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今回も事態は無事平穏のまま


 ラピュタ街のシリアルキラー紅雨をアビスが打倒してから半年の月日が経過し。


 賢者の孫娘を代表とする僕達のキャラバンは今、海洋を渡っていた。


「ピゴー」

「余り飛ばすなよジョージ」

「あいー、ぜんそくぜんかいなりー」


 その頃にはジョージはすっかり可愛くなくなった。

 ジョージにも物心が付き、幾分か自我が出て来たいい証拠だろう。


 キャラバンを引っ張るジョージは海の上を滑るように移動していた。見晴らしのいい海景を一望するために、キャラバンのテントを少し開ければ、まるで船の甲板のようになっている。


「さてと、今日もアルビーダマグロを釣りますか」

「……」


 キャラバンの後方ではアルビーダの釣聖を目指しているグレアがモモと一緒に地球産のゴツイ釣り具で海釣りを漫喫している。これであの子の兄であるトールとの約束は半ば果たせた。


 で、ここからが本題で。

 このキャラバンは今どこへ目指しているのか分かるかな。

 リュトの招待を受け、結婚式場へと向かっているんだ。


 ラプラスが仄めかしたリュトのプロポーズはどうやら本当に成就したみたいだ。


 リュトが結婚式場に選んだのが、ひょんなことに海を渡り歩く移動島らしくて。

 その移動島に微かな期待を抱き、僕はリュトの結婚式に出席する。


 マリーとはまともに式を挙げてない僕からすれば羨ましい限りだ。


「イクトさんはお弟子さんの結婚祝いは何にしました?」

「そう言う貴方こそ、何を贈るつもりで?」


 僕にこう訊いて来た似非臭いエロフのカインは覚えているかな。

 彼が以前、リュトのことをどう罵っていたのか。


 確かオリビアと自分を裏切った逆賊みたいな言い方してたけど。


「えぇ、彼と僕は前世からの莫逆(ばくぎゃく)の友ですから」


 莫逆の友――イクト辞典によると同衾上等の仲という意味合いだ。

 やはりカインの前世話は自己設定の範疇に過ぎない。


「友情は美しいわよねぇ、今一望できる大海のように……」

 ミーシャは灰色の髪を風になびかせ、即席の甲板で日光浴と洒落ていた。


 どうでもいいが、彼女と、横に居るジーナ師匠の爆乳ツープラトン技は凄まじい。


「何ジーナさんをじろじろと見てるんだよ」

「減るもんじゃないし、いいじゃないか」

「見るのなら嫁である私を見て欲しいんですけどねぇ」


 ならそうしよう。


 潮風に凪いでいるマリーの紅蓮の髪は光る海の景観に引けを取らないほど輝かしく、印象深いアケビ色の瞳は今一心に僕を見詰め、象牙色の眦とのコントラストに胸が律動からずれるよう跳ねてしまう。


 マリーはその独特の美貌を、白いビキニで着飾っていた。

 素直に綺麗だよと伝えると、彼女は肉薄してキスをする。


「友情は美しい。けど、他人の恋愛は豚も食わないわよ?」

「安心したよ、お前らの仲が相変わらず熱愛であって」


「さんきゅーそーまっち。リュトが指定した島まで結構あるな」


 マリーは大きく腕を伸ばし、身体の凝りを取る。

 その時、釣りに耽溺していたメンバーから歓声があがった。


「キタ――(゜∀゜)――!!」

「……絶対に釣る」


 どうやらグレアの釣り竿に大物性の当たりが来たようだ。


「おお、いいぞグレア、そのまま今晩のおかずゲットだな」

「何が釣れるのかしらね」


 魚影はまだ見えないものの、グレアはマリーやミーシャと言った仲間達の意識を釣ることには成功している。よくよく窺えば海はエメラルドグリーン色をしていて、とても綺麗だ。


「チンケ」

「お帰りアビス」


 するとグレアが信望しているアビスが帰って来た。


 半年前の決闘で勝利したアビスは今も妹の紅雨を探している。

 例の決闘は紅雨が退くように姿を消す形で終幕したらしい。


 だから、紅雨はまだ生きている可能性が高い。


 彼は紅雨の最期を見届けるために時折キャラバンを離れては、世界中を探し回っていた。


「もしかしてキャラバンの次の目的地はカイザー島か?」

「そうだよ、僕の弟子のリュトから招待された」

「だったら俺も同行しよう」


 そう言うと彼は僕の隣に腰を掛けた。


 以前までは猿人のようだった彼の風貌も、今じゃ一端の人間だ。動きやすさを重視した黒い軽装なのに、見るからに只者じゃない空気を放っていて、精悍なマスクは魔王の肩書に相応しい箔があった。


「何でもカイザー島で紅雨を、妹を目撃した情報を入手してな」

「穏やかな話じゃないな」

「当たり前だろ、俺を誰だと思ってる――魔王だ。クク」


 ……まぁでも、行く先には熟練のフラグクラッシャーであるリュトがいるんだし。

 今回も事態は無事平穏のまま進むんじゃないかな。



拙作をお読み下さっている皆さん。

今日は宣言通り連載を再開させました。

皆さんとの約束を破る太々しさは私には微塵もありませんので。


本章でいよいよ今作も終わりです。

終わりとなるよう執筆しているのですが、最後の山場をどうするかで今懊悩しています。

基本的に毎日連載のまま終わりを迎えたいと思っておりますが。


いかんせん、筆がががが。

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