左野 初:最終話 妙な関係性
左野初と付き合い始めて約一か月。変わったことと言えば距離感とか、呼び名だろうか。
「と、冬治、先輩」
俺の願いもあって苗字から名前に呼び名を変えてもらった。正直に言おう、たかが呼び方が変わっただけなのにすごくうれしい。
「もう一度言ってくれ」
「冬治、先輩」
「なんだかぎこちないぞ、ういにゃん」
「……気持ち悪いからういにゃんはやめて」
「そうか? いいと思うんだけどなぁ」
「ほんとほんと」
そして、俺たち二人のところにはリッキーがいたりする。
俺らが付き合うことになったのを一番祝福してくれて、そして一番笑ってくれた人だ。
「あの時しょっ引かれたのを見て笑った笑った」
「うー、あれは冬治先輩が悪いんだから」
「俺は悪くないよ。悪いのは空気を読めなかった警官だよ」
「確かにそうだけども」
「正義の味方はいつだって嫌われ役を買って出なければならない」
リッキーはそう言って伸びをした。
「確かになぁ」
「あー、冬治さんに左野がデレはじめちゃったから面白くないなぁ」
「……ちょっと待って。なんで、冬治さんって呼んでるの?」
「ん?」
リッキーは首をかしげて俺を見る。
「私、何かおかしなことを言ったかな」
「別に言ってないと思うぞ」
「ちょ、おかしいでしょっ。なんであたしがと、と、冬治先輩で、リッキーが冬治さんなわけ? なんだかそっちのほうが彼女っぽい」
「彼女かぁ。あこがれるなぁ」
どうでもよさげにリッキーがそういうと左野が少しだけ悔しそうな顔をしていたりする。
「じゃ、じゃあ、リッキーも彼氏を作ればいいじゃない」
「なるほど、道理だねぇ。冬治さんはどう思う?」
「まぁ、いいんじゃね」
「よっし、じゃあ、彼女二号に今日からなりました」
そういって俺の腕を引こうとするが、一号がそれを阻止する。
「だめっ、それは絶対にダメ。これは渡さないんだから」
「おい、これっていうなよ」
「いいじゃない。冬治先輩はあたしの男なんだから」
そういって抱き着いてくる。ことあるごとに、最近は俺に引っ付こうとしていて変なスイッチが入ってしまいそうになる。
「あらら、もしかして冬治さんって案外お尻に引かれちゃうかも?」
「うーん、それも悪くないな」
将来的に初と結婚したらどうなるんだろうなぁ。いろいろと想像してみたけれど、今とあまり変わっていないのかもしれない。
「昔はばいんばいんな体型が好きだったっぽいけど彼女が真逆だとどうなるの?」
「そっちが見事に開花しちまった」
「つまるところ、私ことリッキーも十分ストライクゾーン?」
そういって体をくねらせるリッキー。
「初、無言で俺に体を引っ付けるのはやめるように」
「だ、だってさぁ、取られるかも。リッキーが相手だと勝ち目が薄いし……」
俺の彼女は自信がない。こういうところもかわいいというか、守ってあげたくなるというかなぁ。
「……確かにそうかもしれない」
「そこは彼氏として、いや、そんなことはないよ。俺は初一筋だよっていうところでしょっ」
そして、つつくのもまた楽しいのだ。
「そこは言わなくたって通じ合ってるから」
「と、彼氏が申してますけど?」
「……心の中じゃ信じてる。なんだかんだで、あ、あ、あたしにメロメロだからね、この人はっ」
体を震わせ、顔を真っ赤にしてそういってのけた。
俺とリッキーは二人でぽかんと馬鹿みたいに口を開いた後、苦笑した。
「その通りだ」
「そうだね、左野の言う通りだ」
「もー、なんで笑うのよっ」
そういいつつ、初も笑い始めた。
これからも俺らは三人で一緒に笑っていることが出来るんだろう。
はい、どうも雨月です。
かなり久しぶりの更新となりました。いまだに生きています。そして、メッセージくれた方、感謝です。やはりメッセージや感想をもらうとやるきが全然違いますね。更新待ってたよーって人がいたらメッセージなんかを頂けると作者が喜びます。さて、今回は左野初のお話でした。もとは気になるあの子のフラグを立てろのサブヒロインでしたね、ええ。当時は残念なことにお話が一本で言っちゃっていたので変な隣人が一人勝ちでしたがリスタートと言う事でハッピーエンドになりました。少し火種が残っているような気がするのは気のせいです。次回はいつの更新になるやら。ではまた、次のお話の最終話でお会いできるときはお会いしましょう!




