表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/97

失望はいつも突然に


「さぁあああああああてと! いよいよ待ちに待ったこの時がやって来た! 王位継承者である俺の私兵団『緋鷹』と! 最近巷で評判の魔石工房の主、イクト・マクスウェル・Jrとの決着の時が来た!」


 ロキ王子の喧伝と共に、僕は決闘の舞台へと降り立った。


「貴方は私兵団の『緋鷹』をやけに誇張するけど、まさか闘わないつもりじゃないでしょう」

「俺は闘わないぜ」

「……試合前、僕が貴方達に要求した内容は撤回する」


 酷い怒りと憎しみから手や声が震える。

 酷い悲しみと失望から心が死んでいる。


 それでも僕は冷静を保つよう努め、王子達にあることを言った。


「そして改めて宣言する、この決闘が終わった後、貴方は裁かれて頂く」

「ホワッツ?」


 彼がとぼける様は、堪えられなかった。


「イクトくん、安心して欲しい」


 彼に一撃、死なない程度に雷撃を撃とうとしたらガトーが仲裁した。

 安心して欲しい? この人の言うこと成すことはもはや害悪だ。


「結論から言えば、俺達は秘宝アスタリスクを保持している」

「何だと!?」


 ガトーの証言に真っ先に喰いついたのがオリビアだった。

 沸点の低いオリビアの性格を考え、僕は舞台を中心に結界を敷いた。

 これで僕と彼らの会話を邪魔する者はいなくなる。


「つまり、リュトを救ってくれるのか」

「そうだ」

「確証はないけど、ぼそ」


 ロキ王子はガトーの後ろで補足するよう発言し始めた。


「イクト・マクスウェル・Jr、俺達はこの世界で数少ない同朋じゃないか」

「……どの口が言う、マリーを攫い、リュトをかどわかし殺して!」

「落ち着け。確かにこの阿呆が書いたシナリオは最悪だったが、ちゃんとした理由があるんだ」

「言っておくが、僕は元々どうしようもなく気が弱い人間だった」


 僕は前世から気の弱さが目立つ人間だった。

 誰かに歯向かう気概なんて持ったことないし。

 夢を抱いても、結局は誰かに遠慮するように諦めて。

 思い切った決断とか無縁で、リスクを避けるよう生きて来た。

 今考えると、それは僕の臆病な心が表れていたのだろう。


「その僕が、貴方達を殺さんばかりの憎しみを覚えたんだ……この憎悪はもう拭えそうにない」

「……分かった。どちらにせよ、大将戦を始めよう」


 ロキ王子の応答に、僕は静かに頷く。


「大将戦の相手は一体誰なんだ」

「……古い文献によれば、今からおよそ八百年前にはこの世で転生者が見つかっていたらしい。彼らは皆一様に不思議な力を持っていた。その力に目を付けたこの世界の人間は彼らと子孫を成し、そして力を持ち始める。これが後に魔術と呼ばれるようになった」


 対戦相手を問うと、ガトー達は魔術の根源を説き始めた。


「王室の金庫には、当時のことを記した日記があってな。そして判った」

「どうやら転生者は相当酷い扱いを受けていたらしい」

「皆魔術の力を求めて、一様に転生者を狩る時代。魔女狩りだな」


 それが彼らの弁解なのだろうか。


「魔石、ってあるよな? アレの正体知ってるか」

「知ってるさ、魔石工房を開く際に師匠から聞かされた」


 魔石は、人の遺骸から出来ている。

 ガトー達が言う八百年前、転生者が天性的に持っていた魔術。

 その魔術は彼達が言うように、転生者から遺伝して引き継がれたものもあれば。

 魔術師の骸が結晶化された魔石によって得るものもあった。


 骸の結晶化は今は禁忌とされている。

 それはこの世を救ったとされる賢者ブライアンの保身だった。

 と言うのがジーナさんの解釈だ。


「だから、僕の力はグレーゾーンだって。師匠は誰にも知られるなって言ったよ」

「まぁいいけど、俺達が問題視してるのはその賢者だな」

「……賢者は、異世界アルビーダと地球を行き来できる魔術を持っているから?」

「はい正解!」


 ロキ王子が僕に接触した際に、予め聞いていた情報から推測した。

 どうやら推測は的を射ていたようだけど。


「リュトの命を奪った理由にならない」

「リュトの命ねぇ……俺達の狙いは賢者、そして賢者の孫娘、だぜ?」

「マリー殿を連れて行った後、俺達は彼女と交渉した」


 もしも、ここで彼らがマリーに何か仕出かしていれば、手を出す所だった。


「あの女、強情だから、強情かつ使えねーから、今回の決闘話を持ち掛けたんだよ。そしてOK貰った。言ってたよ、盛大に派手にやってくれって。そしてもしも大将戦まで回って来たら、私が闘う」


 もしも、彼らの言うことが嘘であれば、僕はどれほど救われただろう。


「君の対戦相手を紹介しよう。その昔、秘宝アスタリスクにより死者蘇生の力を獲得した賢者の孫娘。その名もマリー・ルヴォギンス」


 ガトーの口上により、マリーは結界を素通りして現れた。

 そして彼女はいつも見せてくれていた嫣然とした笑みを湛えながら。


「さすがに驚いた。強くなったなイクト」


 敵となって姿を現し、僕を失望させるのだ。


今夜も二話投稿することにしますた。

もっとPV稼ぎてぇぇぇぇ~! ですからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ