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ZARD

真田とサナと小田の3人は、しばらく「きざみ」で飲んでいたが、サナが完全に酔っ払いと化していたので一度、高田馬場に戻ることにした。理由は単純でサナのマンションに、潰れたサナをすぐ搬送できるというだけだった。小田と真田は大層不安がっていたがサナはまだまだ飲めると帰ることを拒否し、結局3人は高田馬場駅近くに有る「コットンクラブ」という飲み屋に入った。そこは2階建てのオープンテラスになっていて、この時間に開いているお店としてはかなりオシャレな店だった。夜中なので生演奏は勿論ないが小気味良いジャズ音楽で客を迎えてくれる。



店はお客さんも疎らで、3人は大きな丸テーブルに案内された。



「ウィスキーの水割り!!」



サナはまだ飲む気満々だった。真田は、お茶にすればと小言を言ったがサナは聞き入れない。いつも思うがサナは自分がこうと決めたことは人の意見は聞かない。意外と頑固なんだなぁと真田はこの時に思った。確かに思い返せば、日記の冒険を初める時もTOTOに会うときも真田の言うことは聞かなかった。


「結構、頑固なんですね…」真田は小田にこっそり聞く。「知らなかった?」小田はサラッとこたえる。さすが高校からの付き合いだ。真田は、そのあっけらかんぶりにかえって笑ってしまった。サナはそんなことを全く意に返さず相変わらず飲みまくっている。小田はその扱いになれているのか、「はい、はい」とあやすように接している。でも、こんなに仲良く見える2人はつい先日まで大喧嘩していてしばらく会っていないと言っていた。どんな理由なんだろうと真田は疑問に思ったが、蒸し返すような気がしてその質問はやめた。


真田はなんとなく話の輪には入らず、2人の話を聞いていた。たまに、小田が話をふってくるので特に疎外感は感じない。むしろリアルに20も下の女の子2人の自然な会話を楽しんでいたということと、普段みせないサナの顔をみた気がしてそれはそれで楽しんでいた。


「うける!」「ありえなくない」「うざい」


あまり聞いたことのない言葉をサナが連発するのをみて、真田は素のサナをまざまざと感じている。別に若モノたちが使うのは全然違和感がないが、サナが使うと違和感を覚える。結局サナも自分と話してる時には無意識にせよ気を使ってるんだと真田は感じた。

サナとのメールでも絵文字などは、真田と同年代の女性とはあきらかに違う。そういうひとつひとつが新鮮だが、そこに大きな線引きがあるのも事実だ。

真田は、小田があの居酒屋で同席した時に最初は、少し嬉しかったという気もあった。それは、友達に自分を紹介してくれたことだが、今となってはその嬉しい気分も年の差という括りでいうと距離が離れた気もしていた。


真田の心はまたしても揺れていたのだ。





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