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ロリコンヒーロー サンダー・ドラゴン④


 誠心学園最寄りの、何処にでもある小さな児童公園。そこの真ん中に、幼女が一人座り込んでいた。おそらく、彼女が助けを求めたロリなのだろう。


「正義のヒーロー、サンダー・ドラゴン見参ッ! そこの君、大丈夫かね!」

「うわぁ……はい、大丈夫です」


 その子は、何故だかジト目で呆れたような顔をしていた。おかしいな、助けに来たのに、馬鹿にされてる気がするぞ。


「いくらなんでも、これは予想外。いくら来てほしかったとはいえ、まさか本当にこんなので来るなんて……」


 何やら、ブツブツと呟いているけど、予想外とか、来て欲しかったって事は、もしかして私のファンだったりする⁉ それに辺りを見渡してみても、悪人もいないし、まさかまさかの展開だよ!


 それに、見た所彼女、めちゃくちゃいいよ、可愛いよ、最っ高だよ!


 顔は、綺麗に、ビックリするぐらいに整っている。橙子ちゃんが人形みたいだとか思ってたけど、この娘の場合、まるで熟練の人形技師が端正こめて作り上げたかのよう。クールな雰囲気も、そのジト目ですら、ロシア人形の様な容貌にマッチして、ゾクゾクしてくる。


 そして、何より目を引くのは彼女の髪の毛だ。髪の色は、蒼色というコスプレ以外にあり得ない色なのに、まるで地毛の様に綺麗に、生まれた時からその色だったかのように、しっくりと馴染んでいる。ツインテールという髪型もステキでロリ心をくすぐる。

 しかも、なんとステキなメイド服だ。り、リアルでロリメイドなんて、は、初めて見たよ。


 え、ってか何これ。こんなss級のロリ美少女が、呼んでくれたの、この私を。


「まさか、君は、私が目当てだったり、する? もしかして、私の、ファン、だとか?」

「まぁ、そういう事になる。その方が話が早い」

「いやっほっう! ヒーローやってて、よかったぁぁぁぁぁぁ!」


 余りの嬉しさに、全身全霊で彼女にダイブ。そのまま押し倒して、もふもふクンカクンカ。


「いきなり抱き付かないで。暑苦しい」

「いやぁ、まさかこーんな可愛い子に好かれる何て、私も捨てたもんじゃないねぇ。可愛い、マジ可愛いよ。あ、そう言えば、名前聞いてなかったわね。お名前、何ていうの?」

「……よくもまぁ、この状況でそんな事が聞ける。まぁいい。私の名前はL2。よろしく」


 え、えるつー? あだ名か何かかなぁ。まぁいいや。今はそれどころじゃない。


「で、何なの私の用って! こーんな可愛いロリの為なら、何処へでも行くし、何だってするよ! お姉さんに、まっかせなさい!」

「分かったから、離れて。こうもくっついてると、話が出来ない」

「まぁまぁそう言わず。もう少しファンと触れ合えさせてよ。最近、ファン一号がそっけなくって、寂しいんだからさぁ~」


 そうそう、前はあんなに可愛くて、すっごい、カッコイイとか言ってくれたのに、中学に上がった途端、急に冷ややかになっちゃたんだよね。


「その子から、は、な、れ、ろ。このロリペド変質者がぁぁぁぁぁ!」

「オウフッ!」


 後ろから、脳天めがけて鞄の一撃。L2ちゃんを愛でる事に全神経を注いでいたため、受け身を取る事すら出来なかった。め、目元がフラフラする。


「あ、危なかった。も、もう少しで、バ、バカ姉が犯罪者になる所だった」


 後ろを振り向くと、穂村ちゃんが鞄片手に怒りの形相を浮かべて立っていた。ここまで全力疾走してきたためか、息切れしている。

 それに、この状況。私がファン二号に抱き付いていたのを、怒りの一撃。も、もしかして。


「ま、さ、か、やきもち焼いてるの、ファン一号として」

「ポジティブにも程があるわ! んな訳ないでしょ!」

「んもうっ~照れちゃってぇ。こんのツンデレさゴフォッ!」


 今度は筆箱が、顔面に飛んできた。全く、いつもながら、激しい愛情表現だぜぇ。その後も、ノートやら教科書やらを投げつけてくる。


「死ね! 今ここで死ね!」

「ふっふっふ。不意打ちでも無ければ、そんなもの当たりはせぬよ!」


 穂村ちゃんと愛の求愛活動をしていると、L2ちゃんがトコトコ歩いてきた。そして、確かめるかのように、私に聞いてくる。


「それより、先ほど何処にでも行くと言ったけど、その言葉に嘘偽りは無い?」

「ええ! 貴方のような可愛い幼女の為なら、何処へでも!」

「……分かった。だったら、今から用意する」


 用意? 車でも呼ぶのかな。とにかく、ここではない何処かで、私に用があるみたい。


「誰かは知らないけど、このバカ姉はあてにしない方がいいと思いますよ。変態で、ロリコンで、とんでもなくバカなんですから」


 ひ、酷い! 本人が目の前にいるというのに、このいい草。穂村ちゃん、私に対して最近辛辣過ぎないかなぁ⁉ そんなに私が嫌いかね⁉


「問題無い。むしろ、あそこなら、貴方の言うロリペド変質者にとって、都合のいいと思う」


 あるぇぇぇ、私、どんだけ酷い扱いなの⁉ ファン一号だけでなく、二号にもロリペド扱いですかぁ⁉


「さっきから言わせておけば、皆酷いよ! 私はロリコンであって、紳士なんだよ!幼女に対し非道な真似は絶対にしない。ロリはあっても、ペド扱いされる言われは無いよ!」

「私に対して酷い事してるのよ! 少しはまともに扱われたいのなら、まずはその服捨てる事から始める事ね!」


 あんまりにも酷い扱いだったから、抗議してみたけど、逆に火に油を注いでしまったみたい。まぁ確かに、穂村ちゃんからは再三ヒーロー活動辞めるように言われてたし、それを無視してきた私にも非があるのかも知れないなぁ。


 サンダー・ドラゴン……どうしようかなぁ。流石に、穂村ちゃんの忍耐も、もう限界みたいだし、辞めるまではいかなくても、少々自粛する必要があるかも……。


「航路の安全は確認した。今すぐ、そっちに送って欲しい」


 穂村ちゃんとの今後の関係を踏まえ、サンダー・ドラゴンとしての活動方針に思案を巡らせていると、L2ちゃんが、携帯電話らしき機械で誰かと話していた。送って欲しいって事は、迎えでも来るのだろうか?


 そう思ってたら、なんとまぁ、L2ちゃんいきなり、それも正面から私に抱き付いてきましたよ⁉ 髪の毛とか、ほっぺとか、や、柔らかぁぁい。


「これで、良しと。サンダー・ドラゴン……いや、星井怜奈。今から、付き合って貰う。あとその顔はやめて。いくら貴方が女性とはいえ、流石に気味が悪い」

「無理無理。こ~んな可愛い幼女に抱っこされて、自然に顔が緩んじゃうよ~。はふ~、し、幸せだぁ~」

「ちっ! ……仕方が無い。接触面積が少ないと、ワープの際にはぐれかねない。そうなったら、あまりにも面倒な事になる」


 え、ワープ? 何の事だろ。まさか、瞬間移動でもするとでも?


「お、お姉ちゃん。あ、アレ……」

「お姉ちゃん⁉ さっきお姉ちゃんって言った⁉ やったぁ! 四か月と二十日と五時間三十五分ぶりの、お姉ちゃん! うへへへ、最近バカ姉とか呼び捨てばっか――」

「怜奈! いいから、空! 上見てみてよ!」


 え、上。そこに、何が……。


「う、うへぇぇ ⁉ゆ、UFO⁉」


 そう、私とL2ちゃんの真上、上空に、直径10メートルぐらいの白い円盤、UFOみたいなモノが、ゆうゆうと漂っていた。


「ま、まさかL2ちゃん宇宙人⁉ そんでもって、私を遠い銀河系にご招待とか⁉」

「違う。……いや、貴方にとっては、今から行くところは、遠い銀河系とあまり大差無いかも知れない」

「へ……だったら何処に――」


 L2ちゃんに、今から向かう場所を聞き出そうとした瞬間。上空の白いUFO? みたいな円盤から、私たちに白い光が降り注いだ。そのまま、円盤に向かって吸い込まれるように、体が上昇していく。


「私が見込んだ戦士として、貴方をご招待する。坊ちゃんを、頼みましたよ」





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