアの屋敷に行くぞ!」

「はっ!!」


騎士隊を率いて、すぐに出発した。

先頭で走っている俺の後ろに、フェルにノインにロバートたちにと騎士隊を引き連れて、一目散にダリアの屋敷に向かっている。


また、ダリアに何かあれば……! 胸が有り得ないほどざわついている。

この胸騒ぎは、間違いではない。以前にダリアに何かあったことを、俺は知っているのだ。

記憶がないのに、そう思うほど確信していた。


そして、街道を駆け抜け、ダリアの住む村に着いた。それでも、止まることなくダリアの屋敷に向かった。

ダリアの屋敷は、村の外れにあり、周りは畑ばかりだ。

ひと気はない。屋敷が近づき、騎士たちに手を振り合図する。


「屋敷を囲め!! 誰一人逃がすな!!」


屋敷は異様な様子だった。

真っ白な霧に包まれており、建物すら見えない。

何故、この屋敷だけが霧に包まれているのか!


「ダリア! どこだ!? ダリア!!」


必死でダリアと叫び、馬から飛び降りて、迷うことなく霧の中に突入しようとした。

その時に一匹の真っ白な虎が飛び出して来た。

その真っ白な虎を見て、一緒に来たノインが驚愕する。


「精霊獣!? どうしてこんなところに!?」


ノインが精霊獣と言った真っ白な虎は、俺を睨んでいる。

おそらくだが……精霊獣をみるのは、これが初めてだった。

だが、俺を見据える水色の瞳には見覚えがあった。


「遅い!! 変態男め!! ダリア様にまた何かあればどうするんだ!!」


俺を『変態男』と呼ぶのは、この世に一匹だ!


「まさか、ミストか!?」

「だったらなんだ! ダリア様を早く助けろ!! 助けないなら、かみ殺してやる!!」

「ダリアは!? ダリアはどこだ!?」

「こっちだ!!」


何故デカいのかわからないがミストの案内で、霧の中に入った。

霧の中は、情けない男たちの泣きわめく声が聞こえる。

一体どうなっているのか……。


走るミストについて行くと、霧の中に納屋があった。薄暗い中で見えたものだったが、ますます胸がざわついた。


「キャァァーーーー!!」


そして、聞こえた悲鳴。頭の中でなにかが弾けた。






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