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只野夢編:最終話 気になるあの子の語尾は変かもしれない?

 俺の名前は矢光冬治。

 只野夢の彼氏である。

「ふむ……」

 彼女、只野夢の事はよく知っている。

 俺も三年になって、あの子も二年になった。

 ただ、唯一つだけ……いいや、二つか? 気になる事があるのだ。

「あの語尾と一人称は一体何なのだろうか」

 彼女は語尾に『っす』をつけ、一人称は『自分』だ。

 見た目は大きめの眼鏡に、小さい感じの女の子だからこれまた違和感がある。眼鏡を外すと、超可愛いからな。

 俺が眼鏡を外すとキスするって条件反射して目を閉じて待ってくれている。つい、鼻を掴んでみるとぎゃーって騒ぐんだよ。

 こほん、話がずれたな。

 ま、なにはともあれ、あの子の語尾は一体どこからくるものなのか気になって仕方が無いのである。

「ああ、これっすか? うーん、自分も良くわからないっす」

 当たって砕けろの理論で聞いてみたが、なんと、本人は知らないと応えた。

 え、だって自分の事でしょうと言ったらちょっと不機嫌になった。

「……じゃあ、聞くっすけどね。冬治さんはなんで最近熟女ものに目覚めたんすか?」

「……だよなぁ。自分の事なんて、よくわからないよな」

「は?」

 ご機嫌斜めになると、もう頭が上がらない。特に嫉妬が激しいと言うわけではない物の、だからといって寛容というわけではない。

 どうやら、エッチな本を毛嫌いしているらしく(これは間違いなく、アホの兄貴の責任)定期的に俺の部屋をチェックしているらしい。

「あ、ごめーん、俺ちょーっと用事がでけた」

「……猶予は明日までっすよ」

 それでも、俺の事を尊重してくれているらしい。エロ本を見つけて、机の上に置いた後……一日以内にどうにかしないと目の前で、燃やされる。冗談じゃないぜ? もう体験してるんだ。

 あれは友人の物なんだよなー……どうにかしないといけない。

 これまた話が脱線しそうだったので、俺は次に夢ちゃんの兄へ語尾の話を着聞くに行くのであった。

「あいつの語尾?」

 三年になっても相変わらず、友人と七色とは同じクラスだ。

「ああ、ちょっと気になってな」

「むしろ、最初に疑問をもつんじゃないのかな? 僕は初っ端に違和感を感じたよ」

「頭痛が痛い!」

「危険が危ない!」

「え? 何言ってるの二人とも?」

 三年になって友人の成績は結構伸びてきた。

 七色の成績は国語を除いてグッジョブである。

「まー俺としては七色の僕にも衝撃を受けたんだけどな。それでいて可愛いからドキッとしたもんだ」

「冬治君……乗換?」

「……恋する妹を持つ身としては、浮気発言だな。あいつを泣かせる奴はお兄ちゃんがゆるさねぇぞ。ぶんなぐってやらぁ」

 胸を張っている友人の肩に手を置いて、グーを作る。

「え、何でお前がグーパンの準備してるんだ?」

「お兄ちゃん。熟女のエロ本ばれた。夢ちん激ギレ。明日までにどうにかしないと目の前で燃やされる」

「……そうかーそれはまー……で、グーパンと何か関係が?」

「元凶はお兄ちゃんだ。お前がいなければ、エロ本はそもそも存在してなかった」

「あ、もしかしておれの?」

 友人に頷くと握手を求められる。

「共に闘おう、弟よ」

「そうだな、お兄ちゃん」

 がっちりと男の友情を確かめ合い、決意を新たにするのであった。

「あのさ、語尾の話だったよね?」

 いかんな、この二人と話しているとすぐに脱線してしまう。

「で、なんであんな感じなのか本人に聞いたけど覚えてないってさ」

 もう常習的になってどうしようもないんだろう。

「俺も覚えてなんか……ああ、もしかしてあれかもしれない」

「あれ?」

 どうやら心当たりがあるようで、友人は手を叩いた。

「子どもの頃に早く大人になりたい―なんて言っていたからさ、敬語の真似してああなったんだよ」

 なんだ、凄く期待していたのに超普通だったぞ。

 俺の脇から七色が顔を出し、手を挙げる。

「じゃあ、自分って呼んでいるのは?」

「それはなー……何だったかな。テレビに出ていた有名人が自分、不器用っすから……だったかな」

「それが定着しちゃったのか」

「だな。語尾が残念だって何度も言われたもんだ」

 懐かしそうな友人に七色も頷いている。

「テレビの影響、強く受けるときあるよね」

「だな。あ、俺将来的にテレビの株券買い占めておれを崇める映像ばかりながそうかな」

 こんなアホを誰が許すのだろうか? そもそも、最近の子供はパソコンばかりって聞くからな。

 ま、実際にテレビから流れても友人の事を崇める奴なんて一人もいないだろうが。

 そのまま忘れていたのがまずかった。

「あああああああ、ゆ、夢ちゃん。そのライターをまずは置くんだ。話し合いで解決しよう」

「自分、不器用っすから」

 熟女本は今一つ燃えなかったが、熟女本のカバーでコーティングしていた夢ちゃん似の幼っ娘本は俺の目の前で、よく萌えちまった。

 夢オチだったらどれだけ良かっただろうか。


どうも作者の雨月です。本来は一週間で決着をつけるつもりが、凄く遅くなってしまったことに対してまずは謝罪をば。人間、またされればまたされるだけ期待してしまうもので……え? 期待していない? そ、そう? ま、まぁ、あれです。遅くなったのは事実なのでごめんなさい。さて、いかがだったでしょうか、只野夢編。活動報告ではバッドエンドがーと色々と言っていたような気もします。予知無じゃなくて、走馬灯、ではなく追体験を夢の中で見ていた、そんなオチです。そもそも、只野夢自体が馬水、馬水の次はえーと……葉奈か。葉奈で、次は土谷、闇雲と徐々に物語に出てくるようになっていたかと思います。オリジナルのほうでは登場すらしておらず、予定していたバッドエンドの一つでは友人に妹がいないということになり、冬治は夢を見ていたという話になっているところでした。友人のようなバカっぽさを見せてほしかったのですが意外といい活躍をしてくれたように思えます。次回はやるのかやらないのか、闇雲八枝編。これまた一から話を考えないといけないですかね。スピードが信条でした。また遅くなってしまうかもしれませんがよければ闇雲八枝編も読んでいただけると幸いです。では、最後にいつものやつを。感想、評価、メッセージその他ありましたらよろしくお願いします。また次回!

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