山ちゃんのお願い
結局、山本のお供をすることになったのは磯谷だった。
もちろん、意味のわからない山本に付き合うのことに磯谷は当然嫌なことこの上なかったが、警察組織は上官の命令は絶対である。しぶしぶ磯谷は山本に従った。
「最初に私にあったということで、あきらめてくれ」
山本はそういうと磯谷に笑いかけたが当然、納得できることはなにひとつなかった。
「で、とりあえず僕はどうすればいいですか?」
「まぁまぁ、そう急がないで…ちょっとコーヒーでも飲もうよ」
山本はそう言うと、交番近くのマクドナルドへ入っていった。磯谷もそれに続く。山本はホットコーヒーを二つ買うとなにも言わずに3階まであがっていった。この人はいったいなんなんだと、磯谷の不信感はかなり高騰している。
「おお、さすがに混んでいるね…」
3階につくと山本は周りを見渡しながら空いてる席を探し、一番奥のボックス席に座った。磯谷もそれに合わせて向かい側に座る。
と、いきなりお経でも読むように山本が話し始めた。
「磯谷 慎也巡査長。静岡県静岡市生まれの30歳。兄弟は3人で長男。ドラマに影響され警視庁に配属希望。父母は健在で現在、東京で一人暮らし。彼女は3人いて、皆に結婚を迫られている。特に同い年の紗綾という女性はかなり君に対して怒ってるね。好きな食べ物は、オムライス、寿司、ハンバーグ、焼肉。借金はないが、2つのカードでリボ払い…」
「ちょ、ちょっと待った!いったい…」
磯谷はあわてて、山本の話をとめる。全部当たってはいるが。
「なんだ…まだ言いたい事はいっぱいあるのに…」
「なんなんだ!いったい!あなたは俺のことを調べていたのか?つーかいったい、なんのために?」
「私は、公安ですよ、磯谷くん、こんなのは朝飯前です」
磯谷はそれをきいて絶句した。こーうーあーん…頭の中でぐるぐると文字が躍った。しかし、彼女に内緒で浮気はしてるが自分は結婚もしてないし、リボ払は別にいいし、そもそも法にふれるようなことはしていない。だいたい仕事も手柄はないが失敗もない…はず。公安に目をつけられるようなことはしていなかったはずだ。
「でも安心してね。私はあなたをどうこうしようとは思っていない。ただちょっと協力してほしいだけだ。内密にね!」
山本は、磯谷の不安を察してかコーヒーをすすりながらいう。
「協力って…どんな?」
「とりあえず、私の指定した時間にこのビルの4階にいってほしい。もちろんそのままでは行けないから、行き方はあとで教える」
「4階!?」
磯谷はおもわず声を出さずにはいられなかった。




