表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/97

愛弟子からの必死な贈り物


 僕の好きな偉人の一人に、ナイチンゲールがいる。

 彼女は人間の心理現象にも名前をあてがわれるほどの存在だ。


 ナイチンゲール症候群――患者が看病してくれた人に恋愛感情を覚える。


 今回はどうやら僕が最愛の彼女にその現象を起こされる話だった。


「マリー、ただいま」

「……帰って来ちゃったのか。おかえり、意外と早かったな」


 酷い頭痛の中、彼女達が待っているキャラバンに帰る。

 すると僕の奥さんは飄然としながら無粋な台詞で出迎えた。

 もしかして、倦怠期?


「どうしたイクト? 声がガラガラだな」

「ちょっと、アビスとの儀式で風邪っぽくなったみたい」


 そこで僕はわざと咳をした。


「平気か?」


 いつもは気鋭に満ちている彼女のアケビ色の瞳が、今はおぼつかない。

 マリーは僕の容態を気遣うように、傍に近寄った。


「移っちゃうぞ」

「移らないって。それよりもゆっくり休んだ方がいいよイクト」


 最早、彼女の声音には先程までの無粋さはなくなっていて。

 僕はやっぱりマリーのことが好きなんだと、再認識させられた。


 ◇


 僕の代わりにモモがジョージの手綱を握り、キャラバンは更に北を目指した。

 みんなには悪いが、今はゆっくり休ませて貰おう。


「イクト? 雑炊つくったよ、食べてくれるか」

「……ありがとうマリー、君が料理するなんて珍事だな」

「珍事って言う程でもないだろ、いいから食べろよ。そんでもって」


 と言い、彼女はヘンリーを僕に寄越した。

 ほどよく冷えたヘンリーの体温が、僕の身体に溜まった熱を冷ましてくれて気持ちE~。


 そうか、スライムにはこんな使い方があったのか。

 その昔スライムがまだ人類に愛護されていた頃を想起してしまう。


「ピゴー」

「ほら、ヘンリーもジョージも心配してるぞ」

「ありがとうヘンリー、そしてありがとうマリー」


 拙くお礼を言うと、彼女は複雑な表情を浮かべるのだが、何故だ。


 彼女が作ってくれた雑炊は思いの外ちゃんとしていて、美味しい。


 雑炊の肝は何と言っても出汁だ。

 マリーが作ってくれた雑炊は魚介系の味がする。


 美味なる雑炊に舌鼓していると、彼女が一心に僕を見詰めているのに気付いた。

 何だろう? と若干にやけ面で見詰め返す。


「……惚れ直してくれた?」

「惚れ直す? 僕はマリー以外の異性を好きになったことはないよ」

「嘘吐け」

「ですよねー」


 ですよね。

 上っ面を全開にした台詞に、彼女は少し笑い、また僕を見詰め始めた。

 心苦しいことに、風邪を引いている今では気軽にキス出来ない。


 咳は出るし、頭は痛いし、痰もある。

 雑炊を食べている間もゲホゲホと鳴りやまず咳していた。


「ご馳走様、本当に美味しかったよ」

「ああ、じゃあ後はゆっくりと寝てろよ」

「そうさせて貰うよ」


 この時、熱に魘されていた僕は予想だにしてなかった。


 まさか、まさかまさか。

 まさか……キャラバンのみんながナース服姿になるなんて。


 ◇


 一睡から目が覚めると、キャラバン内の光景が変貌していた。

 僕はそのことに驚き、半ば唖然としている。


「師匠、僕、頑張りましたよ」

「リュト? まさかこの光景はリュトが?」

「エーデル達に言われて、僕は師匠の未来を守り抜きました」


 僕の未来……? 僕達が知らない所でリュトは孤軍奮闘していたというのか。


「ん? 起きたのか。どうだイクト、似合ってるか?」


 マリーは身体に吸い付くほどピッチリとしたナース服を着ていた。

 桃色のナース服は色めかしいことに、際どいスリットが入っているのだ。


「どうしてその服着てるんだ」

「地球のナースさんを真似てみた、私はイクトを看病する使命があるしな」


 看病って……エッチいのもありですか? ぐへへ。

 僕の中にいるエロゲ中毒の患者は、しきりにナースコールしている。


「イクト、とりあえずここは賢者の孫娘である私にお任せあれ」

「どうする気だ?」

「どうもしない、ただ看病させて欲しい」


 ……はは、と僕は渇いた笑いを出したのとは裏腹に。

 内心では、ナース服に着替えた女性陣に魅了され、動悸を起こしていた。


 水色のナース服に着替えたアンリちゃんは退屈そうに読書しているし。

 白いナース服姿のオリビアは僕に気付き、こちらにやって来た。


「この格好は父上には決して見せられないな」

「恐縮です、げほ」


 彼女の白いナース服は煽情的な赤いラインが入っていた。

 裾も短くて、シェイプアップされほっそりとした長い両足が際立っている。


「……私も、出来れば使い魔が欲しい所だ」

「そしたらオリビアにはとっておきの悪魔を紹介してやるよ」


 思わずオリビアのナース服姿に悩殺されていると。

 マリーが彼女に知り合いの悪魔を遣わそうと申し出た。


「それは願ってもない所だな、どんな悪魔だ」

「カガトのことだな」

「喧嘩売るな、病人の前だぞ」


 確かに今の僕は病床に伏しているが、気分は上々だよ。


 それもこれも、みんなのおかげだ。


 ちょっと意表を突く形だったけど、みんなが着替えてくれたナース服は一種のロマンだから。


 そう思うと、恐らくみんなにナース服を用意したリュトに感謝しないとな。

 リュト、ありがとう。


 けど、キャラバンの雰囲気が妙に俗気を増したみたいで。

 僕はたゆまない感謝を贈るのとは背反して、なんか違うなぁと首をもたげたのは内緒だ。



さて、話は変わりますが私は最近セブンのポテト(ここ重要)ポタージュにはまっています。


あのまろやかな味わいに、つい白昼夢を見てしまいますzzz


失敬、今は仕事中じゃないので寝ながら更新するのをお許しください( ˘ω˘ )

明日の朝陽はもう拝めねぇぜ……ウハハハ、英雄たちが帰って来たぁ!


失敬、寝言です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ