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そして追放へと至る(だいたいエロフのせい)


 ジーナ師匠の家から帰る道すがら、僕は意外な場所でラプラスを見掛けた。


「カインさんの前世だと彼女はどう言った関係性だったんです?」

「彼女は赤の他人ですね」


 さ、帰ろう。

 マリーが家で待っている、帰ろう帰ろう。


「イクトじゃないですか」

「付ぃて来るなぁよぉ」


 ここは王都の観光施設の一角にある王立自然公園。

 自然豊かな異世界アルビーダを象徴するように、新緑が薫っている。

 偶々エロフの彼を案内しようと訪れたけど、何故かラプラスが居たんだ。


「で、ここで何やってたの」

「妊娠体操ですよ」


 ビッチ! あれだけ避妊しろと口酸っぱく言われてただろ。


「誰の子供だ?」

「誤解があるようですね、妊娠体操と言っても私のは不妊治療みたいなものでして」


「……」


 ラプラスの邪気に中てられたのか、カインさんは黙然としていた。


「……何か仰ってください、あ・な・た」

「貴方と話してると不思議とジンマシンになります」

「そのジンマシンを私と一緒に克服してみませんか?」


 突発的なラプラスアレルギーに見舞われた彼の体質が羨ましく思う。


「孕んじゃいそう」

 喧しい、ラプラスは僕達の目の届かない所でドスケベセッ〇〇でもしてろ。


 それで、どういう訳か僕達三人は木陰に入り、芝生の上に腰を据えた。

 予めラプラスが作っていたサンドウィッチを頬張り、三人で青空を遠望する。


「明日の天気は雨でしょうね」

「雨ですか、聞いた話によるとエルフの眼は特別だそうですね」


 ラプラスの質問に、カインさんは後頭部を掻く。

 最初は手で髪をすくように軽い物だったんだけど。

 それが段々、段々と乱暴になり。


「アアアアアァアッ! どうして僕はいつもこうなんだァ! 意図せず禁忌を犯し、周囲から疎まれ忌諱されて、白い眼で見詰められるのが耐えられなくてちょっと息抜きするつもりで王都にやって来たのに! どうしてッ、どうして!」


 怖いお。

 僕は彼の変調に反応することなく、一心に青空から視線を逸らさなかった。


「なあラプラス、僕は師匠と一緒に魔石加工の修行をエルフの国でしないかって誘われてるんだ」

「……一概にエルフと言っても、千差万別ですよイクト」

「いつになく達観した様子だな」


「えぇまぁ、カインさんとのシミュレーションで軽くイッて、今は心がこの空のように」


 帰るか、無駄なことに時間を割いてしまったようだ。

 その場をすくりと立ち上がると、二人も腰を上げる。

 僕が右を行けば二人とも右に来るし、左に行けば同じく左に来る。


 二人はまるでRPGの仲間のように動くのだ。

 僕が勇者で、さらわれたマリーを今から助けに行く。

 そんな妄想から想起した存在がある。


「そう言えば、今までずっと聞けなかったことがあるんだけど」

「何です?」

「異世界アルビーダには魔王っていたりするの?」


「……魔王は実在しますよ」

「馬鹿なことを仰らないでくださいよ、魔王はおとぎ話の中でしか登場しないじゃないですか」


 ラプラスとカインさんは意見を食い違わせていた。

 ラプラスはその存在を肯定するのに対し、彼は冗談としか見てない。


「エルフの間でも、賢者ブライアンは魔王のように扱われているのでは?」

「ああ、その通りですが、しかし魔王を肯定するのとは違います」

「もったいないですね。貴方の面構えは完璧ですが、中身が外しています」


 僕はただ興味本位で魔王の存在を訊いただけで、二人の不協和音を煽ったわけじゃない。


 しかし、魔王か……仄かにだが、居たらいいなって思う。

 そう言うとカインさんは全身を粟立たせ、僕に邪気眼を向けた。


「だから君はオリビアを穢しても平然と居られると言うのか、魔王崇拝者には善でもなく、悪でもない私の裁きを以てしてその身を焼き滅ぼされるといいだろう! いでよ我が聖獣、イフリータッ!!」


 性獣? いや聖獣か。

 カインさんが特有の邪気眼のボルテージを最高潮まで上げるよう吼えたその時。


 姉さん、事件です。


 事件の発端は僕が見せた好奇心から魔王への羨望を口にしたことだけど。ここは自然公園、緑豊かな場所で、言い換えれば火事の恐れがある危険スポットだったんだ。その場所でカインとか言う阿呆エロフは地球でも有名な火の精霊を呼び出しやがった。


「ママー!」

「誰か、誰か私の娘を助けてぇ!」

「おい! 消防隊はまだなのか!?」


 幸い、この火災による死傷者は出なかったらしいが。

 翌日、僕達は王政を取り仕切る元老院の議事堂に呼び出された。


「では、此度の火災はカイン・レチェバルトが引き起こしたんだな」

「違います! 今回の件は魔王崇拝者と闘ったことによる反動で」


 僕とカインさんとラプラスの三人は、自然公園を全焼させた罪に問われていた。


「ともあれ」


 ジューク王が結論を急かすように口を開く。


「今回の件を受け、我々元老院はイクト・マクスウェル・Jr一行を国外追放に処すことで満場一致した。其方たちは可及的速やかに支度を整え、国を出ていくのだ。そして二度とこの国に立ち入らぬようにな」


 まさかこんな展開になろうとは。

 帰ったらマリーからドヤされるだろうな。



嘘……だろ? GW終わり?

他の作者さんも10連休の終わりを嘆いてるのでしょうね。

なら差別化を図る意味を籠め、私はGWにエールを送るー!


ふれー! ふりゃー! ふれー! ふりぁあああああ!


狂気の沙汰ですね。

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