サイラスとの約束を
どうして君がそこに居るんだ。
「結界張ってると観客に様子が見えないから、解くぞ」
どうして君がロキ王子達に加担してるんだ。
マリーは指を鳴らし、僕が張った結界を容易く解除する。
「……どうして、お前がそこに居るのだ」
結界が解かれ、見渡せるようになった異質な光景にオリビアはそう問う。
「本当にどうしてなんでしょうね」
「貴様、まさかロキ王子が用意した偽者じゃないだろうな?」
……確かにその可能性もある。
けど何故か、僕は目の前にいる彼女はマリー・ルヴォギンス本人だという確信を持っている。
「私は君達もよく知ってるマリー本人で合ってるよ、例えば」
彼女が再び指を鳴らすと、天空から雪の結晶が舞い落ちて来た。
今の季節は初夏、僕の小麦畑が黄金色に実る麦秋だ。
「さっすが! さすが賢者の孫娘だぜ!」
「ご静粛に願いましょうか、これしきのことで騒ぐなよ」
嗚呼、彼女は紛れもなく、マリーだ。
彼女は紛れもなく、僕が好きだったマリーだ。
「私を誰だと思ってるんだね?」
「ふざけるな! 私達は貴様を救い出すためにどれほどの犠牲を払ったと思っている!」
「……あいつ少し煩いな」
オリビアの怒声にマリーは鼻白んでいた。
「オリビアは正論を言ってるに過ぎないよ、マリー」
「浮気かよ、最低だな」
「何とでも言えばいいさ、ロキ王子、大将戦を早く始めて欲しい」
「イエッサー、ではではでは! 今年最高のエキサイティングも、この試合で終わりだぜお前ら!」
そこで僕はマリーと対峙し合い、合わさった視線を逸らさなかった。
――彼女の美貌を、僕は生涯忘れやしない。
緋色に染まった髪の毛は太陽よりも紅く輝き、アケビ色した双眸が覗かせる、不敵な笑みを湛えたベルベット色のアイシャドウに塗れた彼女を視界に入れただけで思わず口元が緩みそうになった。
「でぇえええええは! お前らの期待に応える最高に熱い試合を俺と一緒に観戦しようぜ! 俺達『緋鷹』とイクト一味の運命を決める最終戦! いざ尋常に! ハジメェッ!!」
「行け」
「――ッ!?」
マリーは僕の先制攻撃を危なげに躱すと、斜め後ろに躍り出た。
「……さっきのオリビアじゃないんだけどさ、お前本当にイクトか? おっと」
マリーが僕の正体を訝しがる隙を突き、躊躇なく攻撃する。
「構えろ、試合はもう始まってるんだぞ」
「……了解、でもさイクト、今のお前は怖いぞ」
「別にいいだろ、僕達今まで夫婦喧嘩らしい夫婦喧嘩したことなかったわけだし」
そう言うと、マリーは失笑し、やはり嫣然としていた。
「ハハハハっ、あーあ、笑えない。お前は正真正銘イクト・マクスウェル・Jrだな」
「構えろ、僕は君に必ず勝つ!」
君に勝って、僕はサイラスとの約束を果たすんだ。
なろう読者の皆さんへ。
私の現状の気持ちとしては……
兄「これが!」
弟「俺達の!」
姉妹「「スカイラブ!!」」
Σ兄弟「「ファ!?」」
のように、やる気と驚きに満ちています。
これも偏に読者の皆様の援護のおかげです、ありがとう御座いますハリケーン!




