同じ朝を繰り返す
読者の皆様、お待たせいたしました。
と言っても、あれから貯めたストックはぶっちゃけ四話分です。
ですから今日から今作の更新を隔日にして、また時間稼ぎしないといけません。
マスト・ダイ(意訳:必死
「訊きたいことがあります」
「何でしょう? カイン殿であればラプラスが殺害しました。サイラス殿であれば行方不明につき目下調査中です。マリー様の所在、または生死は我々の方では確認出来ておりません」
日記によってカインが亡くなったの知った。
どうやら僕はあれから毎朝同じことを訊いているようで。
悪魔の執事は言いよどまず答える。
次に僕は室内を見渡し、今置かれている状況を観察するんだ。
まるで地球の中世ヨーロッパのお城を模したような内装は非常に厳格的で。
僕の身に余る広いスイートルームには天蓋付きの立派なベッドがある。
「ここは何処なんだ?」
「ここは元王都ナビアの統治下にあった城宿ですが、国はもう存在してません」
日記に書いてあった。
王都ナビアでは酷い内乱が起こったと。
だから決して近づいてはならないと。
「イクト様、今朝の献立はアルベール貝と香草を使った炊き込みご飯と、ミニヨン豚のワイン煮込みになります」
もしもここで彼に反抗したらどんな対応を取られるだろう。
なんにしろ興味本位でやるようなことではないか。
「頂きます」
「……前以て説明しておきますとラプラスは現在世界中の魔術師を順次狩っている最中ですので、ここには居りません。我らの目的は『悪魔』との汚名を着せられた古代人種、ノヴァの血族の復権です」
「ノヴァの血族?」
「然様です。我らは決して悪魔などではありません」
イクト様に至られては努々お気を付けを。
と彼は注意を促す。
その点から察するに、彼らの悪魔という謂われは酷い侮蔑なのだろう。
「……私個人としては、貴方とマリー様の永久的な愛に憧れるほど慕っておりますよ」
「あ、ありがとう御座います」
とか何とか言うが、彼はこの調子で毎朝僕をおだててるんじゃないか。
そうやって僕から反抗心を殺ぎ、従順な羊にでも仕立てている。
「記憶欠乏症に罹ろうとも、イクト様の察しの良さには私も驚きを隠せません」
「さっきから貴方は僕の心を読んでるんですか」
「然様です、我々の嗜みのようなものです」
なら、逆らうだけ無駄か。とつい思いたくなってしまうが……。
「……あの、トイレは?」
「こちらで御座います」
「いや自分一人で行きますよ、教えて貰えれば」
「イクト様のために言っておきますと、今城内の風紀は些か乱れておりまして」
風紀の乱れ? 悪い予感しかしない。
「ありえないことですが、イクト様が一人で城内をふらついていると殺されてしまうかもしれないのです」
「だ、誰にですか」
「……えぇ、無論我々に御座います」
数瞬の沈黙を保った彼の表情はとても晴れやかな笑顔をしていた。
とりあえず、トイレに行きたいことには変わらない。
「じゃあ、案内お願いします」
「畏まりました」
ついぞっとしたよ。
僕をトイレに案内する黒い燕尾服に包まれた彼の所作が余りにも美しくて。
彼の挙措は人間業じゃない。
「……悪趣味なことになってますね」
「申し訳ありません」
彼に案内され廊下に出ると、人の死骸が無作為に転がっている。
この国の酷い内乱は城内にまで及んでいたのを知れた。
つい、ぞっとしたよ。
この事態を見受けて「悪趣味」の一言で済ませる自分の薄情さに。
それで居て僕はマリーへの愛をうたう、どうしようもない奴だったらしい。
仕方ないだろ、名も知らない故人を悼んで、泣いても。
「……イクト様は本当にお優しい方だ」
「そうでしょうか」
「えぇ、気付かれてないかも知れませんが、目から涙が零れてますよ」
この指摘を受けた僕は、心の底から安堵するのだった。
そして――
◇
「訊きたいことがあります」
「何でしょう? カイン殿であればラプラスが殺害しました。サイラス殿であれば行方不明につき目下調査中です。マリー様の所在、または生死は我々の方では確認出来ておりません」
そして、僕は同じ朝を繰り返す。
えんやー……さーあー……えんやこらよいさっさ。
えんやー…………。
ふぅ、ん? ああ皆さんどうも今晩は。
私は今し方懐メロのエンヤを聴いていた所です。
エンヤはいいですよね、心が浄化されます。
えんやー……。
と言うことで、最近更新が途絶え気味で申し訳ありません。
最後まで全力疾走したかったですが、叶わず。
現実問題、最後の山場は大切に!! っていう気概が僕を悩ませるのです。
少しでもいい作品にしたいですから。
次の更新は明後日の7月10日を予定しております。
隔日更新しないと中途半端な所でまた更新が途絶えちゃうもので。




