ロンサムジョージ
ある日。
森の中。
スライムさんに出逢った。
「ピゴー?」
「……スライム、初めて見た」
異世界アルビーダの特徴は、主に一つ。
この世界は地球のファンタジー要素が詰め込まれて構成されている。
「ピゴ?」
スライムが仲間になりたそうにこちらを見詰めている。
仲間にしますか?
「お、おいで」
「ピゴー」
スライムの体格は五十センチの半球状が基本的な外観で、軟体生物のように外郭は変化する。彼だか彼女なのか判らないが、ジョージ(今テキトーに命名)の身体は半透明の藍色をしていた。近寄って来たので抱きかかえると、ひんやりとして気持ちE~。
「これはマリーが喜ぶな、たぶんだけど」
「マリー?」
「ああ、そうだよ、マリー。君は言葉も喋れるんだな」
「マリー……」
ジョージは簡単な言葉であればすぐさま覚える。
その昔リュトに言葉を教えている時と同じ感覚だった。
◇
帰宅すると、真っ先に駆けつけたのがサイラスとクロエさんの二人だった。
「そいつはどうした?」
「マリー」
響きが気に入ったのか、ジョージは頻りにマリーの名前を連呼している。
「はいはいはい、呼んだかね? って、何だそれ」
「マリーマリー」
すると耳聡いマリーはリビングから玄関へと赴き、好奇の眼差しでジョージを見詰める。
そしてジョージは僕の腕の中から抜け出し、マリーの足元に近寄った。
「気を付けろよマリー」
サイラスはジョージを警戒しているようだ。
「サイラス、こいつってスライムだよな?」
「そうだな。今はもう絶滅されたとされてる」
「絶滅だって?」
「スライムは魔術師の死骸を食い漁る生物として、昔から忌諱されてた」
クロエさんは訥々とスライムの歴史を語り始めた。
その昔、スライムは人間の家畜のようなものだったらしく、彼らは人懐っこくて大人しい性格をしていた。
「そのスライムたちが、ある日転生者の死骸に貪りついてて、人は恐怖したらしいよ。だから」
「だから人類はスライムの駆除を徹底するようになった。こいつらは魔石も好物だからな、気を付けろ」
「マリー」
「寄るんじゃねぇ、お前そんな危険生物だったのか」
「ピゴー」
ジョージは時折電子音のようなものを発するが、鳴き声なのか?
まぁ、僕としては「可愛いじゃないの」って感じだけど。
「スライムってどうやって繁殖するのか教えてくれないかサイラス」
「生憎知らないよ、スライムはおよそ百年前には目撃されなくなったからな」
「人類がスライムに勝利した瞬間」
「ピゴー」
ジョージはマリーに邪見にされると、クロエさんの下へ向かい。
クロエさんは日本でもなかなかお目に掛かれない綺麗なフォームで――ッ!
「死ね!」
ジョージを蹴飛ばしやがった。
なんばしよっとねん! 余りにも唐突な彼女の虐待につい動揺する。
それから我が家に新たな仲間、ジョージが加わり。
僕達はジョージと寝食を共にするようになる。
「お腹ー」
ジョージには空腹時のサインとしてこう言う様に躾けた。
そしたら僕は持前のチートスキル『魔石生成』を使って彼にご飯を与える。
「ウマウマ」
「そうか、美味いか。お前ぐらいなものだよ、魔石を美味しそうに食う奴は」
「ジョージは賢いですね師匠」
何故スライムが人類の家畜として飼われていたのか、その理由をリュトと一緒に実感している。あれ……もしかして、俺こいつのこと、可愛い、って思(略。
まるでマリー以外の恋人が出来たようで、僕は責任を持ってジョージを飼うと決めたんだ。
ロンサムジョージで検索してもらえるとよいのですが。
私は彼の存在を知って、ちょっとほろりとしましたね。
その彼をリスペクトして生まれたのがスライムのジョージです。




