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矢田さんはヤンデレないっ!?  作者: えちだん
11/11

前世は恋人でした。

 とある放課後の教室、矢田玲子にある疑問を思い浮かぶ所から今回の話は始まる。


「(刹那くんと私ってもしかしたら前世からの恋人関係だったかも知れないわね! だってこんなにも大好きなんだもの! そうに違いないわ!)」


 矢田玲子がそんなトンチンカンな事を考えていると刹那秀登が教室にやって来た。


「あっ、矢田さんここにいたんだ。 今日も一緒に帰ろうか」


「刹那くん! 私たち前世でも恋人関係だったかも知れないわ!」


「(矢田さん、クールな人だと思ってたけど凄いお茶目な人だよなぁ)」


 矢田玲子の突然すぎる発言を軽く受け止めながら自分と付き合う前の矢田玲子と今の矢田玲子を思い浮かべ、そう思う。

 彼女のこう言う面は自分や親しい友人にしか見せない様で遠目から見る彼女は物静かだ。

 彼女のこの言動が自分への信頼の表れの様で胸の内が暖かく感じる。


「そ、そんな……! 僕たちの前世が恋人だなんて…!」


 刹那秀登は大袈裟にショックを受けたフリをしながらその場に崩れ落ちる。


「(え!? えっ、な、何でショック受けちゃうの? わ、私のこと嫌いになっちゃったの……。 刹那くんに嫌われたら私……ドウニカナッチャイソウダワ)」


「そ、そんな……前世の矢田さんとは恋人止まりだなんて……! てっきり夫婦になっていると思っていたのに……!」


「ニャっ!? ふっ夫婦!?」


 刹那秀登は不意打ちのカウンターが決まったのを確認して彼女に見えない様にほくそ笑む。

 彼女の言動に嬉しくなり、胸の内が暖かくなったのはそれとして、彼女を揶揄い可愛がる事をやめるつもりはなかった。


「俺、かなりショックだよ。 前世の俺たちは恋人止まりで結婚はしなかったの? 矢田さん」


「え、えぇ〜と、結婚は、しょのでしゅね……」


 刹那秀登は矢田玲子の顔を至近距離から覗き込みながら問いただす。

 矢田玲子は刹那秀登の顔が近くに寄って来たせいか顔が赤くなり、緊張のせいで呂律が回らなくなってしまっていた。


「! あ、アレです! 前世の途中までしか見えてないので! えと、だから未来は無限大です!」


「フフフ、無限大か……。 フッフフ、いいねそれ」


「あ、あ、刹那くん、もしかして揶揄ってますね!」


 矢田玲子は刹那秀登が自分を揶揄っていることに今頃になって気づいた。


「ごめん、ごめん、矢田さんが嬉しい事言ってくれるからさ。 ついね、フフフ」


「(う〜〜! 嬉しいけど恥ずかしいよ〜!)」


 その時、学校全体にチャイムの音が鳴り響く。

 窓の外を見ると空は夕暮れになっており、下校の時間が迫っていた。


「矢田さん、それじゃ、そろそろ帰ろっか」


 刹那はそう言いながら矢田玲子の手を握った。


「せ、刹那くん!? て、手が……!」


「うん。 この前、帰りの時握れなかったからさ」


「い、いえすごく嬉しいんですけど! 幸せなんですけど! その手汗とか今すごいかも知れませんから! だ、だからぁ……」


「ハハハ、大丈夫だよ。 それにさ……」


 半ば強引に刹那秀登は矢田玲子の耳元に口を近づける。


「前世ではどうかわかんないけど、今世はもっと深い関係になるつもりだからね」


 この言葉が全世界で矢田玲子にしか届かない様に優しくゆっくりと刹那秀登は言葉を紡いだ。


「ふ、ふふふ深い関係!? (そ、それってエ、エ、エッな事かしら!? まままだ心の準備が!!? いや嬉しいんだけど! 嬉しいんだけど!)」


「(結婚かぁ……。 あまり想像できないけど矢田さんとずっと一緒にいれたら幸せなんだろうなぁ。)」


「せ、刹那くんっ! ふ、不束者ですがよろしくお願いします!(R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18、R18)」


「うん。 俺の方こそよろしくね矢田さん(矢田さんのウエディング姿か…。 帰ったらどんなドレスがあるか調べておこう)」


 こうしてどこかズレてるおかしな恋人達は下校するのであった。

 いつもと違うところは手を握っていると言う事だった。


 これは他の人達からしたら大した事ないことを大袈裟に楽しく過ごす二人の男女の物語である。

お久しぶりです。

4年ぶりの更新になります。

当時は小説の定石なども知らず登場人物のモノローグを「()」で描写すると言う力技を使っていました。

当時の作品の空気感を出来るだけ再現しながら書いたのですがどうでしょうか?

似た様な雰囲気を感じてもらえれば幸いです。

そんな拙い今作ですが、最近有難いことにコメントが付いたので続きを書いてみた次第です。

私生活が忙しく、更新が不定期になりますが一人でも楽しんで頂ければ幸いです。

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