表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/97

もっとよく知りたい


「リュト、買い物に行くけど君はどうする?」

「あ、僕も行きます」

「ではでは、皆さんで一斉に行きましょう」


 マリーの移動魔術は本当に鮮やかな手並みだ。

 彼女は呼吸するように僕達を王都ナビアの商業区へと移動させる。


「ありがとう御座いますマリーさん」

「いえいえ、いえいえ」


 王都ナビアは相も変わらず人で溢れかえっていた。

 僕達が育てた街とはその点が断然違う。


「この際ではあるし、私は教壇に立つための服を揃える」

「教壇?」

「言ってなかったが、私は王立魔術学院の教員になるのだ」


 オリビアの告白に、マリーは無表情になってしまう。

 王都でのマリーの評判は変人の一言に尽きるからなのか、そうなのか。


「ヨカッタネオメデトウ」

「何か嫌な思い出でもあるのか?」


 僕がそう問うと、マリーは「ウウン、ナニモアリマセン」と完全に心を殺している。

 オリビアはそんな彼女を見て嘆息を吐いた。


「我が家の連中はどいつもこいつも社交性に欠けるな」

「ふひひ、さーせん。じゃあどうする? 僕達と別行動取るか?」

「そうだな、今から二時間後に広場の大聖堂前の石段で落ち合おう」


「師匠、僕もちょっと用事があるので」

「ああ分かった、気を付けろよリュト」

「重々承知してます、では」


「……私、ちょっと独りになりたいから」

「クロエさんも?」


 となると、残ったのは僕とマリーとジョージだけだ。

 僕はジョージを腕に抱え、道に迷わないようにした。

 ジョージの肌は適度にひんやりとしてギンモヂイィ。


「お腹ー」


 さすがに待たせ過ぎたと思った僕は一言謝ってから魔石を与える。

 ジョージは僕の腕の中で魔石を溶かすように食べ始めた。


「アイスキャンディーみたいんだな」

「ああ、本当に美味しそうに食べるよね」

「絶妙な舌遣いですね、微笑ましい光景ですが同時にリビドーが高まります」


 居たのかビッチ。


「いつから居たんだラプラス」

「イクトがお母さんの子宮に居た時からですよ」

「……そう言えば、父さん達は今頃どこで何をやってるんだろ」


 ラプラスの冗談から、二人を杞憂してみたが。

 父さんと母さんって、妙な安心感があるんだよな。

 二人が旅に出た時もそうだったが、特に心配してない。


「食料を買いに行こうか」

「えぇ、行きましょう」


 折角のマリーと二人きりの時間を、ラプラスは絶対潰しに掛かるらしい。

 ラプラスは腹に一物抱えてますが、何か? と言わんばかりに傍にいるからな。


 ◇


「これは賢者の孫娘様、それからイクト殿、お久しぶりにしております」


 僕達はジョージを連れて大商店へやって来た。

 ここは以前店舗ごと買い取った、今では馴染みの店だ。


「イクト殿が胸に抱えられていらっしゃる物体はなんですかな?」


 店主のヨハンソンはジョージを不思議がっていた。


「スライムですよ」

「ほほう、スライムですか。どこで見つけたんです? 確か私めの朧気な記憶ですと絶滅したと」

「家の近所の森を散策してたら、居たんです」

「ほう、でしたら今度私もご一緒させて頂いても宜しいですかな?」


「このちゃっかりものが、一体何を企んでるんだよ」

 ヨハンソンの言葉をマリーは露骨に穿った見方をしていた。


「純粋に私も飼ってみたいのですよ、こう見えて私動物は好きでして」

「そうだったのですね、どうでしょうヨハンソン様、今度私と一緒に」

「止しましょう、貴方とはもう終わったのです」


 は? 我が家のビッチオブビッチはヨハンソンとまで関係性を持っていたのか。

 さすがはビッチオブエンプレス! そこに痺れる憧れる。


「マリーマリーマリー」

「何だよジョージ、人目を惹くから余り声出すな」


「スライムは言葉を喋れるのですな」

「お腹ー」

 ジョージは再度空腹を報せるよう鳴いた。


 今日はやけに食うな、人前に出て緊張しているんじゃないか?

 その場で魔石を生成し、与えるとジョージは魔石を舐め始めた。


「ほう……所で今日はどう言ったご用件でしょうか?」

「今日は食料を買い溜めに、食糧庫を見たら空っぽだったんで」

「ははは、でしたらこちらをお使い下さい。支払いの際見せれば三割引きになりますから」


 日本で言う所のクーポンチケットか。

 異世界アルビーダの商戦も成長しているようでなによりだ。


「ママー、あれ何ー?」

「何かしらねー……」

 ジョージを連れて店内を歩くと、子連れ客などの注目を集める。


「可愛いー」

 せやろ。


「スライムだ、珍しい」

 せやろ。


 マリーは人目を嫌がるよう僕にひっついていた。

「お前のせいで若干目立っちゃってるだろジョージ」

 ジョージは魔石を食べるのに夢中で、特に反応しない。


「イクト、その子を私に使わせてくれませんか」

「本音がおもいっくそ見え隠れしてるぞラプラス、ジョージを使うって何だよ」


「その子は何やら注目の的ですから、出しに使おうかと閃きまして」

「お前には絶対ジョージの面倒は任せない」


「……せいぜい、誘拐されないよう気を付けてくださいね」

「その誘拐犯って明らかにお前のことだろ」


 ラプラスが仄めかしたことにより、ジョージを王都に連れて来るのも考えものだと知った。ジョージは絶滅危惧種という稀少価値が付いた人気者だ。だとすれば、ジョージの誘拐を狙っている輩が居てもおかしくない状況だ。


 僕は飼い主として、ジョージの生態をもっとよく知りたい。

 例えば寿命とか、例えば繁殖方法とか。

 知識があるのとないのではまた違って来るのだから。



鬼のようなGW、始まりましたね。

しかし、GWも残す所あと9日とちょっと。

そう考えるとうかうかしてられません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ