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彼女は僕のなにであったか


「鈍色峠? あそこには……」

「何かあるのか?」


 キャラバンの行先を耳にしたグレアは気掛かりがあるようだ。

 不思議がったマリーが彼女に問い質している。


「……魔王がいます」

「「魔王?」」


 そうか、アルビーダには魔王がいるんだった。

 僕達は魔王のサムシングによって王都を追放されたんだった。


 カインが言っていたように魔王はこの世界だと禁忌中の禁忌とされている。


「自称です、ですが自負するくらいには強い魔物が」

「ん? アセロラジュース飲む?」


 グレアはアンリちゃんが飲んでいた赤い液体が気になったらしい。

 アセロラジュースを飲みつつ、説明を続けた。


「鈍色峠には魔王を謳うぐらいの猛者がいます」

「それはどういった輩でしょうか、まさか本物の魔王なのですかね」


「ラプラスは本物の魔王を見分けられるのか?」


 と言うと、ラプラスは僕に蔑視を向ける。何故に?


「イクト、人から何かを得たいのなら、それ相応の対価を寄越しなさい」

「マリーとオリビアが協力すれば勝てるかな」


 見返りに僕はラプラスの存在を蔑ろにして、仲の悪さをグレアの前で露呈した。

 ないとは思うが、グレアがラプラスに味方する事態はあって欲しくない。


 まぁ、その判断はグレアがするだろうし、そうすべきだ。


「……そう言えば、皆さんの関係をまだ聞いてませんでした」

「私を誰だと思ってるんだね」

「……誰です?」


 マリーの一線級のギャグを彼女は真顔で返す。

 グレア、恐ろしい子。


 ◇


 鬼人の村を出立して一時間弱。

 僕達のキャラバンは魔王勢力と思われる敵とバトッていた。


 両翼を持ち、四肢を生やし、顔はグロテスクな生物が一様に襲って来たのだ。


 僕は馬車の周囲に絶界陣を張り、防御に徹している間。

 オリビアとマリーが敵を殲滅する。


「ふぅ、やれやれ、鈍色峠の連中を相手にするのは骨が折れるな」

「たまの運動にはなる。最近太ったんじゃないかマリー」


「二人ともお疲れ」


 そして斃された敵外生物はジョージが軒並み食べている。

 以前はジョージのこと、可愛いって思ってたけど。

 今は心なしか怖いです。


「ピゴー」

 ヘンリーはジョージを一心に見詰めていた。


「なんにしろ、向こうは本当に敵意が強いな」

「加えてあの見掛けだからな、人間から畏怖され、図に乗ってるんじゃないか」


 その畏怖の対象をオリビアはズッタズタに屠ったのだが、気にしない。

 鈍色峠は既に僕達の視界に入っていた。


 彼の峠を前にして、僕達のキャラバンは襲撃され、戦闘にもつれ込んだが、キャラバンの鉄則である『極力戦闘はしない』という規則が早速破られていた。どうしようかな、このまま峠越えを目指すかそれとも。


 そんな風に思案しているとどうなると思う?

 鈍色峠の中腹にある洋城からまたさっきの敵が襲撃して来るんだ。


「えさー」

「ジョージ、一度撤退しよう」

「なしてー?」

「一寸の虫にも五分の魂って言うだろ」

「しらーん」


 しらーん、じゃない。

 僕達はみだりに殺生しちゃいけないんだ、罰が当たるぞ。

 ジョージにおかんの如き叱咤をすると、何故か峠へと進む。


「ジョージ、何を」

「……」

「急に黙るなよ、昔のお前は可愛かったぞ」

「こっちにいきたいー」

「えぇ……」


 と言う具合に、ジョージの暴走によってキャラバンは敵陣へと走り出した。

 僕達の戦いはまだまだ続く。


 って終わったら僕の人生もある種幸福だったかもしれないな。


「ちょっと退いて! 私がジョージを説得する」

「マジっすかモモさん」

「ジョージ! ハイヨー!!」


 僕の代わりに御者席にやって来たモモ先輩はクレイジー。

 発破の如き掛け声と共にジョージを鞭で打った。


「モモー」

「ハイヨー! ハァ!」

「モモー」

「ジョージ! その調子!」


 もういいか。

 僕はキャラバンを守ることに徹して、後は自分の世界に没入すればいいんだ。


「マリー、それからオリビア、出来ればこの馬車を守って欲しい」

「当然そうしますよ、けどさイクト」

「何?」


 現実逃避をしていると、マリーは僕に肉薄してキスをする。


「現実から目を背けない、これは私とお前の約束だ」

「……そうだね、これを例に、僕は現実と向き合って、上手いやり方を見つけるよ」

「では、行って参ります」


 マリーは気品溢れる礼をすると、敵の懐へと瞬時に移動した。

 そして彼女はおよそ五十はいた人型の魔石生物を圧倒する。


 今回の物語は決して俺TUEEEではなく。

 僕の運命の相手でもあった賢者の孫娘による、無双物語だった。


「あいつは本当に無駄な才能に満ちているな」

「それは一種の皮肉じゃなくて?」


 オリビアは僕と一緒に戦闘の様子を見届け、こう言う。


「当然、皮肉のつもりだ」

「……人は、社会に守られてるだけで、安寧なんか定められてないんだよ」

「社会の中にも敵はいるがな、私は自身の人生を踏まえてそれがよくわかった」

「そう言うことだと思う。敵はどこにだって、誰にだっているんだ。普通に」


 ここで言う敵とは何も人間に限ったことじゃなくて。

 人生に訪れるであろう様々な困難も、一種の敵だと捉えている。


 そう達観すると、人生とは闘いの連続だと思えた。


「私はイクトの敵じゃ、ないよな?」

「ああ、それは当然――……」


 当然、オリビアは僕の敵じゃない。何を不安になったのかは知らないが、当たり前のことを伝えるだけで彼女の心は落ち着くものだと思い、当然だろ、って言いたかったんだけど。


 彼女は僕に、――キスを重ねた。


「……なら私はお前の、何だ?」


安西先生・・・キリンメッツめろん味が飲みたいです(ぷるぷるぷる)


あのジュースは近年で一押しの炭酸ジュースでした。

ああ、メロン、食べたい(ぐぎぎぎぃ)


駄目かね(´・ω・`)


でも、ちょっとメロンに興味湧いてきました。

何でメロンをこんなにも美味しいと感じてしまうのか、興味あります。


もしも機会があれば、メロン部なるものを作中に出したいです。

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