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興味津々



2人が入った居酒屋は新橋のSL広場の裏手にある「腹黒屋」という店だった。名前のインパクトも凄いが、味も美味しい。真田とゆうちは、カウンターの隅の席に案内された。店内はかなり混んでいるが、狭い席でもゆうちは文句ひとつ言わずむしろ「雰囲気がいいね」と喜んでいる。となりにいたおじさんサラリーマンにも気軽に話しているとこも変わってないなぁと真田は思った。

ゆうちは、なんにしてもマイペースで一瞬のんびり屋さんに見えるが、実は意外と気が短い。また、やさしい声と穏やかな口調に似合わず、サラッと毒舌を言ったりもする。そんなギャップも彼女の魅力を大きくしていると真田は思っている。


「乾杯しよ〜」


ゆうちはビールが運ばれてくると、そう言って真田とグラスを当てる。カンといい音がして2人はグラスに口をつける。ゆうちは、ビールを三分の一ほど飲むとグラスを置いた。


「懐かしいね。数年ぶりだなぁ、元気だった?」


「うん。相変わらず元気ですよ〜。いろいろあったけど」


ゆうちはそう言って笑った。話をきくと彼女は去年の暮れまで彼氏と同棲していたと言った。そのことについては特に真田は驚かなかったが…とすると今は彼氏はいないのだろうか…


「もう大変だったなぁ…化粧をいつもちゃんとしろだの、服はいつもきちんとしろだの…。一緒に住んでるんだから家くらい気を抜かせてよって思ったかな。」


「はは、厳しい彼氏さんだったんだね。」


「そう。大雑把な私には合わなかったみたい」ゆうちはそう言うと軽く微笑む。


「やっぱり私には結構な年上がいいみたい。甘えさせてくれるし、優しいし…」


「甘えさせてくれるか…」


「そう、私ももう30手前だから誰もチヤホヤしてくれなくなるんだよね」


「ははは、チヤホヤしてほしいのかよ?」


「あたりまえです!」



ゆうちは真面目な顔で答える。真田は、美人すぎると近づき難いんだよと言ったがゆうちは納得しなかった。

やがて、もつ鍋が運ばれてきた。なかなか名物料理らしく、箸をつけるとこれがまた美味しかった。ゆうちは、モツがとても好きなので大層喜んで食べている。やがてビールにも飽きたのか彼女は焼酎の水割りを頼んだ。ゆうちは、喋ることが大好きな女の子で食事中はずっと話している。真田もかなりの話好きなので2人の席はいつも盛り上がっていた。この日も例外なく…


「真田さんは、彼女さんいないの?」ゆうちが突然聞いた。真田は一瞬ピクッとなったが小さい声で「すいません、いない…あ、でも仲のいい娘はいるよ」と答えた。するとゆうちは急に体を乗り出してきて、「誰?誰?どんな娘?」と興味津々で聞いてきた。


真田は説明に困った。まさか、キャバクラで知り合ったとか、20歳近く年下の娘とか、ましてや現役キャバ嬢とか言いにくいことこの上ない。普通に聞けば、「キャバ嬢に騙されているかわいそうな人」となってしまうだろう。だからなのか、真田がサナの話をしているのは、橘と山本だけだった。


「あ、あの…とある店で知り合ったんだけど、今相手は21歳なんだよ。」


「えっ!?それはすごいね」


ゆうちも思わず声をあげたがより興味津々になったことは間違えなかった。









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