こっちが本物!?
橘は、その話は青天の霹靂だった。
マキは、ユキと知り合いだったというのだ。だがマキ…本名はサナだが彼女はそんなことは一言も言っていない。もしかしたら、違うマキかもしれないが。
橘は、今度サナの写真をみせて確認しようと思った。そして当然その逆はどうなんだろうか。
「雪は、ユキの写真とかはもっとらんのか?」
「今日は持ってないけど…確か古い携帯には、写メがあったと思う」
橘はこころでガッツポーズする。ついにという感じだった。いろんな意味で、ユキの写真には興味があった。ナンバー1キャバ嬢の顔としてもそうだが、なにより写真があれば、人探しは格段楽になる。以前、橘はリカ(ハル)にも写真を持っているか聞いたが彼女は、写真をメールで送るといいながら結局、今日まで届いてはいない。
「あと、一つええか?ユキの本名は知ってるん?」
「ごめんなさい。彼女とはそういう話はしたことないかな。特に彼女はプライベートは隠す人だったから。だから唯一さらけ出した、さなやんには興味シンシンでよく覚えてるんだけどね」
「じゃ、あとは…そうや。ユキが店にいるときに在籍した他のキャバ嬢やスタッフさんで連絡つく人はいるん?」
その話をすると雪の表情が曇った。彼女は「今は…いないかな…」と呟いた。そして橘の方を見ながら話を続ける。
「その様子だと、彼女が行方不明になったのはしってるよね?その時は、女の子みんな大騒ぎだった。突然、スタッフリーダーが来て、ユキは店を辞めたといった。でもだれも信じなかったけどね。その時にみんなが話していたのが…とある噂ばなしだったの」
「それは…どっかのBARにいくと、大金がもらえるいうやつか?」
「おっと。よくご存知ですね。ユキはきっとそこに行ったんじゃないかって。」
雪は真面目な表情で答える。橘はとりあえず前から気になっていたことを聞く。
「その噂ばなしって、誰から聞いたか覚えてるん?」
「それは…私が思うには、それを広めたのはユキだって思ってるの…」
その言葉に真田は驚いた。ユキが自ら広めた…橘が戸惑っていると、雪はさらにすごい話をはじめた。
「これは…まだ誰にも話してないことだけど…私ね。ユキが行方不明になったあと…ユキとあってるの。彼女は、すごく焦って電話をしてきた。預かってほしいものがあるって…」
「その預かり物って?」
「彼女の日記なの。それでね…さなやんさんの本名かな?もし真田さんっていう人が私を探しにきたらこれを、渡してって…。だから、私、源氏名を雪にしてるの…」
雪はそういうと、手元に日記を出した。