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いい笑顔


 ジョージは人懐こい習性が災いして数々の小事件を起こした。


「死ぬところだったぞ」


 ジョージは夜中にオリビアの寝所へと侵入していた。

 あろうことかジョージは彼女の顔の上で休息を取り。

 呼吸できなくなったオリビアは危うく死ぬところだったと文句を言って来る。


「ピゴー」

「躾がなってないんじゃないか」

「悪かった、けど大事に至らなかったわけだし」

「死ぬところだったと言ってるだろ」


「……ごめんな」

「何だ? 謝るにしてもやけに神妙じゃないか」


 オリビアに傅いていた三つ子は今はもうこの家にはいない。

 三つ子は忽然と姿を消してしまったようだ。

 オリビアは三つ子が消えて、かつての僕同様に自分を責めているようだった。


「……私にはよくよく人望がないな。気付いてはいたが」

「君が悪い訳じゃないから」

「だからな? 私は騎士の位を捨てることにしたよ」

「捨てるって、どうして?」

「これからの私は教師を目指す。今の時代、指導者は人格を問われると仄聞(そくぶん)しているからな」


「と言う訳で」と言うと、彼女は王立魔術学院の教員免許を見せてくれた。

 そして彼女は続けざまに僕の痛い所を突くよう悪戯な笑みを浮かべる。


「お前は義務教育を受けていなかったよな?」

 ギク。


「つまりお前は王都で評判の魔石工房の主でありながら、国の資格を保持してないわけだ」

 ギク。


「何か問題が起きる前に学校に通った方がいいんじゃないか? 私が徹底して指導してやるぞ」

「学校、学校、学校」


 ジョージは彼女の言葉の意味を汲み、学校に行きたがっている様子だ。


「君はいつから教員として働き始めるんだ」

「新学期からだ、今からおよそ二か月後」


 きっと、オリビアは持前の美貌から生徒達に持て囃されるだろう。

 女教師と生徒の禁断の恋も、悪くない。


「イクトの仕事の方は順調か?」

「順調なのかそうでないのかちょっと微妙だけど」


 僕の仕事は現在完全受注制を取っている。

 時間が空いてれば小さな依頼もこなすけど。

 リュトと一緒になって今は魔術師専用の武器防具を作ることに専念している。


 異世界御用達の魔石工房の主の肩書に相応しい働きぶりだと自負してるよ。


「お腹ー」

「分かった、今ご飯やるから食卓へ行こうジョージ」

「マリー」

「ふむ、私も小腹が減って来たことだし、料理でもするか」


 ジョージは僕達を先導するように食卓へと向かう。

 本当に可愛いじゃないの、ウホ、いいスライム。


「今はどんな依頼を受けてるんだ?」

「今回のクライアントは中々に厄介かも知れない」

「その話は食事の時にでも聞かせてくれ」


 工房から食卓へ赴くと、クロエさんとマリーが剣幕を漂わせていた。


「どうした二人とも、何か遭ったのか?」


 オリビアがそんな二人に声を掛ける。


「見りゃ分かるだろ、今勝負してるんだよ」

「……」


 勝負か。

 彼女達がやってるのは恐らく魔術師ならではのイメトレだ。

 彼女達は自分の精神世界を創ることが出来るから。

 そこで何かしらの勝負をして、切磋琢磨し合っているのだろう。


「脆弱だね、マリー」

「他人のこと言えたものじゃないだろ」


 僕にはよく分からない領域である。


「お腹ー」

「待ってくれジョージ、待てだ」

「ピゴー」

「悲しむなよ、食事はみんなと一緒に摂った方が極力いいんだから」


 オリビアは食糧庫を見ると、思わず舌打ちをしていた。


「何だ、何も残ってないじゃないか」

「もしかしたらサイラスかもね」


 クロエさんは「彼、また旅に出たから」と食糧庫を空にした犯人を示唆していた。

 サイラスが旅に出るのは例の決闘が発端だったようだ。

 彼は世界中を旅して、地球への渡り方を探すようになった。


 剣に人生を捧げた男ならではの生き方だと思える。


「じゃあ買い物に行きましょうかね」

「逃げた」

 マリーはイメトレを放棄し、僕の腕に手を回した。


 彼女の労わりに心から喜び、破顔したものだ。


「お、いい笑顔」


笑ってもっとふんふぇーい♪

無邪気な On my write♪


上記に意味はありません。

10連休が嬉しいというわけでも、ありません。

いや嬉しいですけどね? 喜びの表現とはちゃうかなって。

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