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あいつもこいつもエロフ


「皆さん、お早う御座います」

「お早うカイン、なんか顏テッカテカしてるけど、いいことでもあった?」


 モモさん、向こうは一応お客さんなんだから自重して。


「さては、昨夜オリビアと寝たの?」


 モモさん! とにかく色々と波立たせないで!


「朝っぱらから人に不快な思いさせないでくれるかモモ」

「生憎、オリビア殿との仲は進展しておりませんが、朗報はあります」

「朗報は帰って来てからにして、遅刻すっから」


 さすがはモモさん、いくら心の中で自制を促そうとも全く通用しない。

 そんなことじゃ、モモさんも例の組織に拉致されますよ。


 モモが魔術学院に向かうと、三つ子が僕の許へ近寄る。

 彼女達の神秘的な女性性からか、僕はついドキッとした。


「なんだよ?」

「憎むべきはリュトですね」

「リュト? 彼はまだ何もしてないだろ」

「気付いてないのですか?」


 三つ子は肩甲骨まで伸ばした亜麻色の髪を後ろに撫で上げていて、柳眉を覗かせながらまだ幼さを残している利発な容貌を一切崩さない。三人とも同じ容貌をしていたので、この三つ子を見比べることが出来るリュトが凄いなと思った。


「リュトさえ居なければ今頃貴方はさらなる悲運に遭っていたのですよ」

「「リュトさえいなければ……」」


「ふーん」

 三つ子が示唆した悲運とやらは、恐らく例の組織による拉致のことだろう。

 何か知らないが、僕は愛弟子のフラグクラッシュによってその未来を回避したようだ。


 ◇


「ありがとうなリュト」

「何のことですか師匠?」

「いや、それよりも今日は給料日だ、今月もありがとう」

「そんな、こちらこそありがとう御座います……師匠、いつもより多いですよ?」

「今月の収入はでかかったから、色付けておいたんだよ」


 今日はリュトの給料日だったり、家族のお小遣い日だったりする。

 僕は家の大黒柱として、ちゃんと我が家を回しているよ。


「ありがとう御座いますぅ、さっすがはイクトだな、つって」

「私の働きからすればもう少し多くてもいいはずなのですが、納得しておきましょう」


 マリーとラプラスの二人にも小遣いを与えるのだが、僕は常々疑問なのだ。

 みんな、与えたお小遣いをどんな用途で使っているのだ?


 特にマリーとラプラスの二人による使い道が判然としない。

 二人とも貯蓄してるのかな?


「で、カインさんにも手伝ってもらった」

「僕は結構です、それより重要な件があるから」

「……いや、それとはまた別に」

「結構だと言っています」


 怖いよぉぉぉ~。

 柔和で静謐な人間性をしたエロフが、今度は意固地になってるんだお。


 三つ子が示唆した悲運の件もあるし、彼には早々に帰って頂こうかな。


「イクト、何やらカインからお前に大事な話があるようだ」

「それって、オリビアとの結婚が決まったとかそんな話?」

「殊と次第によっては、と言った所か」


 オリビア、君はいつの間に彼に肩入れするようになった?

 一週間前までは、あんなに非難してたのにな。


「大事な話って何ですか?」

「そうですね……先ずは僕と一緒に貴方の師匠を尋ねに行きませんか?」

「いや、あのおっぱいは僕のものですしおすし」


 姉さん、事件です。

 僕が積年溜めていた師匠への印象を、とうとう吐露してしまい。

 マリーから悪態をつかれ、ラプラスからは嘲弄され、オリビアからドツかれました。


 僕は逃げるように銀河系巨乳の下へ、カインさんを連れて向かった。


「私に何か用か?」

「ジーナ・レチェバルトですね? 初めまして、僕の名はカイン・レチェバルトと言います」

「え?」


 カインさんと師匠が同じ家名?

 まさか二人は血族だと言うのか?


「……何だよイクト」

「師匠、エルフって軒並み師匠みたいな巨乳なんですか?」

「それは知らないが、私は一応エルフの血脈だ」


 エロフ!

 衝撃の事実が判明し、僕はつい師匠の乳を突いてしまう。

 そしたら師匠からボッコボコにされたんだお。


「用件はそれだけか」

「ジーナさん、貴方も一度我々の国へ来ませんか」

「……何のために」

「貴方の父君であるエルフに会ったらどうです」

「私と母を捨て故郷に帰った最低野郎に誰が会うと言うんだ」

「事情はよく知りませんが、きっと理由があったのですよ」


 どうやら師匠は人間とエルフのハーフらしい。

 ハーフエルフって、僕のサブカル知識だと禁忌ものだぞ。

 でもそっか。


 師匠が男嫌いだった理由って、両親の経緯があったからなんだな。

 僕はこれでまた一つ、こちらの住人に相応しくなれた。

 

「貴方のお弟子さんの腕前を拝見させて頂きましたよ」

「イクトは私の弟子の中でも不出来な奴でな」

「それは聞き捨てならないぞ、全身脂肪袋」


 と言い、師匠の胸乳をガン見したらまたボッコボコ。


「これは僕の見立てですが、一から十まで独学だと限界があるのですよ」

「それで?」

「僕から提案出来るのは、ジーナ・レチェバルトと、その弟子イクト・マクスウェル・Jrを我が国で研究生としての受け入れるお話です」


 僕と師匠のジーナさんをエルフの国で育成するだって?


 そしたら、どうなる?

 プレンザ地方にある僕の実家は空けても問題ないが……。


「何でしたら貴方は必要じゃない、イクトだけでも」

 カインさんがエゴ的な本音を漏らそうとした時、僕は彼の胸倉を掴んでいた。


「……師匠はエルフに母諸共捨てられたって言ったじゃないか」

「誤解ですよ、そのエルフにも何か理由があったんです」

「貴方は今なんて言おうとしたか判らないのか、差別発言だけど、エルフってのはみんなそうなのか」


 ことさら言えば、ジーナ師匠には多大なる恩義がある。

 僕は師匠に愛着を持っているし、師匠のお母さんには幾度も世話になっている。


 その二人を吐き捨てるような彼や、父親のエルフに一時だけでも敵愾心をもたげる。


「止めろよ喧嘩は」

「……」

「そうですよ、さっさとその手を退けてください、プッ」

「えぇ……今の流れからすると唾吐きかけるのは僕の方でしょ」


 マリー、エルフって冷血で、ダーティーだったよ。

 もっともこれはカインさんだけの特徴かも知れない。

 でも、彼一応、代表補佐という偉い役職なんだよな。


「まぁいいよ、私はもっと鍛冶職を研鑽したかったし……お前の言う通り独学には限界がある」

「イクト殿はどうなさいますか?」

「この流れで快諾するバカがどこにいるんだよ、エロフ!!」



運命の、エロフ様よ、この僕に、一度だけ……。

〇〇〇〇させてウォウォウォウォ♪


あ、ごめんなさい。

つい汚物のような本音がポロリしちゃいました。

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