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酔い

橘が真田と約束したバーについたのは、それから1時間後のことだった。若干後ろをきにしながら、新橋烏森口側にある「SOLTE」に入った。地下1Fにあるこのバーはカウンター8人 4人テーブル1個の小さいバーだ。


「おう!橘さん、やっときたかい!」


橘が階段をおりていくと、真田が揶揄う口調で声をかけてきた。

真田はこの1時間の間で、相当飲んでいたのか酒に強くない彼は少し酔っ払っていた。なんかいいことでもあったのかな…と橘は思ったが、今はなにより真田のスマホを確認することが大切だった。おそらく真田のスマホは乗っ取られているはずだ。


「真田さん、遅れてすいません…ちょっとスマホ借ります…あ、ロックナンバー教えてください」


橘は、そういうとバーの机の上に置いてあった真田のスマホを急いで手に取り、画面を開いた。真田からロックナンバーを教えてもらい解除する。

さっそくメール送信履歴を見てみると、やはり意味不明なアドレスに送信した履歴があったのだ。

これはよく、メールアカウントを盗まれて使用された時にでる症状だ。つまり真田のスマホはメールを乗っ取られ、真田になりすました何者かが橘に高田馬場にくるよう指示したことになる。


「おいおい、あんまし俺のプライベートをみるなよ」


真田が若干、酔っ払い言葉で話しかけてきたので、橘は「こりゃ、あかんな…」とつぶやき真田には悪いが勝手にメールアカウンントを変更した。

これで乗っ取りはできないはずだ。


スマホを返せ返せと真田はうるさかった。きっと例のマキとかいうキャバ嬢とさぞや恥ずかしいメールをしてるんだろうと、橘は細く笑んだがとりあえずその部分は見ずにスマホを真田に返した。


「で?で?橘ちゃんは、なんでこーーーーんなに遅刻したのー?」


すっかりできあがっている彼をみて、橘は真田からウィスキーを取り上げるとマスターにチェイサーを注文した。真田はたいそう不満そうな顔をしていたが、珍しく橘が真剣な顔をしているので、しぶしぶ従った。しかしこんなに酔っ払った真田を見るのは初めてだと橘は思った。


「マスター、今日は真田さんなんでこんなに酔ってるんすか?」


橘が知り合いのマスターに尋ねた。マスターは、氷をザクザク削りながら


「ああ、なんか若い女の子と最初、来てたんだよ。その娘に結構進められてたからね…」


と答えた。


(…さっきまで、あのマキって娘がいたのか…)橘は直感的に、その若い娘というのがマキであることを悟った。今日会っていたのか…平日に真田が遊んでいるとは思えないので恐らく真田も調べていたことだろうと推測できた。


ふと、真田をみるとチェイサーの水を飲み干していて、机にもたれかかって寝ているよだった。


普通ならもう話は後日にするのだが、今日の出来事を思うと橘は、どうしても真田とはなしておきたかった。


「起きるのを待とう…」


雰囲気のあるバーで橘は、半分呆れながら彼の目覚めを待つことにした。







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