それでも
世界の真実を知り、昨日の僕に懇願された今。
僕の目の前に現れたラプラスは正に女神のように思えた。
「その女から離れなさい!」
だけど、ある一つの叫び声が僕と彼女の間を別つように促していた。
叫び声の方に視線をやると、人影がこちらを見ている。
「貴方はどこの誰ですか?」
頓狂な声音で尋ねた瞬間、僕は事態の重さを推し量る。
叫んだ人の身体は酷く負傷していたんだ。
血を垂れ流し、目も朦朧としていて、姿勢はふらふらと頼りない。
「イクトさん、その女は、信用出来ますか」
「だ」
いじょうぶですか? と言おうとしたら、ラプラスは僕の肩を掴む。
「何しに来たのですカイン、貴方のような上役が独断専行しては他も迷惑しますよ」
「……イクトさんはその女の正体を知らない? のですね」
「いや」
何が何だか。
みんなして、記憶を失っている人間に無理難題を吹っ掛け過ぎだ。
ラプラスからカインと呼ばれた彼は日記にも登場していた。
オリビアの元婚約者で、僕が初めてエルフと認識した人物だ。
「その女は、魔王ですよ。この世に災厄を齎す悪魔の長です」
「魔王?」
「魔王? 私がですか? 私は単なる卑しい一人の女ですよ」
そう言うと、彼女は僕の前に出た。
血だらけで今にも卒倒しそうな彼と僕を別つような仕草だ。
「……イクトさん、残念ながら、僕では貴方を救い出すことは適わない」
「世界的重要人物となったイクトを政治利用するために攫うことを救出するとは言いません」
「それでも彼は僕らの仲間だ!」
様々な言葉が飛び交い、胸中には天秤が用意される。
僕はこの島から逃げ出したいが、どっちを信用すればいいのだろう。
明確な答えは出ない、出なかったが。
血だらけの状態だったカインは糸が途切れたからくり人形のようにその場に伏臥してしまう。
ラプラスは倒れた彼に近づく。
「何する気だ」
「……何って」
――殺すに決まってるじゃないですか。
「止めてくれないか、何だよ突然」
「イクト、これは仕方のないことなのです」
その後、カインの姿を見た者はこの世にはいない。
12月6日の日記によると、僕は彼を救うことは出来なかった。
カインを目の前で殺され、僕は尚ラプラスと一緒にカイザー島から脱出した。
その記述を読んだ僕は目を腫らすまで泣き通し。
愛とは何たるかを思い知ったんだ。
おーおきな私の計算ミス、お祖父さんの血筋~。
百年、以上前から狂っていた、ごじまーんの脳みそさ……。
私はここで読者の皆様に謝らなければならないです。
実は……またストックが切れました!!
申し訳ないのですがまた更新の日時を空けさせて頂きます。
この度は、誠に。
お祖父さん「すいやっせんした!」
私「やめて爺ちゃん」




