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黄金鈴:最終話 意識が浮上したら目の前にサンタ

 恋人となった俺と鈴。

 一緒に生活したいと言い続けた鈴に俺は『こういうのはきっちりしたほうがいい』と言って再び実家で生活してもらうことにした。

 椎さんと秀吉さんは俺達の中を祝福してくれたし、住良木先生達も喜んでくれていた。

「お嬢様の憂いもこれで無くなった事でしょう」

「そうですかね」

「そうでもないですよ。冬治様」

 クリスマス、屋上で住良木先生と話をしていると海さんがやってきた。

「海? 何をしに此処へ?」

 住良木先生の言葉に首をすくめ、俺にチケットを渡してきた。

「これは一体何ですかね」

「チケットですよ。いいえ、地獄の片道切符ですか」

「鈴の身内からそんな渡され方すると冗談に聞こえないんですけど」

「冗談ですよ、冗談」

「海さんの冗談は毎回、きついんですよ」

「へぇ、お嬢様と毎日キスするのはきつくないんですか?」

 何でそう言う事を言うのだろうか。

「ま、ともかくお嬢様がお待ちですよ。お兄さんといちゃいちゃしてないで今日は早く帰ってあげてください」

「でも、鈴は今日……用事があるって言ってましたよ?」

 そうなのだ。鈴は用事があるといって事前にクリスマスは一緒にいられないと教えてくれている。

「そんなの、方便です。今頃お嬢様は冬治様のお部屋で帰りを待っておられるはずです。今か今か……とね」

「……あの、じゃあ、俺、帰りますね」

 二人に別れを告げ、俺は走り出した。

 家まで結構距離はあったものの、何とか走りぬけて帰って来られた。

 部屋の鍵は開いていて、鈴の靴もあった。

 心のどこかで海さんからの冗談かと思っていた。あとで、謝っておこうと思う。

「鈴っ……」

「……あ、やっと帰ってきてくれたんですね。心の底から待ってましたよ」

 にこやかに鈴の生首が笑っていた。

 リビングには四散した鈴の身体が……一体、何があったのだろうか。

「くっつけてもらって、いいですか?」

「……ああ」

 数分の時間をかけて、俺は鈴を元通りに戻した。

「それで、一体何があったんだ?」

 何故かトナカイのコスプレをした鈴に訊ねると(どうせならサンタの、丈の短いサンタのコスプレをしてくれれば良かったのにな)微妙な表情をし始めた。

「え、えーと、実はクリスマスパーティーをサプライズでやろうと思っていたんです」

「ほぉ」

 その目論見は一応、成功している。

「じゃあ、なんでバラバラになってるんだ?」

「これが出てきてびっくりしてしまったんです。そうしたらテーブルに身体をぶつけてしまって……」

「これ……ぶっ!?」

 指差す先にはサンタコスプレのエッチ本が!

「何だこれは……って、秀吉さんが置いて行った奴だ!」

「本当にお父様ですか?」

「嘘じゃないぞ! 本当だぞ! 俺のじゃない」

 一見すると死亡フラグ立ちまくりな気がする。

 しかし、俺の彼女はこの程度の罠に嵌まるほど安い女の子じゃないのだ。

「そうですよね。冬治さんはエッチな本を隠す人じゃありませんもんね」

「よかった、信用してくれたか……」

 ほっと胸をなでおろした俺に、一枚の写真が突きつけられた。

「でも、これはアウトですよね?」

 そこには何と、俺と海さんが仲良く腕を組んで歩いている姿が写されていたのだ!

 俺はクリスマスに恋人の新しい一面を知る事が出来た。

 華奢な身体だと思っていたけどさ、意外と力は強いのね……もしかしたら、椎さんから何かしらの薬をもらったのかもしれない。

 女性関係には気をつけよう……薄れゆく意識の中俺は何か珍しいものを見た気がした。

 今度意識が浮上したら、鈴に謝ろうと思う。


はい、というわけで黄金鈴最終話です。うーん、つかれた。読み直してちょちょいと修正いれれば投稿出来るでしょ、と意気込んでいたら大幅な修正をしていた気がする。ちょちょいのちょいでリスタート、全部終わらせてやんよーという作者の気合は飛び散りました。ばらばらになっていましたけど、そこまでばらばらにならない話でしたね。途中、一万に近付く文章があった気もするけれど、気にしない気にしない。ヤンデレかと聞かれると……いいえと答えます。ばらばらになってますけど、彼女はただの女の子でしょうからね。サブヒロインとしてこの回には住良木海が出てましたが登場がちょっと遅かった。さ、次は確か黒葛原深弥美編……これまた話が変わりそうです。感想、評価お待ちしております。

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